割安株投資とは、「割安な株を買って、長く保有を続ける」または「割安な株を買って、割高になったら株を売る」という投資法のことです。投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェットや、彼の師匠であるベンジャミン・グレアムが好む投資法でもあります。
数ある投資法の中でも割安株投資は合理的で、長期にわたって効果が実証されてきた投資法です。大きな失敗にもつながりにくいと期待できますので、勉強しておいて損はないと思います。
割安株を見つける2つの方法
これからご紹介するのは、割安株を見つける2つの方法です。具体的には、「PBR」という指標を使った方法と、「PER」という指標を使った方法です。これらの方法は、いずれも実証研究を通じて、効果が確認されたものです。だから、そのまま利用しても効果が得られると期待できます。「PBRって何?」「PERって何?」という方は、西村さんの記事が分かりやすいかと思います。彼の記事を読んでから、本記事を読んでいただくことで、より深くご理解いただけるでしょう。
PBRを使った割安株の見つけ方
1つ目の方法はPBRを読むことで、割安株を見つける方法です。「3ファクターモデル」を提唱した経済学者のKenneth Frenchのデータライブラリ(1)によれば、ここ20年間の日本株市場でも、PBRを使った割安株投資の有効性が確認できます。彼の調査結果によると「PBRが下位30%に該当する割安株は、PBRが上位30%に該当する割高株と比べ、株価が上がりやすかった!」のだとか。とくに、この傾向は、1998年~2007年のリーマン・ショックが起きる前の時期に如実に確認できました。
「少し難しい……」と思った方も、ご安心下さい。理論や論文を読むのは大変かもしれませんが、実際に割安株投資を実践するのは、そこまで難しくありません。
やることは単純です。まず、「日本株市場の中でも、PBRが小さな30%の株」を選んで買います。そして、放ったらかしにするだけです。株を売るタイミングについては、「売らずに持っておく」または「割高になったら売る」くらいに考えておくとよいでしょう。
ちなみに、四季報オンラインのスクリーニング機能(2)を使って調べてみたところ、PBR下位30%の銘柄は、PBRが約0.7倍を割り込んでいる銘柄群でした。よって、PBRを使って割安株を見つけたいときには、「PBRが0.7倍を割り込んでいるかどうか?」を目安に考えて、この数字を割り込んでいる株を買うと考えると分かりやすいでしょう。
※これは2020年2月13日時点の水準です。
PERを使った割安株の見つけ方
2つ目の方法はPERを読むことで、割安株を見つける方法です。経済学者のBasuの研究(3)によれば、「PERの低い割安株は、PERの高い割高株と比べて、株価が上がりやすい!」ということが分かっています。よって、PERを使って割安株を見つけることで、普通に投資信託を買うよりも、大きな利益が得られる可能性が期待できます。
PERを使うときもPBRと同様に、「日本株市場の中でも、PERが小さな30%の株」を選んで買うのが有効だと思います。そして、PBRを使った方法と同様に、「売らずに放ったらかしにする」または「割高になったら売る」といった点に気を配ることで、長期にわたって利益を出せると期待できます。
四季報オンラインのスクリーニング機能を使って調べたところ、PER下位30%の銘柄は、予想PERが約12.5倍を割り込んでいる銘柄群でした。よって、PERを使って割安株を見つけたいときは、「予想PERが12.5倍を割り込んでいるか?」を目安に考え、この数字を割り込んでいる株を中心に買うことを検討するとよいでしょう。
※これは2020年2月13日時点の水準です。
まとめ
割安株投資は、大きな外れにも遭いにくいとも考えられるので、株式投資を始めたばかりの初心者にこそオススメな方法です。バーゲンセール状態の株を見つけて安く買うことで、お得に資産を運用できるとよいですね。ただし、割安株投資は「万能ではない」ということも分かっています。特に、アベノミクス相場のように強力な上昇相場では、割安株投資は効果が薄かったです。よって、割安性を確認するだけでなく、「収益性が高いか?」「研究開発に積極的か?」など、複数の視点で良い会社を見つけるのがよいでしょう。
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【参考文献】
- ウェブサイト:Kenneth R. French, "Data Library", 2018年11月16日時点
- ウェブサイト:東洋経済新報社, "新スクリーニング | 会社四季報オンライン", 2020年2月13日時点
- 論文:S. Basu, 1977, "Investment Performance of Common Stocks in Relation to Their Price-Earnings Ratios: A Test of the Efficient Market Hypothesis", The Journal of Finance, 32(3), pp. 663-682