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「安い株」と「高い株」の見分け方

株式投資で利益を出す極意は、「安く買って、高く売る」ことです。そこで今回は、「安い株」と「高い株」の見分け方をご紹介します。重要な指標はPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。

西村 剛

執筆者:西村 剛

株式ガイド

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「安い株」と「高い株」の見分け方のポイント

株式投資で利益を出す極意は、「安く買って、高く売る」ことです。そこで今回は、「安い株」と「高い株」の見分け方をご紹介します。

「安い株」と「高い株」を見分けるには

「安い株」と「高い株」を見分けるには


株の価値はどうやって決まる?

「安い株」や「高い株」を見分けるには、株の価値を知る必要があります。株の価値は2つに分けることができます。それは「財産価値」と「収益価値」です。

財産価値(企業が持つ「目に見える」価値)

企業は土地や現金・在庫などの資産と、借入金や支払手形などの負債を持っています。このとき、企業が保有資産を全て売却して、そのお金で負債を返済して残ったお金が企業の財産価値です。会社が解散すると、資産を売却して負債を返済し、残ったお金を株主に返還します。このような背景もあり、財産価値は「会社の解散価値」とも言えます。これを一株当りで表したものが「一株当り株主資本(BPS)」と呼ばれるものです。

収益価値(企業が今後生み出す「目に見えない」価値)

企業が株式を発行して資金調達し、そのお金を使って生み出した利益は、株主のものです。企業が1年間で生み出す利益を一株当りで表したものが「一株当り利益(EPS)」と呼ばれるものです。

 


これら「財産価値」と「収益価値」を足し合わせたものが、株の価値です。
 

しかし、株の価値は会社によってバラバラ…

以上のように、株の価値を調べるとき、EPSやBPSはとても便利です。しかし、1つ弱点があります。それは、「他社との比較ができない」という点です。なぜなら、EPSやBPSといった指標は、企業によって違うからです。EPSにしても、「A社は100円」「B社は1万円」…のように、全く異なる数値をとります。

株価は1社の業績だけでは決まりません。複数社の価格や業績が複雑に入り混じり、常に「比較」されながら決まります。そう考えると、EPSやBPSを使うだけでは、本当の意味で「安い株」や「高い株」を見分けることはできません。

そこで知っておきたいのが、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)です。

PER(株価収益率)とは、株価が、その会社が1年間に稼ぎ出す利益の何倍かを表した指標です。決算予想を基に算出される「予想PER」がよく利用されます。低ければ低いほど、「収益性があるわりに安い」と判断できます。

PBR(株価純資産倍率)とは、株価が、その会社の純資産の何倍かを表す指標です。過去の決算を基に算出される「実績PBR」がよく利用されます。低ければ低いほど、「資産を持っているわりに安い」と判断できます。



たとえば、同じ業種・同じ企業規模のA社、B社があるとして、以下の状況を考えてみましょう。
  • A社の予想PERが10倍、実績PBRが1倍
  • B社の予想PERが20倍、実績PBRが2倍

PERやPBRは低ければ低いほど「割安」だと判断できますので、上記2社の場合は、「A社のほうがB社よりも安い」と考えることができるでしょう。

このように、PERやPBRは、どんな企業に対しても同じように算出することができます。これにより、複数の株式を比べることができるのです。

また、参考までに、2017年10月17日現在の、東証一部全銘柄の平均値を見てみましょう。予想PERは約16倍、実績PBRは約1.4倍です。2005年の予想PERは約20倍で推移していたことから、その頃よりも割安だと考えられます。

「安い株」を見分けるには、予想PER・実績PBRが、市場・業種平均を下回るものに注目すると良いでしょう。その中から、成長が見込める銘柄を買い付けることで、利益が見込めるでしょう。同様に、逆に考えることで「高い株」も見つけられるはずです。

株価は1社の業績によって決まるような、絶対的なものではありません。複数社の価格や業績が複雑に入り混じって、常に「比較」されながら決まっています。

「安く買って、高く売る」。この極意を実践するためにも、PERやPBRといった指標に注目してみてはいかがでしょうか。

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