妊娠初期の出血はいつどんな原因で起こるのか(妊娠超初期~)
妊娠初期の出血には、着床出血や排卵出血、予定月経期出血(偽月経)や絨毛膜下出血(血腫)、流産による出血、びらん・ポリープ出血など……いくつか原因があります。妊活中や不妊治療中の人にとって、排卵日や胚移植日から、正常妊娠かどうかが判るまでの間は、期待と不安で、わずかな身体変化にも敏感になるものです。最近、この時期を「妊娠超初期」と表現されることが増えてきました。
医学的には「妊娠超初期」という正確な定義はありませんが、自然淘汰が働く、経過を見守るしかない時期であり、卵子と精子が結合して妊娠が成立してから、受精卵が子宮内で発育して、胎児心拍を確認できる妊娠6週ごろまでになります。
妊娠初期(妊娠超初期~)、正常妊娠や胎児心拍が確認できるまでの間は、期待しながらも、赤ちゃんが流産してしまわないだろうかと不安がいっぱいです。妊娠初期(妊娠超初期~)の時期の出血について解説します。
妊娠超初期~妊娠初期の出血 6つの原因
妊娠初期の出血について6つの原因別に解説します
妊娠初期の出血1. 排卵出血
妊娠初期の出血の1つ排卵出血は、排卵に伴う出血で、月経と月経の中間期に起こるので「中間期出血」とも言います。透明な粘液に赤い血が混じる、淡いピンク色、茶色、こげ茶色などのおりもので、出血が腟まで出る人と出ない人がいますが、卵巣周囲では必ず出血しています。またこの排卵時の排卵痛で、鎮痛剤が必要な人もいます。中には、排卵の瞬間が判る人もいます。妊娠を期待して性行為を行った場合、数日以内に排卵出血や排卵痛があれば、タイミングはOKということです。
不妊症治療で排卵誘発剤を使うと、排卵出血・排卵痛が判りやすくなることがあります。まれに、排卵で卵巣の血管が破れ、出血が止まらず、開腹手術が必要な場合もあります。
妊娠初期の出血2. 着床出血(自然)、胚移植後出血
着床とは、受精後6~7日に、受精卵(胚子)が子宮内膜の組織に侵入して、母親の組織と接着することです。この時、内膜組織が傷ついて出血するのが着床出血です。体外受精ー胚移植(IVF-ET)では、人工的に胚子を子宮内膜に移植する際に、出血することがあります。着床後、胚子組織が分泌するホルモンが母親の血液中に入り、血液や尿からホルモンを調べて判るのが妊娠反応です。
なおネット上の記事では、「着床出血」が2通りの意味で使われているようです。
本来の意味は、ここで説明した着床現象に伴う出血ですが、自然着床による出血はめったにありません。もう一つは、次で説明する予定月経期出血(偽月経)で、予定月経期の少量出血です。すでに着床して、通常の月経よりも少ない出血なので、妊娠徴候を示す出血と解釈されています。
妊娠初期の出血3.予定月経期出血(偽月経)
妊婦健診では初診時に、必ず「最終月経はいつから?」と質問されます。ところが、超音波検査で胎児が大きいので確認すると、「そういえば、先月の月経は出血が少なかった」、本当の最終月経は先々月だった、ということがよくあります。
これは、予定月経頃に数日間、小ナプキンで足りる出血があり、最終月経と間違えたということで、正常妊娠でも起こります。
着床部位以外の子宮内膜は、ふだんの月と同様に、内膜が剥がれる準備をしており、一部が剥がれて出血します。この出血が、腟に出ずに子宮内で胎嚢の周囲に残ると、次の絨毛膜下血腫になります。
妊娠初期の出血4.絨毛膜下出血(血腫)
超音波検査で胎嚢が見え始めてから、胎嚢周囲に液体の貯留を認めることがあります。この場合、「子宮内に出血の痕がある」「子宮の壁と胎児の袋の間に血が溜まっている」などと説明があります。
偽月経の出血が、子宮内に残っている程度であれば、通常生活は問題ありませんが、胎児心拍が確認できる頃になっても、腟出血が続き、胎嚢の周囲で、新たな出血を繰り返している場合には、安静、休業の指示や、薬が処方されることもあります。
妊娠初期の出血5.流産出血
妊娠超初期~妊娠初期に、出血が増え、流産になることもあります。残念ながら、この時期の流産は胎児の異常によるので、流産を防ぐための医学的治療はありませんが、心配な方は、医療機関に相談してみましょう。「月経よりも出血は多く、夜用のナプキンを数回替えた」「月経痛で経験したことがないほどの痛さ」などの場合には受診を考慮します。
妊娠初期の出血6.びらん・ポリープ出血
妊娠初期によくあるのが、子宮腟部びらんやポリープからの出血です。内診や、子宮がん検診の後、治療が必要な腟炎、ポリープが大きい場合などでは、出血することがあります。医師から説明があると思いますが、子宮の中からではない場合には、自然に止血することが多く、通常は経過観察します。【関連記事】
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