相続のトラブルはお金持ちの家じゃなくても起きている

「相続トラブルはお金持ちの人たちの話でしょ!私には関係ないよ」という言葉をよく耳にします。家庭裁判所によると遺産分割事件のうち、認容・調停成立件数は7,520件あり、そのうち約75%にあたる5,679件が遺産の価額5,000万円以下で起きているのです。決してお金持ちの人だけに起きる話ではないのです。(平成29年度)

そもそも相続税を払う必要がある人はそう多くありません。平成29年中に亡くなられた人は約134万人で、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約11万2千人となっています。課税割合は約8.3%ということになります。つまり、全国平均で91.7%の被相続人は納税義務がない、ということになります。相続税については、一部の人の悩みといえるかもしれません。(国税庁HPデータより)

では、実際にどういった相続トラブルが起きているのかを見てみましょう。人それぞれ、状況が異なるため、本当に多くのトラブルが発生しています。
 

事例ケース:亡き父親の弟(叔父)の借金の返済依頼が届いたケース

ある日突然、Aさんに、借金の返済依頼通知が届きました。内容を確認すると、Aさんの父親(故人)の弟で、生前から疎遠になっていた人物(Aさんにとっては叔父)の借入金の返済依頼でした。亡き父は、叔父の連帯保証人になっていた訳ではありませんでした。
 
では、なぜ、督促が届いたのでしょうか?
 
実は、叔父には配偶者と子どもが2人いました。叔父が亡くなり、法定相続人は、配偶者と子ども2人です。叔父は多額の借金をしており、プラスの財産はほとんどなかったので、配偶者と子ども2人は、相続の放棄をしていました。

 
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法定相続人(第一順位)



 

Aさんの叔父の配偶者と子ども2人は、既に相続放棄をしていた

配偶者は、常に相続人となります。子どもは第一順位の相続人です。第一順位の相続人(子)が相続の放棄をすると、第二順位である直系尊属が相続人となります。叔父の直系尊属(父母等)は、すでに他界していたため、第二順位の相続人はいませんでした。第二順位の相続人がいない場合、第三順位である兄弟姉妹が相続人となります。

 
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法定相続人(第三順位)



 
そうです。このケースでは、第三順位であるAさんの、すでに亡くなっている父親が相続人となり、多額の借金を相続することになってしまいます。
 

Aさんの父親は亡くなっているため、代襲相続でAさんが多額の借金を相続することに

そして、第三順位である父が亡くなっていたため、亡き父の代襲相続人であるAさんに返済依頼通知が届いたのです。

 
souzoku

法定相続人(第三順位/代襲相続)



 
本来であるならば、相続放棄をした配偶者や第一順位の子から、第三順位の代襲相続人であるAさんに、自分たちは相続したので、Aさんに多額の借金の相続権が移るむねの連絡があってしかるべきだと思いますが、疎遠になっていたため、連絡はありませんでした。
 

多額の借金を相続しないためには、どうする?

このケースでは、通知を受けた時に、はじめて、Aさんは自分に相続権が発生していたことを知ったのですから、その知った日から3ヶ月以内に相続の放棄をすれば、多額の借金を相続しなくてもよいこととなります。(限定承認という制度もあります)

相続において、まずはじめに大切なことは、事前に、自分の親族の状況(家系図等)を把握しておくことです。その上で、自分が相続人となるケースと、同時に相続人になる親族を把握しておくことが重要です。
 

なぜ、同時に相続人になる親族を把握しておくのか?

相続人となった場合、遺産分割協議が不要となるケース(遺言書があるなど)以外では、他の相続人と遺産の分割方法について、一緒に協議をしなければなりません。

お金(財産や債務)に関する話し合いは、各人の思惑の違いなどにより、ギクシャクするケースがとても多いです。また、ある人とは話し合いができるが、ある人とは、どうしても冷静に話し合いができない、というケースも意外と多いものです。ですので、事前に相続人を把握しておくことにより、あらかじめ、こころの準備ができるのは、非常に大きいのではないでしょうか。
 
相続トラブルには、想像もつかなかったことで揉めるケースも多いです。まずは、自分にはどのようなトラブルが想定されるのか、または、されないのか、をあらかじめ認識しておくことは非常に重要です。相続は、発生する前が非常に大切となりますので、一度、状況の把握からはじめてみてはいかがでしょうか。

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