都会で暮らしながらプチ農業が楽しめる市民農園のタイプと状況
市民農園は1990年前後に特定農地貸付法や市民農園整備促進法が制定されて以来、右肩上がりで農園数や面積を伸ばしてきました。その規模は、2016年3月末現在で全国に4,223農園、面積にして1,381ヘクタール。20年前に比べ農園数は約2.8倍、面積は約3倍にもなっています。
これまでは、都市で暮らす人が気軽に参加できる市民参加型農業として、次のようなタイプの農園が各地で進められてきました。
・都市住民が自宅から通って利用する日帰り型の市民農園
・農村に滞在しながら農園を利用する滞在型の市民農園(いわゆるクラインガルテンですね)
・農業体験や園芸療法を目的とした、学校法人や福祉法人等が取り組む学童農園・福祉農園
(参考資料:農林水産省/市民農園をめぐる状況)
市民農園を運営するのは、地方公共団体が過半数を占めています(続いて農協、農業者、企業・NPOによる開設)。しかし自治体が運営する農園は利用者がすべて維持管理するケースが多く、手間がかかり、参加者は時間に余裕のある定年退職者やシニア世代に片寄りがちでした。
また、現状の市民農園では「収穫のみの体験では、作物を作る過程が楽しめない」「独学では限度がある、プロフェッショナルのアドバイスが欲しい」など、これまでにも多くの課題が指摘されていました。こうした利用者のニーズを捉え加速度的に増加しているのが、農作業のサポートを受けられる農業体験農園です。
収穫のみの市民農園からプロのサポートを受けられる体験農園へ
サポート付き農園とは、作付計画をはじめ、種苗や農具、肥料などを園主が用意し、利用者は手ぶらで来園できる農園のこと。ベンチャー企業なども参入し、週末開講の社会人向け農業スクール、四季や旬を感じるイベント、子供向け体験プログラム、結婚式や企業研修を実施するなど、次々と農園を進化拡大して利用者を集めています。
以下は、特徴的な取り組みをする農園の紹介です(関東農政局が実施した事例調査から)。
・栽培技術を学びたい初心者が、農家の指導のもとプロ並みの収穫が期待できる、農園利用型(神奈川県・横浜市)
・JAが開設し都市住民が農家に宿泊して、自分で耕作・管理・収穫し田舎暮らしを体験できる、農園滞在型(長野県飯山市)
・棚田オーナー制度を取り入れ、都市住民のアイディアを活用しながら積極的な村おこしに取り組む、NPO法人型(千葉県鴨川市)
・1年間研修を受けながら農業の基本的な知識や技術を学び、2年目はより広い区画で耕作体験し、3年目以降は独立を目指す、中高年ホームファーマー型(神奈川県大井町)
・利用者グループが運営・管理・苗等の共同購入・様々なイベント・コミュニティ活動を実施する、利用者ネットワーク型(千葉県千葉市)
週末に通えるご近所の農業体験農園を探して見る
農業体験農園の多くは、3月から農作業をスタート。そのため1月頃に募集を締切り、2月頃に説明会や入園契約が実施されます(空いてる区画がある場合は、随時募集を行っているところもあります)。入園を希望する人は、下記の農園で募集をしています。
・全国農業体験農園協会(特定非営利活動法人 NPO法人 農園協会)>>募集農園一覧(主に東京・千葉・埼玉・京都・香川・福岡エリア)
・みんなで育てて、みんなで食べる。シェア畑>>畑・体験農園一覧(主に東京・神奈川・千葉・埼玉・関西エリア)
・自分でつくって自分で食べる 有機無農薬の野菜づくり>>体験農園マイファーム(主に関東・関西・東海エリア)
都市部を離れて選び取る田舎での移住生活。いきなり飛び込んでも、文字通り荒野に放り出されるようなもの。快適な移住生活を確実にするためには事前の準備が肝心です。まずは体験農園参加して、将来の本格移住へステップアップしていきましょう。アドバイスしてくれる農家の人との交流も弾み、畑仕事を楽しめるようになれば、あなたも立派な移住候補生です。
耕して・種を蒔いて・育てて・食べる。自宅のそばの週末ファームから始めてみよう!