科学的に見て節約してはいけない3つの出費って?
節約は大切です。それは、間違いありません。長い目で見ると、もっとも確実にお金持ちになる手段だと思います。だから、できるだけ沢山節約をして、早いペースでお金を貯めるのがよいでしょう。【節約で削ってはいけないモノをガイドが動画で解説】
しかし、「節約の方法を間違えると不幸になるぞ!」という研究(1)もありまして。節約するときには、「使うべきところはケチケチしない」「必要のないところは徹底的にケチる」というメリハリが大切なのだと思います。
とはいえ、そんなことを言われても、「じゃあ、削ってはいけない出費って何なのさ?」と、あなたは疑問を抱くかもしれません。そこで今回は、科学的に見て節約してはいけない出費を3つほどご紹介します。
削ってはいけない出費その1:交際費
ハーバード大学の心理学者、ロバート・ウォールディンガ―は講演(2)で、ぼくら人間が幸せに生きるには、お金よりも、地位よりも、やりがいのある仕事よりも、何よりもまず「良い人間関係が大切だ!」と言います。僕らの脳は旧石器時代から進化していません。その頃の人類は、何人かで集まり、チームを組まないと、生きることができませんでした。おそらく人間関係を大切にする人しか、生き残ることはできなかったでしょう。こういった点も踏まえると、ぼくらは本能的に「良い人間関係が欲しい!」と考えるのにも頷けます。
ロバート・ウォールディンガ―によれば、「良い人間関係」を持つ人ほど長生きで、健康で、記憶力も良いのだとか。逆に言えば、人間関係をおろそかにしていると、「早死で不健康で記憶力も悪くなる」と言えます。そう言われてみると、交際費をケチケチしている場合ではありませんよね。
削ってはいけない出費その2:教育費
テンプル大学のWilliam H. Hamptonらの研究(3)によると、収入を大きく左右する三大要素の1つは「教育」のようです。ですから、経済的に豊かになりたいなら、教育費を削ってはいけません。節約のつもりで教育費を削ると、むしろ逆効果である可能性が高いでしょう。ちなみに、「研究開発(≒教育)に積極的な会社ほど成長しやすい!」なんて説もありまして、専門誌「証券アナリストジャーナル」に掲載された論文(4)によると、研究開発に積極的な会社ほど業績の伸びが早い傾向が見られたのだとか。
世界のトップ企業は年商の10%以上を研究開発費に充てています。これはぼくら個人にも言えることで、自分としては、「年収の10%くらいは、教育費に充ててもよいのでは?」と考えています。
どうしても教育にお金を割くのが許せない場合は、「図書館へ行って本を借り、無料で教育を受ける」なんて方法もあります。とにもかくにも、読書は収入アップにつながる(5)うえ、幸福感の向上にもつながる(6)ようですから、どんどん読書に時間とお金を使った方がよいでしょうね。
かくいうぼくも読書には相当な時間を費やしておりまして。朝6時に起きて、出社までの2時間は読書に充てていますし、それ以外でも昼休みに30分。寝る前に30分と。1日あたり3時間の読書時間を確保するように努めています。
ぼくの場合は極端ですが、何にせよ「勉強が大事!」というのは誰にでも当てはまることですから、ひとまず図書館へ行って本を借りるところからはじめてみてはいかがでしょう。
削ってはいけない出費その3:健康維持費
最後の出費はとりわけ重要です。どんなにお金を節約して、たとえそれでお金持ちになれたとしても、不健康になってしまえば意味がありません。だから、健康維持費は削らないように注意しましょう。とりわけ重要なのが、「睡眠時間の確保」と「運動習慣の維持」ですね。
科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に掲載された論文(7)によると、睡眠不足な人は貯金が減る傾向があるのだとか。なぜこんなことが起きるのかというと、睡眠不足のせいで認知機能が鈍り、間違った判断をしやすくなるのだとか。
それに、厚生労働省の調査(8)では、「運動習慣がある人ほど収入が多い!」なんて結果も見られています。運動はストレス解消にも役立ちますし、頭がよくなる効果もありますから、やらないだけで相当なマイナスになるでしょうね。
まとめ
「節約が大切!」というのは間違いありませんが、お金以外にも大切なことはたくさんあります。とくに、今回ご紹介した「人間関係の維持」「教育」「健康の維持」は、削るとのちのち痛い目に遭います。必要な出費を削ってしまうのは、節約ではなく単なるケチですから、間違えないように注意しましょう。そもそも節約は「将来、幸せになるための準備」なのですから、節約のせいで不幸になってしまっては意味がありません。そうならないように、気をつけないといけませんね。
【関連記事をチェック!】
【参考文献】
- 論文:Anat Keinan and Ran Kivetz, 2008, "Remedying Hyperropia: The Effects of Self-Control Regret on Counsumer Behavior", Journal of Marketing Research, 45(6), pp. 676-689
- 動画:ロバート・ウォールディンガー, 2015, "人生を幸せにするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から", TEDxBeaconStreet
- 論文:William H. Hampton, Nima Asadi, and Ingrid R. Olson, 2018, “Good Things for Those Who Wait: Predictive Modeling Highlights Importance of Delay Discounting for Income Attainment”, frontiers in Psychology, 9(1545), pp. 1-10
- 論文:鄭義哲, 2005, "R&D企業の株式パフォーマンス--異常リターンとR&Dファクター", 証券アナリストジャーナル, 43(10), pp. 98-108]
- 論文:Giorgio Brunello, Guglielmo Weber, and Christoph T. Weiss, 2015, ”Books are Forever: Early Life Conditions, Education and Lifetime Earnings in Europe”, The Economic Journal, 127(600), pp. 271-296
- 論文:Qian-Wn Xie, Celia H.Y. Chan, Qingying Ji, and Cecilia L.W. Chan, 2018, “Psychological Effects of Parent-Child Book Reading Interventions: A Meta-analysis”, PEDIATRICS, 141(4), pp. 1-12
- 論文:Vinod Venkatraman, Scott A. Huettel, Lisa Y. M. Chuah, John W. Payne, and Michael W. L. Chee, 2011, "Sleep Deprivation Biases the Neural Mechanisms Underlying Economic Preferences", Journal of Neuroscience, 31(10), pp. 3712-3718
- 調査:厚生労働省, 2012, "平成22年国民健康・栄養調査結果の概要"