貯蓄

貯金と教育費は年収の何%がベスト?

「貯金をするのがよい!というのは分かるけど、具体的にどのくらい貯金すればよいのさ?」「教育費と言っても、どれくらい本を買えばよいの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。そこで今回は、株式投資の観点から「貯金」と「教育費」の決め方を考えます。

中原 良太

執筆者:中原 良太

エビデンスに基づく資産活用&マネープランガイド

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「貯金をするのが良い!というのは分かるけど、具体的にどのくらい貯金すればよいのさ?」「教育費と言っても、どれくらい本を買ったり、セミナーに参加したりすればよいの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。
 
そこで今回は、株式投資の観点から「貯金」と「教育費」の決め方を考えていきます。
 

貯金は年収の7.5%以上が理想!(2018年時点)

株式投資の世界では、「利益を出している企業ほど、成長スピードが早い!」ということが知られています。栗田らの調査(1)によると、「利益を出している会社ほど株価が上がりやすい!」という傾向があるのだとか。
 
この点を踏まえると、ぼくら個人の家計としても「たくさん貯金をした方が、人生はうまく行きやすいんじゃない?」と考えることができるでしょう。
 
そこで気になるのが、「じゃあ、どれくらいお金を貯めたらよいの?」という点です。こちらについては、四季報オンラインでのスクリーニング機能(2)が役に立ちました。この機能を使って、日本企業の「利益率」を推定したところ、利益率の高いトップ1割の企業は、おおよそ年商の7.5%以上を貯蓄に回しているようです。
 
これを家計に当てはめるとすれば、「上位1割の貯金上手になりたいなら、年収の7.5%以上を貯金に充てるとよいのでは?」と考えることができます。
 
ちなみに、ふだんから貯蓄をしている人からすれば「少なすぎでは?」と思われるかもしれません。たしかに、7.5%は、個人の貯蓄としては少なく思えます。しかし、これはあくまで「現金としてとっておく場合」の話です。
 
むやみに貯金を増やしたところで、日本の金利ではお金が増えないのも事実です。よって、貯金だけではなく、インデックス投資などによる資産運用に回すと有意義でしょう。
 
インデックス投資に回す資金は、カウチポテト・ポートフォリオを採用する方であれば、貯金額と同じだけ、年収の7.5%を株式投資に回すと丁度よいでしょう。あるいは、若い方であれば、これからお話しする教育費に充てるのが効果的だと思います。
 

教育費は年収の12.8%以上が理想!(2017年時点) 

金融の世界では、「研究開発(≒教育)に積極的な会社ほど成長しやすい!」という説が有力です。専門誌「証券アナリストジャーナル」に掲載された論文(3)によると、売上に対するR&D比率の高い企業ほど株価が上がりやすい傾向が見られたのだとか。
 
この点を踏まえると、ぼくら個人の家計においても、「教育に時間とお金を割いている家庭ほど、経済的に豊かになりやすい」と考えられます。
 
このとき、特にオススメなのが読書です。「読書は無料で始められるうえ、収入アップや幸福感の向上につながる!」という話もありますから、まずはここから手をつけるとよいでしょう。
 
さらに勉強熱心な方は、やや値がはるものの、専門性の高いセミナーなどに参加することで、頭脳を磨くことができると思います。とにかく、先の研究から「教育をケチっていたら、不幸になるし収入も増えづらい!」ことが分かっていますので、惜しまず使った方がよいかと。
 
なお、教育費の予算を組むときの目安としても、世界各国の優良企業の決算書が参考になります。Strategy&が発表した調査結果(5)によると、世界で最も研究開発費額が多いトップ20社では、R&D比率の平均が売上の12.8%でした。
 
ぼくら個人で例えるならば、「月収10万円の人であれば、そのうち1万2800円を教育費に充てている」ぐらいにイメージしていただくとよいかと思います。
 
かくいう、ぼく自身も年収の15%くらいは本やセミナーに充てています。たとえ即効性が無かったとしても5年後、10年後に、学んだことが活きてくることもよくあります。この金額を出すのは難しくても、少なくとも「年収の10%くらいは、教育に充てる!」と決めておいてもよいと思います。
 

まとめ

個人的には、「お給料を受け取る前に、何に使うか、予算を決めておく」のがよいかと思います。そうしないと、案外、どうでもよいところにお金を使ってしまうことが、よくありますので注意してください。
 
何にせよ、豊かな暮らしをしたいという方は、本記事の内容を参考に、お金の使い道を改めて検討してみてはいかがでしょうか。ここでご紹介したテクニックは、どれも効果実証済みのものです。きっと、あなたの生活の改善にも、役に立つと思いますよ。
 
●参考文献
 
  1. 調査:栗田昌孝, 荻原生朗, 2002, "ROEが高いだけでは不十分", BNPパリバ証券
  2. 集計:会社四季報オンライン, "新スクリーニング", 東洋経済新報社, 2018年10月13日時点
  3. 論文:鄭 義哲, 2005, "R&D企業の株式パフォーマンス--異常リターンとR&Dファクター", 証券アナリストジャーナル, 43(10), pp. 98-108
  4. 論文:Giorgio Brunello, Guglielmo Weber, and Christoph T. Weiss, 2015, ”Books are Forever: Early Life Conditions, Education and Lifetime Earnings in Europe”, The Economic Journal, 127(600), pp. 271-296
  5. 調査:strategy&, 2017, "Strategy& 2017年グローバル・イノベーション調査結果概要"
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