再婚

ステップファミリーはうまくいかない?崩壊を防ぐ方法

子連れ再婚によって築かれる家庭を「ステップファミリー」といいます。血がつながっていないので、親子関係がうまくいきにくいといわれていますが、親の考え方ひとつで幸せな家庭を築くこともできます。今回は実例をふまえつつ、ステップファミリーの崩壊を防ぐ方法を見ていきましょう。

佐竹 悦子

執筆者:佐竹 悦子

再婚ガイド

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ステップファミリーとは

 
子連れ再婚でできた家庭が「ステップファミリー」

子連れ再婚でできた家庭が「ステップファミリー」


2分に1組が離婚をする現代ですが※1、再婚をする人の数も増えています。当然、どちらか、あるいは両方に子供がいるケースも少なくありません。親が再婚をすることで、子供と親の配偶者が親子になり、新しい家庭が築かれるわけですが、こうした家庭をステップファミリーといいます。ステップファミリーは、もともと血縁関係にない人同士が家族になるために、関係がうまくいきづらいこともあります。実際に悩んでいる人も多いはず。そこで今回の記事では、ステップファミリーのメリットと問題点、そして崩壊を防ぐ方法などを解説していきます。
 

ステップファミリーの子供の心の中

子供の年齢にもよりますが、子供と新しい親の関係がうまくいかないことが最も多い問題です。その背景には、過去に子供が自分の親を失っていることが影響しています。ステップファミリーの子供は、親の離婚によって大切な一方の親をなくすことになります。この喪失感は、親が思う以上に子供の心に影響を与えています。そうした気持ちが、新しい親への抵抗感につながってしまうこともあり、あまりの態度に親が鬱になってしまうケースもあるほどです。また、子供に抵抗されたストレスで、親が子供を虐待してしまうこともありえます。
 

夫婦間での話し合いは不可欠

そういったステップファミリーのトラブルを防ぐために、まずは夫婦間で認識をすり合わせることが大切です。すでに新しい親と子供の関係がぎくしゃくしてしまっている場合も、しっかりと言葉にして話し合うことが大切。家庭を守り、幸せに導くのは夫婦2人の役目ですから、子供のせいにはせず、2人で解決するようにしましょう。
 

子供から逃げない

 
子供との時間も大切

子供との時間も大切


子供とうまくいっていないと、どうしても逃げたくなってしまうかもしれません。でも逃げていては、問題はいつまでも解決できません。子供と腹を割って話すことが重要なのですが、最初から正直に話せるわけではないと思います。はじめは、たとえば食事中の会話を増やすなど、日常で話す時間を作っていきましょう。普段の会話に慣れてくれば話す時間も増え、内容も濃いものとなっていきます。大切なのは、焦らないことです。
 

再婚した人の離婚率は案外高い

ステップファミリーは血縁のない親子間でいい関係を築くことができないと、最悪の場合は離婚に至ってしまいます。実は、初婚の人が離婚をする確率よりも、再婚をした人が離婚をする確率の方が高いというデータもあります。2012年にアメリカで発行された「Psychology Today」という雑誌に掲載されたのですが、再婚したカップルの離婚率は67%にのぼるのです。ちなみに初婚の離婚率は50%、再々婚の離婚率は再婚よりも上がって73%という結果になっています。
 

成功しているステップファミリーの例

ステップファミリーは関係構築が難しいといわれていますが、うまくいっている家族もいます。ここからは私が知っているステップファミリーの例を紹介します。

ある日、可愛い中学生の女の子が私のところに相談に来ました。結婚相談所なので、なぜ私のところに来たのかはよくわかりませんが、恐らく、誰かと話をしたかったのでしょう。話を聞くと、彼女の家庭はステップファミリーで、新しい父親とうまくいっていなかったのです。実の両親が離婚をしたのは、彼女が小学5年生のとき。そして翌年に母親が再婚をしました。実の両親が離婚をする際、父親と母親のどちらと暮すかと聞かれたのですが、彼女にとっては、両方とも大切な親です。そのため彼女は選ぶことができず、両親に決めてもらうことにしたのです。最初は、父親の親(おばあちゃん)に見てもらいながら父親と暮すことになったのですが、おばあちゃんが厳しく、彼女に何かと口を出してきました。それが嫌で母親に相談をしたところ、母親が自分のもとで生活をさせるということで、その日から母親との暮らしが始まりました。これからは幸せに暮らせるかと思いきや、現実は違っていました。

実は母親は再婚していて、彼女はどうしたらいいのかわからなくなってしまったのです。さらに彼女はとても多感な時期だったので、「洗濯はあの人と一緒は嫌!」「お風呂はあの人が入った後は嫌」「お母さんは困った顔しているけれど、嫌なものは嫌!」と新しい親へ抵抗し続けていました。私のところに来たときも、彼女は実の父親への喪失感や新しい父親への戸惑いの言葉を口にしていました。「お父さんの方がかっこよかった」「お父さんは若い時ドラムをたたいていたのよ!」「お父さんの方が優しかった」「なんで、こんなおじいさんとお母さんは結婚したの?」

このような態度は家でも続いていたようで、母親は腫れ物に触るような態度で彼女に接しましたが、新しい父親は違いました。「夜は早く帰ってくること!」「夜遅くなるときは電話すること!」「遅くなるときは迎えに行くからいいなさい!」と毅然とした態度で接していたのです。そういった態度も彼女の抵抗感につながり、なかなか家族関係がうまくいかない生活を送っていました。

それからしばらくしたある日、彼女が友人と東京ドームのコンサートに行くことになりました。夜のコンサートなので、どうしても帰りが遅くなってしまいます。両親は反対したのですが、実の父親が彼女のためにチケットをとってくれていました。すでにチケットがあるので、結局両親は彼女をコンサートに行かせてあげようと決めました。その際、新しい父親は彼女を車で送っていくことにしたのです。そしてコンサートが終わるまで時間をつぶし、コンサートが終わったら彼女を連れて帰ってきました。それを見た彼女の友達からは「いいパパじゃん」と好評で、「話の分かるパパ」「優しい」「愛されている」と大絶賛されたそうです。その後も彼女はコンサートに行く機会があり、その度に新しい父親が送り迎えをしたそうです。

それから数年たち、今ではステップファミリーだとは思えないほど仲良く暮らしているそうです。言いたいことをお互いに言い合うことができ、理解し合える親子になったのです。
 

幸せなステップファミリーを築くために、大切なのは歩み寄り

ステップファミリーには、うまくいかない時期があります。でも、それは仕方のないことです。「夜のコンサートへ行くことに反対でも子供の行きたい気持ちを尊重させ、かわりに心配なので送り迎えをする」というように、押し付けるばかりではなく子供の心も尊重することもときには必要です。今回の例でも、その結果、娘の友達からの評価が上がり娘からの信頼を得ることにつながりました。うまくいかない時期を乗り越える努力をしてお互いに歩み寄っていくことで、本当の親子のようになれたケースもあるのです。

※1. 厚生労働省が発表した「平成25年人口動態統計」によると、2013年の離婚件数は23万1383組。ここから、2分に1組が離婚をしていることがわかります。
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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