クラシック音楽のコンチェルト=協奏曲って?
コンチェルト(協奏曲)とは、一般的にピアノやヴァイオリン、チェロ、フルートなど、ソロで演奏できる独奏楽器と、オーケストラとが一緒になって演奏されるクラシック音楽のことを言います。「○○コンチェルト」といった具合に、頭にその独奏楽器の種類を付けて呼ばれます。例えば、・ピアノコンチェルト(ピアノ協奏曲):ピアノを用いた楽曲
・ヴァイオリンコンチェルト(バイオリン協奏曲):バイオリンを用いた楽曲
などが多く存在しています。ちなみにこの「コンチェルト」という言葉はイタリア語。クラシック音楽はイタリアを中心に発展してきた歴史があり、多くの用語がイタリア語を起源とし、コンチェルトも例外では無いようです。
よく耳にする「交響曲」との違いは?
クラシックの楽曲においてコンチェルト(協奏曲)と同様によく聞く用語として「シンフォニー(交響曲)」が挙げられます。こちらはソロで演奏する楽器が前面に出るようなことが無い楽曲のこと。その点がコンチェルトとの大きな違いといえるでしょう。さらにコンチェルトでは、楽曲の途中で「カデンツァ」というパートがあり、このパートではそのコンチェルトの独奏楽器を担当するソリストが独奏するのです。ポップスやロックでもソロパートがあるように、クラシック音楽のコンチェルトでもソロパートは重要なポジションを占めているのです。コンチェルト(協奏曲)とシンフォニー(交響曲)にはこれ以外にも違いがあるので、今までご説明した点も含めて、簡単にまとめてみます。
コンチェルト(協奏曲) | シンフォニー(交響曲) |
---|---|
独奏楽器が目立つ場所に出て(指揮者の横など)、オーケストラをバックに演奏 | 目立つ独奏楽器は存在しない |
カデンツァと呼ばれるソロパートがある | 1つの楽器のソロパートがそこまでフィーチャーされない |
基本的に3つの楽章で構成される(例外あり) | 基本的に4つの楽章で構成される(例外あり) |
コンチェルトの演奏時間は大体30分くらいで、コンサートの2曲目に演奏されることが多いです。いっぽう、楽章数の違いの影響もありますが、コンチェルトに比べシンフォニーの方が演奏時間が長く、フルオーケストラを用いた演奏が多いのが特徴です。以上がコンチェルト(協奏曲)とシンフォニー(交響曲)の大きな違いになります。
おすすめのピアノコンチェルト(ピアノ協奏曲)3選
ここではコンチェルトの中でも代表的なピアノコンチェルトの定番として知られている3作品をご紹介しましょう。入門編としてご覧ください。■グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
グリーグ/ピアノ協奏曲 イ短調 作品16【出典:Amazon】
「ペールギュント」で知られるグリーグのピアノコンチェルト。ピアノ協奏曲の中でも特に人気のある作品です。迫力のある冒頭部分は必聴。紹介する音源はツィマーマンのピアノ、カラヤン指揮、ベルリンフィル演奏の名盤です。
■ベートーベン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73
ベートーベン/ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73【出典:Amazon】
「皇帝」というタイトルがつくこの楽曲は、ベートーベンの5つあるピアノコンチェルトの最後の作品。皇帝と名づけられるにふさわしい壮大なハーモニーが特徴的。紹介する音源はポーランド出身のピアニスト、ルービンシュタインのピアノを堪能でき、さらにロンドンフィルが圧倒的な演奏を披露している1枚です。
■チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23【出典:Amazon】
コマーシャルなどでも耳にしたことがあるという人が多い、ピアノコンチェルトの超有名楽曲です。冒頭部分が有名なので、すんなりと集中できるのではないでしょうか?ご紹介する音源はリヒテルのピアノによる名盤。カラヤン指揮、ウィーンフィルの演奏というクラシック好きには垂涎の音源となってます。
どれもどこかで聴いたことがあり、ピアノ協奏曲を身近に感じられる作品ばかりです。もちろんほかにもたくさんのピアノ協奏曲が存在しているので、これらを聴いてもっと聴きたくなったらぜひご自身の聞き覚えのある作曲家の作品を試聴して見ることをお勧めします。
おすすめのヴァイオリンコンチェルト(ヴァイオリン協奏曲)3選
続いてはヴァイオリンコンチェルトの定番を3つご紹介。こちらも入門編として通っておくべき3つをピックアップしました。■メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64【出典:Amazon】
■ベートーベン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
ベートーベン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61【出典:Amazon】
ベートーベンの数ある楽曲の中で唯一完成したヴァイオリン協奏曲がこの作品です。全体で約48分という、協奏曲としては長めの構成になっているところが特徴的。多くの名ヴァイオリニストに演奏されており、非常に有名な作品となっています。ご紹介する音源はポーランド生まれでメキシコに帰化するという経歴のヘンリク・シェリングのヴァイオリンによるものです。
■チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35【出典:Amazon】
とても複雑なヴァイオリンの旋律が印象的な楽曲。一世を風靡した「のだめカンタービレ」で演奏されて話題になったことでも有名です。今回ご紹介する音源は、現代の世界的ヴァイオリニストであるムターによる作品。難しい作品をとても優雅にまとめて演奏しています。
他にも多くのヴァイオンリンコンチェルトが存在していますので、ぜひ探して見てください。
コンチェルトを知ってクラシック音楽の扉を開こう
いかがでしたか?せっかく「クラシックを聴いてみようかな?」という気分になったのでしたら、ぜひ今回のコンチェルト(協奏曲)とシンフォニー(交響曲)の違いを理解しながら、クラシック音楽を体験してみてはいかがでしょうか?【もっと知りたいクラシックのこと!】
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