高配当だと、株価も上がりやすい!
実は、高配当の株を買うメリットは、「配当が貰えること」以外にもあります。投資家のジェームズ・オショーネシーによると(1)、米国にある高配当の大型株は、ほかの大型株と比べて株価が上がりやすいのだとか。ですから、配当金を受け取ることもそうですが、「株価が上がりそうな株を買いたい!」と考えている方にとっても、高配当の株は有利みたいです。
配当が増える会社の特徴とは?
ちなみに、「できるだけたくさん、配当を受け取りたい!」と考えている方は、その会社の株を、誰が持っているのか?「持株比率」をチェックするのが効果的です。光定氏らによる研究(2)によると、「外国人投資家による持株比率が高い会社ほど、増配されやすい傾向がある」のだとか。つまり、海外の機関投資家(プロ)が買い付けている会社ほど、これから配当を増やす可能性が高いということですね。
おそらく、海外の投資家ほど企業に対してプレッシャーをかける傾向があるから、企業の業績アップに貢献しているということなのでしょう。これから先、たくさん配当を受け取りたいという方は、外国人投資家の持株比率を確認するのがよいと思います。
ただし、権利落ち前は買わない方がよい!
しかし、高配当の株には難点もあります。それは、自分たち以外にも、「配当金狙い」で株を買おうと思っている人がたくさんいるという点です。それもあり、配当利回りが高い株は、権利落ち直前には商いが活発になり、株価が上がりやすく、割高になりやすい傾向があります。しかも、高配当の株は、権利落ちの前後で株価が大きく下落しやすいです。翟氏らの研究(3)によると、高配当の株は、配当落ち後に配当分以上に株価が下がりやすい傾向があるそうです。これを彼らは「配当落ちアノマリー」と呼んでいます。
したがって、「配当金がほしい!」と欲張って権利確定直前の株を買うと、痛い目に遭う可能性が高いでしょう。安全に配当金を受け取りたい方は、むしろ、配当の権利確定直後に、大きく値下がりした株を買った方がお得だと思います。
「配当」は、投資家にとっては魅力的です。しかし、目先の利益にとらわれて、大きな落とし穴にハマらないよう、注意する必要があるでしょうね。
【参考文献】
(1) 書籍:ジェームズ・P・オショーネシー, 2001, “ウォール街で勝つ法則”, Pan Rolling
(2) 論文:光定洋介, 蜂谷豊彦, 2009, “株主構成と株式超過収益率の検証”, 証券アナリストジャーナル, 47(1), pp51-65
(3) 論文:翟, 土田, 2016, “投資家の近視眼的行動と高配当利回り銘柄の配当落ちアノマリー”, 経営研究, 67(4), pp. 85-92
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