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次世代5G関連銘柄の大本命とは?アンリツの株価予想

アンリツは計測器を主力製品とする大手電子機器メーカーです。特に通信機器向け開発用計測器を得意とし、3G向けでは70%、LTE向けで50%の世界トップシェア。次世代通信規格5Gへシフトする中、関連銘柄として最も注目できる銘柄です。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

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次世代5G関連銘柄の大本命!アンリツの株価予想

アンリツは計測器を主力製品とする大手電子機器メーカーです。特に通信機器向け開発用計測器を得意とし、3G向けでは70%、LTE向けで50%の世界トップシェア。次世代通信規格5Gへシフトする中、関連銘柄として最も注目出来る銘柄です。

アンリツは次世代通信規格5Gへシフトする中、関連銘柄として最も注目できる銘柄です

5Gという名前は聞いたことがあるでしょうか? あらゆるモノをインターネットで接続するIoT時代においては、より高速で大容量、そして同時に多数の機器を繋ぐための技術が必須とされます。そのための通信技術がこれまでの通信規格を圧倒する次世代通信規格「5G」なのです。

今後、投資が加速していくことになると思いますが、その恩恵を受ける銘柄があれば興味がありますよね? そこで今回は5Gの基礎知識と関連銘柄の大本命の1つと目されるアンリツ(東証1部 <6754>)がどのような銘柄なのかを見てみたいと思います。

<INDEX>
1.これまでの通信規格を圧倒する次世代通信規格「5G」
2.世界で加速する5G投資~2018年は5G関連設備投資が活発化~
3.5G関連銘柄として外せない存在:アンリツ(東証1部<6753>)
4.シェア拡大を伴った中長期的な成長を期待
5.総合評価:5G関連需要を受けた、業績回復と利益成長ステージの開始を確認
 

1、これまでの通信規格を圧倒する次世代通信規格「5G」

これまで通信規格は、外出先でも通話できる「1G」(1990年以前~)→メールができる「3G」(2000年代)→写真や動画が送れる「4G」(2010年代)と、新しい技術の導入と同時に変革を遂げてきました。その間、通信速度は100万倍にまで高速化し、現在日常化している動画や音楽配信、オンラインゲーム、そして株式取引までリアルタイムで行うことを可能にしました。
 
すでに、モバイル・ブロードバンド・サービスは質量ともに拡がり、データ通信量は急速に増加して、ネットワーク・インフラを逼迫させつつあり、通信方式は、4G からLTE(Long Term Evolution)、LTE-AdvancedそしてLTE-Advanced Pro(Gigabit LTE)と開発・サービス展開が進められています。
 
5G はLTEの1000倍以上の大容量化や、10Gbps以上の通信速度を実現することで知られますが、他にもIoT社会に欠かせない圧倒的な強みがあります。コネクテッドカーやスマートシティなどIoT社会では「多数同時接続」が必須条件となりますが、5Gが可能とする同時接続端末数は1平方キロメートル当たり100万台(4G比で100倍以上)まで増やすことができるのです。また、送受信のデータ遅延時間は4G比で10分の1以下(1ミリ秒未満)であり、医療業界の治療や製造業や建設現場などにおける産業ロボットの遠隔操作などを“リアルタイム”で可能にすることができる技術です。
 

2、世界で加速する5G投資~2018年は5G関連設備投資が活発化~

世界の5G投資は加速しており、2019~2020年にかけて商用化が始まる見通しです。中でも、米インテルは新型モデムチップの量産体制を構築しており、韓サムスン電子は高速データ処理速で5Gの実用化で基幹技術となる「AI半導体」を開発中とのことで、2020年の商用化を1年前倒しで実現する勢いを見せています。
 
そして日本でも安倍政権の下で、2017年から実証実験が開始され、市場では2020年の商用化に向け、通信キャリア大手をはじめ、コネクテッドカーの普及を控えた自動車メーカーなどが5Gをベースとした新商品やサービスの開発を進めています。
 

3、5G関連銘柄として外せない存在:アンリツ(東証1部 <6754>)

このように、今後、投資が加速していく可能性が高い5Gですが、その中でも5G関連銘柄の本命の1つと見られているのがアンリツ(東証1部 <6754>)です。

■銘柄データ
  アンリツ(東証1部
<6754>)
【2018年9月11日株価】1775円
【最低投資額】 100株=17万7500円
【今期予想現金配当(1株あたり)
】 17円
【予想PER】48.8倍
【実績PBR】3.1倍


アンリツ(東証1部 <6754>)は1950年創業の大手電子機器メーカーで、製品の研究開発・製造・品質検査において、製品の性能などを評価するために用いられる計測器を主力としています。

特に携帯電話や無線基地局、光ファイバー網といった通信機器向けを得意としており、通信機器向け開発用計測器では3Gで世界シェア70%、LTEで世界シェア50%を誇る圧倒的存在です。また、ネットワーク・インフラ市場においても基地局向けハンドヘルド計測器で世界シェア70%を握っています。なお、日本、北米、欧州、アジアなど世界各地に拠点を持ち、海外売上比率は65%と高水準です。
 
通信向け計測器に強みを持つ同社は、既存技術に「ミリ波測定技術」など次世代通信規格「5G」の計測に必要な技術を持っており、5Gソリューションでもリーダー的存在となっています。通信技術が次世代規格5Gにシフトしていく中、同社がこれまでの通信規格で世界的な競争力を持ち圧倒的シェアを握ってきたことは、既存顧客との関係性の継続や自動車など新規市場の開拓における信頼性の面で、シェア獲得の武器となると思います。

実際のところ、同社では5G投資拡大の動きに対応する商品展開を進め、2016年には、チャネル・エミュレータ(無線通信機器やシステムを評価するための、無線伝搬環境を提供する機器)に強みを持つ米アジマスシステムを子会社化。それまで3G/4G向けの計測ソリューションで自社開発のフェージング・シミュレータ(無線通信機器の移動・時間経過による電波受信レベルの変動をシミュレーションする機器)によるモバイル端末向けビジネスを展開してきましたが、この買収によりフェージング関連が強化されることとなりました。
 
また、商品では、17年5月に電波の発信状態を調べる「シグナルアナライザー」を、18年2月には端末開発に使う基地局シミュレータ「シグナリングテスター」を発売しており、これらが5G関連需要を受けて収益化してきているといいます。

足元では通信技術の進化に加え、次世代の通信方式5Gの仕様策定が進んだことが業績の回復に直結しています。2017年12月に5G NSA-NR、2018年6月に5G SA-NRの標準化が完了。これで5Gの主要機能の全仕様が規定され、ついに、各国主要キャリアの5Gの商用化に向けたロードマップが具体化しました。これによって5G商用化に向けた通信用半導体の開発投資が立ち上がり始め、同社も需要拡大期の恩恵を享受した業績回復と成長が期待されています(例えば、2018年には米クアルコムなど主要チップセットメーカーや端末メーカーへの売上拡大が見込まれます)。
 

4、シェア拡大を伴った中長期的な成長を期待

2019年3月期第1四半期の業績は売上が7.9%増の209億6400万円、純利益が16億9000万円(前年同期は2億2200万円の赤字)と黒字転換となりました。LTE-Advanced Pro関連の研究開発投資や5Gの初期開発投資需要の拡大を受け、主力のT&M(計測)事業が大幅増収増益となったことが業績をけん引。黒字転換となりました。増収効果に加え、売上原価や販管費の減少、金融収益の増加も利益増に貢献しました。受注高は12.1%増の225億9500万円、受注残高は20.4%増の226億8900万円。

中長期には5G向け通信計測器需要の拡大を追い風とした成長が期待できます。同社は中期経営計画で、2021年3月期の営業利益を3年間で3倍の規模となる145億円に設定しています。
 
同社製品に対する主な需要先については、2019年3月期上半期についてはチップセットメーカー、下半期は端末メーカー向けがメインとなると見られていますが、2020年3月期に入ると、基地局向けがメインとなる見込みです。基地局向けは高採算であることから、利益貢献度が拡大することが期待できると思われます。2019年3月期の計測事業の営業利益予想は63%の増益が見込まれていますが、それ以上の伸びも期待できるということになり、業績への成長期待は大きいです。
 
5G規格標準化のスケジュール確定による関連開発需要の立ち上がり、そして自動車産業向け需要の立ち上がりなどが中期的成長のカギとなると見ています。4G市場が成熟化し、5G市場の立ち上がりが見込まれる中で同社は、これまで主要な需要先ではなかった自動車メーカーなどの業種での需要増から約5億ドルに及ぶ市場が生まれると見て、ここで30%のシェアを獲得したいと考えています。
 
また、第二柱のPQA事業の成長期待も高まっています。同事業の8割以上を占める食品産業においては、安全・安心志向の高まりや、人手不足を背景とした自動化ニーズにより、国内・海外市場ともにX線を応用した自動検査機の需要が拡大しています。
 

5、総合評価:5G関連需要を受けた、業績回復と利益成長ステージの開始を確認

ここ数年は、LTE→5Gへの投資需要の端境期にあったことから中国市場のLTE高速化投資の抑制、北米のLTE基地局投資の一巡など、業界では投資が抑制されてきました。こうした中、投資動向に影響を受ける同社業績は、2013年3月期のピークに対し、60%の落ち込みを見せ、2017年3月期のT&M事業は予想を下方修正するまで苦しむことになりました。

ところが、2018年3月に5GのNSA標準化が完了し、国内外で5G商用化に向けた動きが具体化したことで先行きが一気に明るくなってきました。また、スマートフォン市場の構造変化などを受け2015年から取り組んできた固定費削減策などの効果が表れており、増収に対する利益感応度の高い収益構造となっていることも、業績期待を高める要素となっています。
 
ちなみに、前回投資需要が盛り上がったLTEの開発・普及段階において同社は158億円の営業利益(2013年3月期)を出しています。同社では5G関連の計測需要は2024年3月期にピークを迎え、その規模はLTEピーク時の約7割としていますが、5Gは、IoT実現の要であることから、通信業界だけではなく自動車や医療業界へのビジネスチャンスの広がりがさらなる利益成長に繋がる可能性も高いでしょう。
 
2018年6月末の財務状況は、自己資本比率64.7%、有利子負債は約164億円ありますが約394億の現金等を考慮すると実質無借金です。事業活動からもたらされる利益の増加により、フリーキャッシュフローも1億8500万円増加しており、財務状態は良好です。

業績が上向いてきたことは確実で、今期から本格化が見込まれる5G関連需要を受けた中期的な成長が見込まれ、5G関連銘柄の本命銘柄の1つとして注目できると思います。

参考:日本株通信

※記載されている情報は、正確かつ信頼しうると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性または完全性を保証したものではありません。予告無く変更される場合があります。また、資産運用、投資はリスクを伴います。投資に関する最終判断は、御自身の責任でお願い申し上げます。

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