犬は吐きやすい動物だけど、吐かない状態がベスト

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犬が吐いてしまう原因と対処法

犬は食道や胃などの消化器官がほぼ横並びになっていることから、人間と比べると吐きやすい体の作りをしています。吐きやすい構造をしているとはいえ、もちろん吐かないことが好ましいです。同じ”吐く”でも、ひとまず様子を見ていいレベルのものから、緊急を要するものまで対処法も原因もさまざまです。

この記事は全体を通して、犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)に教えていただきました。

<INDEX>
  1. ”吐く”には、主に嘔吐、吐出という2種類がある
  2. 吐くことが多い犬種や犬の年齢
  3. 犬が吐いた物の色や形によって、原因や緊急度は違う
  4. ”吐く”ことで動物病院に行く場合、気をつけた方がいいこと
  5. かかりつけの動物病院が休みの日や、休診時間に吐いてしまったら?
 

Q:”吐く”には、主に嘔吐、吐出という2種類があると聞きました。具体的にどのように違うのですか?

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日頃から健康チェックをしましょう

嘔吐は、胃や腸である程度消化された食べ物を吐き出すことをさします。胃腸炎や内臓疾患、中毒や異物による消化管閉塞などが原因として考えられます。

吐出とは、食べた物が胃に入る手前で吐き出されてしまうことで、主に口の中や咽喉頭、食道の疾患が原因で起こります。

吐き気と咳が犬では分かりづらく、吐き気があるけど物が出ない……という理由で診察を受けたら実は咳だった、ということが多々あります。このような様子がある時は、動物病院に相談してみてください。
 

Q:吐くことが多い犬種や犬の年齢はありますか?

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どんな犬も吐いてしまう可能性があります

病気としての嘔吐・吐出は、犬種や年齢に関係なく起こります。犬は空腹で吐くことが時々ありますが、吐いた後にすっきりとした様子で、元気があるならあまり心配しなくても大丈夫です。
 

Q:犬が吐いた物の色や形によって、原因や緊急度は違うものですか?

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飲み込んだおもちゃの破片があったら、診察に持っていくとスムーズ

犬が吐いたものの色や形によって、その危険度や原因はさまざまです。原因として考えられることや対処法、その緊急度(※)を8パターンに分けてそれぞれ解説します。
(※緊急度は★の数が多いほど高く、この記事では3つを最大として設定)

【吐いたものが赤や茶色】緊急度★★★(色が濃いほど緊急)
  • 考えられる原因
口から胃にかけてのどこかからの出血が考えられます。赤が濃いほど出血量が多いことを示しているので緊急度が高くなります。
胃潰瘍のような病気だけでなく、腫瘍からの出血や血液凝固不全などの病気を起こしている可能性もあります。

主にインターネットで、”古くなって黒く変色した血液を吐く”と書かれていることがありますが、その状況はあまり多くありません。胃や十二指腸から出た血液が便まで行くと黒い便になることはあります。
 
  • 対処方法
色が濃い時は早急に、出血がある時はいかなる状況でも急いで動物病院へ。


【吐いたものがピンク色】緊急度★★★
  • 考えられる原因
”吐いたものが赤~茶色”の時と比べると出血量は少ないと推測されますが、体のどこかから出血しています。
 
  • 対処方法
少量であっても出血があるので、自己判断で様子を見ないで必ず動物病院へ。


【吐いたものが黄~緑色】緊急度★~★★
  • 考えられる原因
消化液のひとつ、胆汁が逆流している状態です。単純に空腹のため吐いている場合や、体調不良による食欲不振によって胃が空っぽの状態になり、吐いている可能性もあります。
 
  • 対処方法
空腹によるものであれば、ごはんの回数を増やして空腹時間をなるべく減らしてみてください。
短時間の間に何回も吐くことがあれば、病気の可能性があるので動物病院へ行きましょう。


【吐いたものが透明~白い泡】緊急度★~★★
  • 考えられる原因
胃液や唾液が逆流しています。ストレスや過度な空腹によるものと考えられますが、”吐いたものが黄~緑色”の場合よりも体の上部からの嘔吐のため、深刻度は比較的低くなります。
 
  • 対処方法
”吐いたものが黄~緑色”と同様に、空腹によるものであれば、ごはんの回数を増やして空腹時間をなるべく減らしてみてください。
短時間の間に何回も吐くことがあれば、病気の可能性があるので動物病院へ行きましょう。


【吐いたものがごはん、おやつ】緊急度★~★★
  • 考えられる原因
食べたものが合っていない、フードの種類を急に変えてしまった、早食いによる消化不良や食物アレルギーで吐いてしまうことがあります。
頻繁に吐く場合は巨大食道症や消化器疾患などによる吐出の可能性も考えられます。
 
  • 対処方法
吐いてしまった直後は何かを食べさせることは控えましょう。
吐出の場合、食べるスピードが早い可能性があるため、凹凸のある早食い防止の食器を取り入れてみてください。ドライフードであれば事前にふやかしてカサを増やしておく、手作り食であれば食材を細かく刻むと緩和されることがあります。

ドライフードの種類を急に切り替えた場合は、1週間~10日ほどかけて徐々に新しいフードに慣れさせるようにしましょう。

消化されたフードを嘔吐してしまうようでしたら、食後どれくらいでどのようなものを嘔吐するかで疾患部位が予想できるので、食事時間や嘔吐した物の状態、嘔吐した回数などを記録して必ず病院へ。頻繁に吐く場合も動物病院を受診してください。


【吐いたものが薬(処方されているもの)】緊急度★★
  • 考えられる原因
治療や予防のために処方された薬を嘔吐してしまった時は、薬の副作用の可能性があります。ごはんと一緒に薬を与えた場合は、ごはんが影響していることも考えられます。
 
  • 対処方法
薬を与えた後の嘔吐は、様子を見ずに必ず動物病院へ連絡をしてください。
病院に連れて行く必要があるのか、今後の投薬をどうしたら良いかなどの指示を仰ぎましょう。


【吐いたものがおもちゃ・植物】緊急度★★~★★★
  • 考えられる原因
おもちゃ遊びの最中に飲み込んでしまった、散歩コースに生えている植物や家の中にある植物を食べてしまったことが考えられます。
 
  • 対処方法
何を食べてしまったのか、全体の大きさや形がわかる場合にはその情報をメモして動物病院へ行きましょう。
植物によっては犬に有害なものや農薬が含まれることも。全て吐き出せずに胃に残ってしまうこともあるので必ず動物病院へ行きましょう。
植物の名前がわかるようでしたら、事前にその植物の名前を電話で伝えておくと診察がよりスムーズになります。

おもちゃや異物は吐き出したものや、破片を持って行きましょう。レントゲン撮影の時にどのように写るか参考になります。


【吐いたものが便、便のようなニオイがする】緊急度★~★★★
  • 考えられる原因
食糞によるものが主な理由です。食糞をしていないのに嘔吐物から便の匂いがする時は、腸が詰まっているような疾患が影響している可能性があり、かなり緊急です。(この場合、便の形では出て来ません)
 
  • 対処方法
食糞が影響している場合は排泄後すぐに片付けるよう心がけたり、消化のいいごはんに変更する、しつけを見直すなどしてみましょう。
食糞によるものではないのに嘔吐物から便のニオイがする時は、元気があってもすぐに動物病院へ行きましょう。



緊急度が高い症状を抱えている場合でも、犬が元気そうに見えることがあります。犬は痛みや苦しさを我慢しやすい動物でもあります。特に、吐き続ける場合や血や異物が混ざっていたらすぐに動物病院を受診してください。また、できれば事前に電話をしておくといいでしょう。

一般的に緊急度が低いとされることでも、検査をしないとわからない原因が隠れていることも考えられます。少しでも心配な点があれば動物病院へ相談するようにしてください。
 

Q:”吐く”ことで動物病院に行く場合、気をつけた方がいいことはありますか?

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気になる症状はメモをしたり、写真に記録してみて

吐いた物やその写真を持っていくと診察がスムーズになります。吐いたものに特徴的なニオイがあれば、それもメモしておきましょう。

吐く時やその前後の犬の様子に気になる行動がある場合、携帯電話のカメラでいいので、可能であれば動画も撮っておくと診察にプラスになります。
 

Q:かかりつけの動物病院が休みの日や、休診時間に吐いてしまったら?

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自己判断よりもまず、動物病院へ相談を

嘔吐している内容物に関わらず、短時間の間に何度も嘔吐する、元気が無くなってきている、出血している場合には緊急事態といえます。かかりつけの動物病院に電話をしても繋がらない場合には近隣の動物病院、無理なく連れて行ける救急病院に必ず連絡をしてください。

万が一の時のためにも、近隣の動物病院を2~3件と、住んでいる地域の夜間救急の動物病院を普段から把握しておくと安心です。

嘔吐がある場合、体が物を受け付けない状態です。この時に水やご飯を与えると症状が悪化する可能性があります。動物病院で治療を受けるまでは何も与えないようにしましょう。
 

まとめ

  • 犬は吐きやすい体の構造をしている動物だが、できれば吐かない状態がベスト
  • 犬種、年齢関係なく空腹や病気によって吐くことがある
  • 吐いたものの色や形、ニオイによって原因や緊急度が異なる
  • 犬が吐いた時は、自己流で対処せずに動物病院に相談する
  • 吐いたものがあれば、診察に持って行く


【執筆協力】
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丸田香緒里 獣医師


丸田香緒里 獣医師(Animal Life Partner 代表)
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/



 

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