日本人は無宗教な人が多いので、「こんな話は、どうでもよいのでは?」と感じる方もいるかも知れません。ですが、面白いのはここからです。この研究結果を活かすことで、貯金を増やすことができるかもしれません。
「信心深さ」を想像させるだけでも衝動買いが減った
人は何かしらのことを意思決定する直前に見たものや、想像したものによって、決定の内容が左右されます。たとえば、テレビで中華料理の特集を見ると、なぜか「中華が食べたい!」と感じてしまうようなものです。これは、行動経済学の用語で「プライミング効果」と呼ばれています(2)。実は、このプライミング効果は、貯金にも役立てることができます。ここからが面白いところで、Didem Kurt氏によると「信心深さ」を想像するだけでも、衝動買いが減ったというのです。
彼女はこの研究の考察として、「信心深さと質素倹約は似通っている部分があることから、結果的に節約につながったのではないか?」と結びました。
無宗教の日本人でも使える
このプライミング効果は、無宗教の日本人にも応用することができると思います。日本人にとってキリスト教やイスラム教はやや馴染みがないので、仏教を例にとって考えると節約の効果が高まりやすいと思います。仏教といえば、お坊さんですよね。だから、「信心深さ」を想像することが節約につながるということなので、何か衝動買いをしそうになったら、「お坊さんの姿や言動、日頃の生活を想像してみる」といったことをしてみることで、衝動買いを防ぐことができそうです。 もっと極端な話をするのであれば、買い物に行くときは「手の甲にお坊さんの絵を書いておく」「スマホの待受画面をお坊さんにする」「お坊さんのイラストを書いた紙を財布に忍ばせる」といった工夫でも、衝動買いを防げそうですね。
さらに、インターネットで衝動買いをしてしまう方などは、PCやスマホの背景画像をお坊さんにするとよいかもしれません。
お坊さんでなくても、「お寺の写真を見る」「仏像を眺める」なども有効?
もちろん、ここでは例として「お坊さん」を取り上げましたが、別にお坊さんに固執する必要はありません。「質素倹約」「信心深さ」といったものが想起できればよいので、「お寺の写真を見る」「仏像を眺める」といったことでも、効果が表れると思います。失礼のない範囲で、上手に習慣に取り入れてみたいものですね。【参考文献】
(1) 論文:Didem Kurt, J. Jeffrey Inman and Francesca Gino, 2018, “Religious shoppers spend less money”, Journal of Experimental Social Psychology, 78, pp. 116-124
(2) 書籍:渋谷昌三, 2009, 『面白いほどよくわかる!心理学の本』, 西東社
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