アドバイス1 子どもができても資金的には困らない
ご相談者のめいとさんの家計管理は、細部まできっちりとされていて申し分ないと思います。ご夫婦ともボーナスがないため、固定資産税など年間で発生する支出や不定期な支出は事前に積立で準備している点も、感心しました。このままのペースで貯蓄したとします。繰上返済も今のペースならあと8年程度で完済となります。それまでの年間貯蓄額は206万円。完済後、浮いた住宅コストをすべて貯蓄に回すとすると、年間363万円ほど。めいとさん60歳のときに、今ある貯蓄と合わせて約6500万円にもなります。もちろん、この試算はめいとさんの副業で得られる収入が60歳まで続くという前提です。もしも、10年足らずでその収入がなくなったとしたら5500万円程度に減りますが、それでも大きな額です。
したがって、お子さんを持たれても、少なくとも1人なら資金的には大きく困ることはないと考えられます。出産後も妻が働くという条件付きですが、お子さん1人分の教育費も含めた子育て費用を1500万円とし、産休・育休でのブランクを2年程度としても、60歳のときにまだ少なくとも3500万円は手元に残っているからです。
アドバイス2 長く継続できる家計管理を目指そう
家計については、食費と小遣いの額を心配されていますが、何ら問題はありません。雑費が多いのは、その大半をペットのコストに費やしているから。それでも、他の支出費目はよく抑えて、かつ十分貯蓄もできているのですから、バランスが取れた家計と考えるべきです。今後気掛かりな点があるとすれば2つ。
まず、ご主人の意識です。今の家計管理をご主人も納得されているならそれで構いません。しかし、もし多少息が詰まると感じているなら、よく話し合って改善していく必要があります。まだ、結婚されて半年ですから、今後、改善点が出てくるかもしれません。家計管理は家族の協力が不可欠。そのためには多少の我慢は必要ですが、夫婦それぞれ、それがストレスとなっては継続できません。上手に工夫しながら、必要なら貯蓄ペースが多少落ちてもいいですから、長く貯蓄できることを意識しましょう。
もうひとつが、めいとさんの健康面。病気が判明したとのことですから、今まで以上に体調には気を配るべき。住宅ローンを不安視されて、高いペースで繰上返済をされていますが、無理に働いて体調が悪化しては元も子もありません。3年後に金利が1%上がることを気にされていると思いますが、支払額のアップ幅は月4000~5000円。家計に影響が出る金額ではありません。健康を第一に考えてください。
アドバイス3 保障は医療のみで十分、死亡保障は子どもが生まれたら
保険については、ご主人の保障内容を最近見直されたとのこと。それでも、現時点で夫婦とも変額終身保険の必要性は低いと考えます。資金を遺す必要のある家族はいませんから、死亡保障も必要ありません。お葬式代は貯蓄から出せばいいのです。貯蓄と考えているなら、現在、保険商品全般に予定利率は高くはありませんので、保険商品は使わず、貯蓄や投資という手段を選択した方が合理的です。ともに、医療保険はそのまま残し、変額終身は払済保険(ご主人は加入して間もないので解約でもいい)にしましょう。お子さんが生まれた場合は、定期保険や収入保障保険で割安に、必要な死亡保障を確保します。必要額は、持ち家ですから、生まれた時点で2000万~2500万円。夫婦とも働いていますので、収入に応じて、例えば夫1000万円、妻1500万円と保障も分け合ってください。
最後に老後資金について。先ほど触れたように、ある程度まとまった資金が準備できます。それでも、基本的にはアルバイト等で構いませんので、夫婦とも公的年金が支給される65歳まで、元気であればそれ以降も働くことで、備えた老後資金の減りを遅らせることが対策として有効です。
また、老後資金づくりとして、毎月の貯蓄の一部を「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の積立に回すことで、所得税や住民税の節約効果も得られます。副業の収入も多いめいとさんが年齢的にも、そろそろ始めてもいい時期でしょう。
相談者「めいと」さんより寄せられた感想
深野先生アドバイスありがとうございます。保険については本当によく分かっておらず、少しずつ理解して考えて行ければと思っております。iDeCoや投資も同様でまた怖さも持っているので踏み出すのは難しいと思いました。ですが折角アドバイスをいただきましたので自分で少し調べてみたいと思います。また夫の意識ですが、これから私に何があるかは分からないので夫だけの収入で生活する支出の配分を考えて貰ったり、収入に変動があるため毎月ごとに違う支出の配分を現在お願いしています。意見を言い合ったりして、大分感覚が近くなっているのでこの点は大丈夫ではないかと思います。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など
取材・文/清水京武
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