MT-09に走りを意識した「SP」が登場

mt-09spフロントビュー

MT-09SPフロントビュー

ヤマハのMT-10を筆頭とするMTシリーズはもはや同社の主力と言っても過言ではなく、どのモデルも人気車種となっています。シリーズ中で一番排気量の大きいMT-10には豪華装備が追加された「SP」というモデルが存在しましたが、次に排気量の大きいMT-09にも「SP」モデルが登場しました。
 
MT-09と言えば2014年4月に発売が開始されるとあっという間に人気車種となり、それ以降エンジンなどを共通としたスポーツマルチモデルのMT-09TRACER、ネオレトロモデルのXSR900などバリエーションモデルが立て続けにリリースされました。2017年にMT-09は初のマイナーチェンジを行い、デザイン面も一新。特徴的な二眼LEDヘッドライトを備え、走りも進化した印象を受けました。
 
毎年、様々な話題を提供してくれているMTシリーズ。2018年にリリースされたMT-09SPは、足回りが豪華装備になっているようですが、果たして一般公道を走る上ではどのような変化を感じるのでしょうか? 過去のMT-09同様に、都内の通勤で試乗してインプレッションします。
 

MT-09SPは何が違う?価格はどうだ?

MT-09SPの液晶は反転液晶が採用されているが表示できる情報は変更無し

MT-09SPの液晶は反転液晶が採用されているが、表示できる情報は変更無し

MT-09とMT-09SPの見た目の差異ですが、シートのステッチと液晶が反転液晶、そして塗り分け塗装が施されたカラーリングが異なっています。「SP」の目玉は前後のサスペンションにあります。

フロントはKYB製のフロントフォーク、リアはオーリンズのフルアジャスタブルのサスペンションが装備されているのです。ではこれらのサスペンションを後から購入すると、どの程度の価格なのでしょうか?
 
KYBは以前ワイズギアを通してMT-09用のフロントフォークをリリースしており、現在も購入可能となっています。多少仕様は異なるようですが、MT-09SPに採用されているフロントフォークに近いモデルのようです。このフロントフォークは後から購入すると19万9800円(税込み)。

 
オーリンズのリアサスペンションは、リモートプリロードアジャスターが伸び側減衰力のみ調整できるモデルが14万2560円で販売されていますが、MT-09SPに採用されているサスペンションは更に調整機構を増やしたものとなっています。

   
仕様は若干異なるにしろ、前後サスペンションを後から変更しようとするとパーツ代だけで34万2360円。ではMT-09とMT-09SPの金額差はというと10万8000円なので、後からフロントフォークやリアサスペンションを交換する事を検討しているなら、初めからMT-09SPを購入したほうがお得という事になります。
 
では、前後サスペンションはどのような調整機構が備わっているのしょうか? 詳しく説明します。
 

MT-09SPで採用されたサスペンションはどんな調整ができる?

MT-09SPに装備されている前後サスペンションは「フルアジャスタブルタイプ」。名前の通り調整機構が「フルに」装備されているサスペンションになります。
mt-09spのリアサスペンションに装備されているリモートプリロードアジャスターは調整時に工具を必要としない

MT-09SPのリアサスペンションに装備されているリモートプリロードアジャスターは調整時に工具を必要としない


まず初期のサスペンションの沈み込み量を調整できる「プリロード」。私のように身長が低く、バイクの重要な用途の一つが通勤の場合は、足つき性は非常に大事。初期の沈み込み量を調整する事で足つきの改善につながる事もあります。一般的には専用工具を使って調整する事が多いですが、MT-09SPにはリモートプリロードアジャスターという装備が採用されており、工具を使うことなく調整する事が可能です。
減衰力の調整は工具を使って行う

減衰力の調整は工具を使って行う

 
次に「減衰力」。一般的にちょっと良いサスペンションには「伸び側」の調整機構がついている事が多く、ハイエンドの商品には「圧側」の調整がついているのが一般的です。サスペンションが縮む時と伸びる時にかかる負荷を、それぞれ調整する事が可能です。
 
更にMT-09SPはフロントフォークに限り、「高速」と「低速」の両方が調整可能となっています。正直、アフターパーツメーカーの製品でもここまで調整できる製品は殆どありませんし、ここまで調整するのは個人ではなかなか難しそうです。

 

MT-09SPを街中で実際に乗ってみた

mt-09spサイドビュー

mt-09spサイドビュー

ヤマハさんから広報車をお借りする場合は、メーカー出荷時の推奨セッティングになっています。まずはそのままMT-09SPを試乗してみました。基本的にあえて後からサスペンションを交換したいというライダーのニーズは「スポーティーに走りたい!」というものが多いので、前後共にかなり固め。
 
MT-09はもともとネイキッドとモタードバイクの異種交配造形にチャレンジしており、前後サスペンションはモタードバイクのようにかなり柔らかめ。サスペンションのストロークもネイキッドバイクにしてはかなり多い印象でした。
 
それが前後共に硬いセッティングになったので、一般道で走る際のストローク量はかなり減っている印象を受けました。サーキットの試乗ではないので、一般道を走るには硬すぎると判断して前後サスペンションのプリロードを調整して初期の沈み込み量を一番大きく設定。
 
更に圧側のダンパーを最弱に設定して沈み込みやすいセッティングに変更しました。フロントフォークに関しては「SP」がつかないMT-09の動きとほぼ同じ状態が再現可能でしたが、リアサスペンションは沈み込みがそれでも硬い印象を受けました。
 
ただ前後サスペンション共に沈み込みやすいセッティングにすれば、一般的なストリートファイター系やネイキッドバイクのサスペンションと同程度の動きにすることができますし、街中を走っても違和感の無いレベルには調整が可能です。
 
ただMT-09はシート高が820mmと割と高いものの、サスペンションの沈み込み量が大きいので身長165cm・64kgの筆者でも片足はべったりつきましたが、MT-09SPは沈み込み量を最も大きいセッティングにしてもべったりはつきませんでした。足つき性が気になる人はMT-09SPの足回りのセッティングは厳しいかもしれません。
 

コストパフォーマンスは良いけれど用途にあわせて選んでほしい!

SPは誰にとっても最高という意味ではない

SPは誰にとっても最高という意味ではない

MT-09SPのインプレッション記事を見ていると、確かにコストパフォーマンスに優れているので絶賛しているものが多いように思います。加えてサーキットなどで走れば限界性能が高いのは圧倒的にMT-09SPです。
 
フルアジャスタブルのサスペンションなので、一般的なネイキッドバイク程度のセッティングに変更する事もできますし、その気になればサーキットを走るのに最適なセッティングに変更する事もできるはずです。こう書くと汎用性が極めて高いサスペンションと感じるかもしれませんが、モタードバイクのようにストロークするMT-09の動きは再現する事はできません。
 
エンジンがやんちゃで楽しいMT-09なので、スポーツ走行メインで考えれば豪華な足回りを抜群のコストパフォーマンスで手に入れることができます。ですが個人的には街乗りとツーリングメインなら「SP」がつかないMT-09がオススメ。MT-09SPは誰にとっても最高の1台ではありません。元々MT-09の完成度が高いので、用途に合わせて「SP付」「SP無し」を選ぶと良いでしょう。
 

MT-09SP関連リンク

MT-09の試乗インプレッションはこちら
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XSR900の試乗インプレッションはこちら

 
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