ツーリングでの快適性能が追加されたMT-09 TRACER(トレーサー)ABS

慣性トルクが少なく、燃焼室のみで生み出される燃焼トルクだけを効率良く引き出す設計思想をヤマハは「クロスプレーンコンセプト」と呼んでいます。難しい表現ですが二輪最高峰のレース、モトGPマシンにも採用されているエンジンの設計思想です。

クロスプレーンコンセプトに基づく3気筒エンジンを搭載したMT-09をベースにしてアドベンチャーバイクのエッセンスを加えてツーリング性能を高めたモデルが今回試乗するMT-09TRACER(トレーサー)です。エンジンやフレームを共通としつつ様々な装備が追加されています。ヤマハは今後の展開の中で、基本車体構成を共通としたバリエーションモデル展開の拡大を進めていくと宣言していています。

ボバースタイルという独特のスタイルを採用したBOLTのカフェレーサースタイルBOLT CスペックやMT-09にアドベンチャー車輌の要素を追加したMT-09 TRACERはまさにバリエーションモデルと言えます。MT-09、MT-07という兄弟車輌どちらにも試乗した結果、個人的には「MT-07推し」だったのですが、今回試乗したMT-09 TRACERの使い勝手はどうなのか?今回も通勤で1週間試乗したインプレッションをお届けします。
 

MT-09とMT-09 TRACER(トレーサー)2台の装備の違いは?

MT-09 TRACERフロントビュー

MT-09 TRACERフロントビュー

個人的にはMT-09 TRACERはMT-09の豪華装備版というイメージがあり、実際にMT-09 TRACERにはMT-09には備わっていない様々な装備が備わっています。まずはトラクションコントロールシステム。アドベンチャーバイクのような見た目のMT-09 TRACERですがトラクションコントロールシステムが装備されたことでちょっとした砂利道や雨天時などに安心して走れるようになりました。

さらにLEDのヘッドライト。消費電力が低いことはもちろんですが、かなり明るく感じました。社外のLEDヘッドライトはレンズによっては光が散ってしまい通常のバルブと比べても暗く車検も通らないことがあるのですがさすがは純正クオリティーです。

その他に燃料タンク容量が18Lになっています。MT-09は14Lですのでかなり大型化されました。

前や横から見るとあまり大きな燃料タンクに見えませんが運転席に跨いで見るとかなりワイドになっています。これは4Lの容量増の影響でしょう。MT-09 TRACERは長距離を走るツアラー色が強くなったので、ガソリンタンク容量の大型化は歓迎したいところです。

ただし気になる点が三点。まずはウインドスクリーンですが乗る人によるとは思いますが、165cmの私が乗るとシートのどのポジションに座ってもかなり風切り音がうるさく感じました。ただし3段階に高さの調整ができるので調整すれば問題は解決しそうです。

また純正のハンドガードも良く風を切ってくれますし、意外にも雨があたるのも緩和してくれたのですが、ハンドルよりもかなり外に広がっている為に運転しているとき車幅に気を使うことがありました。MT-09 TRACERのシート高はロー・ハイと高さのセッティングが出来るようになっていますが低いほうのシートセッティングでも845mmあるので、決して足つきはよくはありません。

しかし足をおろしたときに障害になるような物が何も無く車体も軽量なので身長165cmの私でもあまり不安感はありません。たださすがにストップ&ゴーの多い街中では多少気を使いました。
 

MT-09 TRACERはセッティングがマイルドになったというが実際は?

MT-09 TRACER サイドビュー

MT-09 TRACER サイドビュー

MT-09とエンジンは共通としながら多少セッティングがマイルドになったという情報でしたが、実際に乗ってみるとマイルドさは感じず相変わらずスパルタンなセッティングに感じました。MT-09 TRACERにもD MODE【走行モード切替システム】が装備されているので標準のSTDモードの他にSTDモードよりもシャープでダイレクトなセッティングのAモードやSTDモードよりも穏やかで扱いやすい出力特性のBモードを選ぶことができますが、まずAモードは街中を走行するにはシャープすぎて使いずらく感じます。

STDモードですら街中ではやはり若干シャープすぎてしまいギクシャクする時もあります。それに対して最もレスポンスの悪いBモードは街中では扱いやすく使い勝手良い印象です。

MT-09はBモードでも街中ではシャープだなと感じたのですが、これはMT-09 TRACERはMT-09と比べて車重が約20kg重いために若干レスポンスが鈍くなり、街中を走行するには調度良いセッティングになっているのでしょう。

圧倒的な加速力であっという間に法定速度オーバーまで加速しますが、MT-09 TRACERはABSが標準装備になっているうえ、ブレーキの制動力にも優れているので減速時の不安感はありません。ただしあくまで常識的なスピード域での話です。

広報資料等によるとハンドリングは若干マイルドになっているようですが、私の感覚では大差ないような印象でした。むしろアップで幅広のハンドルの効果もあってコーナーは曲がりやすい印象です。
 

相変わらずスパルタンだがツーリングバイクとしての性能はアップ!

MT-09 TRACER リアビュー

MT-09 TRACERのリアビュー

私のようにバイクに乗る機会のほとんどは街中で、たまにツーリングで遠出する程度の場合はやはりMTシリーズで最もしっくりとくるのはMT-07です。MT-07のガソリンタンク容量を増やしてトラクションコントロールをつけてくれたら最高です。

MT-09 TRACERはMT-09をベースにしているだけあり、圧倒的な加速力はスパルタンすぎる印象があります。しかしガソリンタンク容量を増やすことで連続航行距離が長くなり、ウインドスクリーンの装備でライダーの疲労を軽減。

さらに夜間の視認性が高いLEDヘッドライトやライダーの操作をサポートするABS、トラクションコントロールを装備することでツーリングバイクとしての性能は大幅に補強されました。

パッセンジャーシートの左右には純正のオプションでパニアケースが装着できるようになっているため、リアキャリアと同時装着でかなりの荷物を積み込むことが可能ですのでキャンプツーリングなどにもピッタリです。

街乗りバイクとしては持て余してしまう性能ですが、長距離ツーリングやジムカーナなどの競技会にはピッタリの車輌です。

ただしアクセルを開けた瞬間に一気に加速しあっという間に100km/hぐらいまで加速してしまいますので、自制心のある大人に乗ってもらいたい一台です。
 

MT-09 TRACERをカスタムするなら

MT-09 TRACERの純正スクリーンで使用しているステーを使って装着するバーホルダーです。スマホなどをマウントする事が可能でナビの機能などを使うなら視認性の良い位置に装着する事ができます。
  爆音のレース用マフラーも多いアクラポビッチですが、こちらのモデルはJMCA・政府認証モデルなので車検にも対応しています(触媒付モデルのみ)。エキパイ部分はステンレスですがサイレンサーにはチタンを採用し、エンドキャップにはカーボンを採用しているため純正よりも軽量に仕上がっています。
  なかなか高額なので手がでないアルミのパニアケース。その中でもハイエンドモデルといえばツアーテックのアルミパニアシステムでしょう。他のメーカーと違うのはステーとケースが別売り設定ではない点です。インターネットではパニアケース本体とステーの組み合わせがわかりにくい製品も多いのでその点では安心感があります。

  MT-09 TRACERはツーリング仕様に最適ですが、長時間走行しているとお尻の痛みとの戦いになります。ディービーズのローダウンゲルシートは身長の低い人では少し不安な足つき性を改善しつつ、医療用にも使われるゲルSORBOを使用しているのでお尻の傷み対策にもなります。ベースはMT-09 TRACER純正シートなので安心感もあります。
 

MT-09TRACER スペック詳細

型式:EBL-RN36J
価格:104万7600円(2015年発売時)
カラー:マットシルバー1・ディープレッドメタリックK
    マットグレーメタリック3
全長×全幅×全高:2160mm×950mm×1345mm
シート高:845mm
排気量:846cc
車両重量:210kg
ガソリンタンク容量:18L
 

MT-09 TRACER関連リンク



 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。