コーヒー大国ブラジルのコーヒーの歴史
かつて多くの日本人がブラジルへ移住し、過酷な自然環境と労働条件の下、大規模なコーヒー農園で働いた歴史をご存じでしょうか?今から約100年も前のことですが、その頃、ブラジルはすでにコーヒー輸出大国としての地位を確立していました。 ブラジルに最初にコーヒーが伝わったのは1727年。現在の仏領ギアナからコーヒーの種子と苗が持ち込まれ、北部パラー州に植えられたのが始まりと言われています。その後、栽培により適した気候のリオデジャネイロ州方面へと生産地が移ると、生産量は順調に拡大し、アメリカなどへ大量に輸出するようになり、19世紀半ばにはブラジル経済は「コーヒーの時代」を迎えました。コーヒー主体のモノカルチャー経済であったため、世界的な生産過剰や、世界恐慌による輸出の激減のたびに経済危機に見舞われましたが、この150年以上、ブラジルはコーヒー生産量世界一位の座を維持しています。現在は、輸出量も世界一位、消費量は二位という正真正銘のコーヒー大国となりました。
ブラジルコーヒーの特徴!味と飲み方
肝心のお味は?というと、ブラジルで生産されるほとんどがアラビカ種で、コクや酸味、苦みのバランスがいいマイルドな安定感あるテイストです。そのため、ブレンドコーヒーのベースとしても重宝されています。 残念ながら、良質のコーヒーは長らく輸出用となってきた歴史もあり、比較的低品質のコーヒーにお砂糖をたっぷり入れて飲む、という習慣が定着していったと言われています。特にコーヒー好きなブラジル人の飲み方については、次のような言い回しを聞いたことがあります。café com leite pela manhã 朝はミルク入り
café puro depois do almoço ランチの後はブラックで
capuccino no meio da tarde 昼過ぎはカプチーノ
descafeinado a noite 夜はカフェイン抜きのデカフェ
終日、コーヒーと共に過ごしているようなフレーズですね。一般的には、朝食時は牛乳をたっぷり入れたカフェオレを飲み、ランチやおやつの後は、砂糖入りの濃いエスプレッソコーヒーをくくっと飲みます。
地域や年齢によってもコーヒーの飲み方は異なるため、一概には言えませんが、コーヒーが生活の一部というのはあながち間違いでありません。一般的な中規模スーパーのコーヒー売り場には、次の写真のとおり、ずらっーとパッケージが並びます。豆の販売もありますが、粉状のレギュラーコーヒーが広く棚を占めます。 ちなみに、普通にお店でコーヒーを注文すると、エスプレッソコーヒーに小さなコップに入った炭酸水がついてくることがあります。炭酸水はコーヒーを飲む前の口直し用で、より美味しくコーヒーを味わうためです。さすがこだわりを感じますね。
コーヒー革命ともいえる?飲み方の変化
近年、都会を中心に、人々のコーヒーを飲む習慣は激変しているようです。スターバックスなどの欧米タイプのコーヒー専門店が急増し、甘いカプチーノやフラッペ、生クリームやなんだかんだと盛り付けされたボリューミーなコーヒーをデザートのように楽しむスタイルがでてきました。また、ブラジル国内でも高品質のコーヒーに対する需要が増え、オーガニックコーヒーを極める農家や、欧州まで研修に行くバリスタが現れるなど、スペシャルティ・コーヒー・ブームが起きています。
さらにここ5、6年の変化として、ビル内に置かれる自動販売機タイプのコーヒーマシーンや、家庭用のカプセル式コーヒーマシーンの普及があげられます。特に富裕層の間では、ステイタスの象徴のようにカプセル式コーヒーマシーンを導入し、親戚や友人の集まりでは複数テイストのカプセルを取り揃え、週末のランチタイムを楽しむようになりました。 職場でも、かつてはポットに入れたコーヒーを注いで飲むスタイルが一般的でしたが、今や都会の大きなオフィスでは、カプセル式コーヒーメーカーのない職場を見つけるのは難しいと言われています。健康への配慮もあって、砂糖抜きのコーヒーを飲む人も増えています。 近年、激変するブラジルのコーヒー文化。ご旅行の際は、ぜひ街角で昔ながらのコーヒーを味わってください。ちなみに、コーヒーはポルトガル語でcafé (カフェー)といいます。
Um café, por favor! ウン カフェー ポル ファボール(コーヒーを一杯お願いします)
ぜひ本場のブラジルコーヒーをポルトガル語で注文してみてくださいね。お寿司に緑茶があうように、ブラジル料理の後の「カフェー」は格別の味わいです!