再婚

バツイチ医師と再婚するも養子縁組せず、相続問題は?

子連れで再婚をするときには、相手と子どもとの養子縁組が行われます。でも、中にはこれをしない再婚もあり、実は将来的に「相続」という大きな問題が起きる可能性があるのです。養育費や教育費、学費などもありますが、生活をしていく上でも相続できないと困るケースは多々あります。そこで今回の記事では、実例を紹介しながら再婚で養子縁組をしないときの問題を見ていきます。

佐竹 悦子

執筆者:佐竹 悦子

再婚ガイド

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養子縁組みをしないと戸籍上親子ではない

再婚をしただけでは、子どもと再婚相手は親子になれない

再婚をしただけでは、子どもと再婚相手は親子になれない

子どもがいる人が再婚をする際、相手と子どもが養子縁組をすることが多々あります。実は婚姻届を出して再婚をするだけでは夫婦関係ができるだけで、子どもとの親子関係ができるわけではないのです。

まず、前回の記事「再婚の養子縁組のメリットデメリット。苗字や親権は?」でお伝えした内容を振り返りましょう。
■一般的な養子縁組のデメリット
バツイチの方が再婚をするとき、自分に子どもがいれば、再婚相手との間に養子縁組をすることもあります。

まず前提として、養子縁組をして養子になると、養親の戸籍に入ることになり、親子関係になります。そのため、子どもの苗字を変えずに、養親の姓になることができません。

また、両親である夫婦が離婚して、子どもの親権者が旧姓に戻っても、子どもの苗字は変更されません。よくあるケースは、妻(子どもの母親)が親権を持ち、自身は旧姓に戻っても、子どもは結婚していた際の苗字、つまり、父親の苗字のままになる、ということになります。


養子縁組をするしない、どちらの場合も問題になる「相続」

再婚後、戸籍上の親子になるために新しいパートナーと養子縁組をするわけですが、中にはそれをしない再婚カップルもいます。そうなると後に問題になってくるのが相続です。

相続はお金や財産といったとても重要な部分が絡んでくるので、もめることも多くあります。そのため、養子縁組をしていても、していなくても、再婚をするときに必ず決めておくべき重要な項目といえるでしょう。


再婚相手はバツイチの医師。子どもを医者にしたいAさんの話

自分の子どもも医者にしたいと思っていた

自分の子どもも医者にしたいと思っていた


実際にあった、再婚・養子縁組・相続に関するエピソードを紹介します。Aさんという女性は子持ちで離婚をしました。当時4歳の息子Bくんの実父にあたる、元夫は医師でした。離婚をするときにはかなりもめて、4年にわたって話し合いをし、結果、生活に困らないだけの慰謝料と養育費を一括でもらいました。

そして、Aさんはいつか再婚する際は、再婚相手に息子を養子縁組をしてもらいたいと思っていました。Aさんの再婚相手のCさんも医師で、すでに息子が2人いました。息子は元妻が引き取ったのですが、二人とも優秀で、それぞれ私立の超難関中学、高校に通っていました。

Aさんは、いずれ息子のBくんを医学部に進学させたいと思っていました。すでに元夫から養育費として多額のお金をもらっていましたが、それを再婚相手のCさんには隠し、告げていませんでした。

元夫とは4年間ももめて離婚したので、Bくんの進学時にいちいちお金の話をするのも嫌でしたし、当然Cさんは再婚後に養子縁組してくれて、Bくんの進学の費用も持ってくれるだろうと思っていたからです。

実際、Aさんが再婚に踏み切ったのは、相手がお金持ちの医師というのが大きな理由のひとつでした。一般的に医者はお金を持っているので、息子のBくんともども、今後の生活の安泰だと思ったのです。


でも、実際にはAさんの想像とは違った現実が待っていました。再婚相手のCさんは、離婚時に元妻にかなり養育費などを支払い、「もうスッカラカンだ、離婚は大変だった」と言うほどでした。

離婚後も、自分の息子であることには変わりないので、何かとお金を工面していました。たとえば、中学高校の進学時には入学祝いを送ったり、医学部の受験に際しては塾代まで負担していました。大学も医学部に入れば入学金だけではなく、学費も支払うことにしていたのです。


自分の息子とは養子縁組せず、元妻との息子にお金を工面する夫に苛立ちが……

Aさんはもちろん再婚したら養子縁組をしたい、するのが当然だと思っていたのですが、再婚のタイミングでそういった詳しいお金の話まではしなかったそうです。それで蓋を開けてみたら、財産はほとんどないと言いながら元妻の言いなりで、息子たちにお金を工面し続けるCさんに苛立ちを感じていました。

養子縁組についても、いずれ夫の方から切り出してくれるという期待もあったのですが、実際にはなかなかそういうった話をしないまま、時間ばかりが経っていきます。

もしこのまま養子縁組が出なければ、夫が亡くなっても子どもには相続の権利はありません。いくら親子として暮らしていても、戸籍上は親子ではないからです。

ということは、離婚をした奥さんのところにいる2人の息子は財産をもらえるのに、自分の息子には1円も入らないことになります。当然、Aさんは入籍をしているので財産は入りますが、自分の息子に入らないのが不安だったのです。

Aさんが一番心配していたのが、再婚相手とAさんの両方が亡くなった場合です。たとえば交通事故にあって2人が同じタイミングで亡くなってしまったら、息子はこの先どうやって生活していけばいいのでしょう。今は4歳なので大学入学すらまだまだ先なのですが、仮に大学進学をしたとしても、ひとりで学費を払うことは到底できないでしょう。大学だけではありません。いくら支援制度があるとはいえ、中学高校も心配で仕方ありません。そういう不安ばかりが頭にあって、Aさんは悩みに悩んでいました。


子どものために養子縁組をしておこう

再婚相手のCさんは「養子縁組をしなくても、子どもが医学部に行きたいならば行かせればいい」と言っているのですが、まだBくんも幼いので、10年以上先のことを口約束することになってしまいます。

Aさんとしては誰がどう見ても法律上問題なく学費が支払われ、しかも相続もきちんとできるようにしておきたいのです。もちろん、元夫から養育費はたっぷりもらっているのですから、Aさんが管理して支払えばいいのですが、医学部進学となるとお金は想像以上にかかりますし、再婚相手のCさんが息子2人のためにお金を工面しているところを目の前で見せつけられては、その不公平感に黙っていられないのでしょう。

こういったケースもあるので、子持ちで再婚される方は、結婚前にちゃんとお金や養子縁組について話し合いをしておくことが重要です。とくに、再婚の場合、自分も相手もある程度年齢を重ねているので、もしものことがあったときに、自分の子どもが路頭に迷うようなことがないよう、家族みんなが幸せになる方法を探しておくことが重要だといえるでしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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