カーキ色とはどんな色? 人によってイメージする色が違う?
カーキという色は、今はファッションにおける定番色のひとつ
ファッションやメイクアップの製品にもカーキが増えているのですが、黄みを帯びたベージュに近い色、緑みを帯びたモスグリーンに近い色、色みをおさえたグレーに近い色など、ひとくちにカーキといってもさまざまな色があります。
英語の「khaki」の語源は、ヒンディー語の「khaki」やペルシャ語の「khak」で、埃や土埃を意味します。カーキは、中近東やインドの乾いた大地のような「くすんだ茶色」を表す色名で、近現代の軍隊の戦闘服に保護色として採用されるようになりました。
やがて、戦闘服に大地の色やジャングルの色を組み合わせた迷彩柄が採用されるようになり、戦闘服の色は、色みや明るさのバリエーションが増えました。軍人になることを「get into khakis」と表現するように、カーキ=戦闘服の色をイメージする人が多いようです。 上図は、JIS慣用色名のカーキー(khaki)のほか、DICカラーガイドやパントンカラーから、カーキに関連する色をまとめたものです。詳細は下記のとおり。
<1段目>
JIS慣用色名 カーキー(khaki)くすんだ赤みの黄
<2段目>左から順に
DIC-N799(日本の伝統色)カーキー色(カーキ)くすんだ黄
DIC-F172(フランスの伝統色)KAKI(カーキ色)暗い灰黄
DIC-C221(中国の伝統色)?其緑(カーチリュー)灰黄緑
<3段目>左から順に
PANTONE 16-0726 TCX Khaki(カーキ)
PANTONE 15-1216 TCX Pale Khaki(ペールカーキ)
PANTONE 16-0205 TCX Vintage Khaki(ヴィンテージカーキ) 上図は、カーキを色相環とトーンで示したものです。カーキという色名が指し示す色は、次のような特徴を備えています。
色相は、黄や黄緑を中心に、橙や緑へと広がっています。明度は、低明度~中明度、彩度は、低彩度~中彩度、トーンはダル、グレイッシュ、ダークに分布しています。
ファッションやメイクアップ製品のカーキは、この通りではないのですが、ひとつの目安としておさえておくとよいでしょう。
カーキ色をコーデに取り入れるコツ
1960年代のイギリスで流行したモッズファッションのように、若者たちが軍の放出品を着用するようになり、メンズのストリートファッションに「ミリタリー」が積極的に取り入れられるようになりました。その後、高級ブランドやレディースファッションにも、「ミリタリー」の要素が取り入れられるようになり、より多くの人がカーキを選択肢に加えるようになっていったのです。現在のレディースファッションのカーキは、シルクやレースなど、光沢や透け感のある素材が増えており、洗練された色へと変わってきています。
ミリタリーシャツ、ミリタリーパンツのようなアイテムを女性が着ると、かっこいいのにどこかセクシーな佇まいになります。カーキは色のインパクトが強くない反面、素材感や光沢の有無によって、違った表情を見せてくれます。デザインはミリタリーなのに、素材は繊細で上質というように、ただカジュアルに見せるのではなく、リッチなムードを忍ばせると、上品に着こなせるでしょう。
■カーキ×カーキ(カーキの濃淡)
女性らしいラッフル袖のデザイントップスに、カーキのパンツを合わせたシンプルなコーデ。カーキの濃淡でまとめると、ミリタリーのイメージが強くなりすぎるので、優しげな素材、甘さのあるデザインを取り入れると好印象につながります。
■カーキ×シルバー(カーキと無彩色)
ジョーゼット素材のカシュクールデザインブラウスに、シルバーのタイトスカートを合わせたコーデ。白、黒、グレーといった無彩色は無難な印象になりがちですが、光沢のあるシルバーを合わせると、モードな雰囲気が生まれます。夜のお出かけにおすすめしたいコーデです。■カーキ×ネイビーのプリント柄(トーナル配色)
光沢のあるサテン素材にシワ加工をほどこしたノースリーブブラウスに、ネイビーのプリント柄パンツを合わせたコーデ。ベージュよりも辛口で、ブラウンよりも軽やかな印象をもつカーキは、クールなネイビーと合わせると控えめながらも個性的な配色となります。プリント柄の赤がアクセントになっています。
■カーキ×パープル(アクセント効果)
縦のラインを演出してくれるラップ風デザインのスカートに、パープルのトップスを合わせたコーデ。中明度・低彩度のカーキは、高彩度の色を引き立ててくれます。特に、パープルやレッドはカーキとの色相差が大きいので、明瞭性が高く、アクセント効果が高まります。
カーキ色と合う色、合わない色
前項のコーデ写真が示すように、カーキは合わせる色をあまり選ばない色です。中明度のカーキはベージュやグレーと同じように、低迷度のカーキはブラウンやネイビーと同じように、定番色としてご活用いただけます。ここでは、色合わせに迷ったとき、参考になりそうな配色の考え方をご紹介します。■ドミナントカラー配色 ドミナントとは「支配」するという意味です。ドミナントカラー配色とは、色相を統一した多色配色のこと。同じ色相で、トーンが異なる色を組み合わせます。さらに、明度差を小さくすると統一感が生まれ、色によるイメージを強調することができます。
上の配色例は、トーンが異なる黄色を組み合わせましたが、必ずしも同じ色相にしなければならないわけではないので、隣接・類似など色相差が小さい色を選択してもかまいません。
■ドミナントトーン配色 トーンを統一した多色配色をドミナントトーン配色と呼びます。同じトーンで、色相が異なる色を組み合わせます。トーンが持つイメージが強調されるので統一感はありますが、にぎやかな印象もあります。
上の配色例は、ダルトーンのクラシックなイメージを活用したドミナントトーン配色です。ダルトーンで統一感をもたせて、黄緑に明度差の大きい赤紫、青紫を組み合わせ、明瞭性を高めました。
■トーンオントーン配色 トーンオントーン配色は、色相を統一するドミナントカラー配色の一種で、明度差を大きくとって、明瞭性を高めます。ドミナントカラー配色と同じように、統一感を与え、色によるイメージを強調することができると同時に、メリハリの効いた印象を叶えます。
上の配色例は、黄色と黄緑の配色で統一感をもたせ、低明度のグレイッシュトーンと高明度のライトトーン、ブライトトーンを組み合わせ、明度差を大きくしました。
■トーンイントーン配色 トーンイントーン配色は、トーンを統一するドミナントトーン配色の一種で、明度差を小さくして、馴染ませます。ドミナントトーン配色と同じように、にぎやかな印象がありますが、トーンや明度が持つイメージが強調されるのでまとまった印象が生まれます。
上の配色例は、ダークトーンのダンディなイメージを活用したトーンイントーン配色です。ダークトーンと隣接するダークグレイッシュトーンで統一感をもたせ、オレンジ、黄緑、青緑を組み合わせ、変化をつけました。
■トーナル配色 トーナル配色は、ドミナントトーン配色やトーンイントーン配色の一種で、ダルトーンを中心とした中間色同士(ソフト、ライトグレイッシュ、グレイッシュ)で配色をつくります。さまざまな色相の色を組み合わせるので、にぎやかさもありますが、中間色の穏やかなイメージが印象に残ります。
上の配色例は、ソフトトーンのオレンジ、グレイッシュトーンの黄色、ダルトーンの青を組み合わせたトーナル配色です。
配色技法はたくさんありますので、ここでは一般的によく利用される基本的な配色技法をご紹介しました。カーキはコーディネートしやすい色ですが、迷ったときは、配色技法に頼ってみてはいかがでしょうか。ファッションに落とし込む場合は、素材感やテクスチャが異なるものを組み合わせると効果的です。
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