ボートに乗って沖合のダイビングスポットへ。どんな水中シーンに出会えるのか、期待に胸が膨らみます。
ボートダイビングとは?
「ボートダイビングの快適さを味わったら、もうビーチでは潜れない」という人もいるほど、多くのダイバーに支持される「ボートダイビング」。読んで字のごとく、「ボートでダイビングスポットまで行き、そこで潜る」というスタイルですが、その最大のメリットは「岸から泳いでいけないようなスポットにも簡単に潜れる」こと。ビーチから長い距離を泳いで体力を消耗することなく、ダイナミックな地形や回遊魚の群れが現れる迫力の水中シーンを手軽に体験することができるのです。また、重いタンクを背負って歩く必要もないので、体力のない女性やシニアにもうれしいダイビングスタイルといえるでしょう。おもしろいのは、ひと口にボートダイビングといっても、エリアによって利用するボートはさまざまということ。モルディブのドーニ、フィリピンのバンカーボート、日本の漁船……。その違いを体験するのもボートダイビングならではの楽しみといえます。
ボートダイビングを快適に楽しむためのコツ
1)器材の忘れ物がないかチェック!ボートが出航してから忘れ物に気付いても、もう遅い。すぐに気付けば戻ってもらえることもありますが、「さあエントリー」というときに気付いてもどうにもなりません。乗船する際には、必要な器材がそろっていることをしっかりと確認しましょう。マスクやフィン、ブーツ、ダイブコンピュータなどを忘れやすいので注意が必要です。
2)セッティングは船が動く前にしておくのがベスト
器材や水中カメラなどのセッティングは船が動く前にしておきましょう。というのも、揺れる船の上でのセッティングは、船酔いする大きな原因となるからです。港に止まっている間はほとんど揺れないので、早めにセッティングを済ませてしまうことがおすすめです。
3)器材はまとめてコンパクトに
ボートの上はスペースが限られているので、できるだけコンパクトにまとめておきたいもの。セッティングしたらタンクは横に寝かせ、マスクなどの3点セットはまとめてタンクの近くに。使わないメッシュバッグは、グループで一カ所にまとめておくといいでしょう。
4)中央の後ろ寄りに座るのがおすすめ
ボートを「先端」、「中央」、「後部」の3つに分けた場合、「船酔いを避ける」という点からいけば、揺れの最も少ない「後部」がおすすめ。ただし船によっては排気ガスで気持ち悪くなってしまう恐れもあるので、トータルでみると「中央」の後ろ寄りがベストポジションといえます。
⇒船酔いを防ぐ10のコツを知ってダイビングを楽しもう
5)状況に応じてエントリー法を選択
ボートダイビングのエントリーにはいくつかの方法がありますが、「ジャイアントストライドエントリー」と「シッティングバックロールエントリー」の2つが一般的。船や状況に応じてベストなエントリー法を選びましょう。小型のボートや船べりの低いボートは「シッティングバックロール」、それ以外のボートは「ジャイアントストライド」ということが多いのですが、どちらが適しているかわからないときは、ガイドやボートスタッフに確認のうえ、エントリーするといいでしょう。
6)エントリーしたらすぐに船から離れる
エントリーしたらすぐにアンカーロープに向かって泳ぎ始めます。流れのあるところだと、モタモタしていると流されてしまうので注意。また、泳ぐ際にあまりに船の近くだと、揺れたボートにぶつかったり、エントリーしようとしているダイバーの邪魔になるので、少し離れたところを泳ぐように心がけましょう。BCがエアでパンパンに膨らんでいると泳ぎにくいので、エントリー前のBCの給気は少しだけにしておくことがポイントです。
7)カメラはエントリー後に渡してもらう
ダイビング中に水中撮影を楽しむ場合、自分でカメラを持ってボートからエントリーするのは避けたほうがいいでしょう。というのも、着水時の衝撃で水没してしまう恐れがあるからです(カメラに衝撃を与えない「フロントロールエントリー」などのエントリー法もありますが……)。まずは自分だけでエントリーし、水面でボートからカメラを渡してもらうのがベスト。着水による衝撃をカメラに与えずにすむので安心です。
8)エキジットの際はラダーから離れて順番を待つ
ほかのダイバーがラダー(はしご)でボートに上がっているときに、ラダーの下で順番を待つのはとても危険。ボートが揺れたり手を滑らせて、そのダイバーが落ちてくる危険性があるので注意しましょう。
9)フィンは片手で脱げるように
ボートに上がるときは、片手でしっかりとラダーをつかみ、もう片方の手でフィンを脱ぐことになります。モタモタしているとほかのダイバーの迷惑だし、揺れで酔ってしまう危険性もあるので、スムーズに脱げるよう、日頃のダイビングから練習しておきましょう。
10)ボートに上がったらすぐに場所をあける
ボートに上がる場所が一カ所しかない場合も多いので、そこでのんびりしていると次の人が上がってこられません。ラダーを上がったら、すぐに場所をあけること。船が揺れていることもあるので、手すりやボートのへりにつかまりながら、邪魔にならない場所までゆっくりと移動することがおすすめです。
ボートダイビングは平均深度が深い場合が多いので、ダイビングの最後には必ず、安全停止を行ないましょう。水深5mに3分間が一般的ですが、うねりや流れがある場合や、中性浮力に自信がない人は、一定の水深を保つのが難しいことも。アンカーロープがあれば、それにつかまって安全停止するといいでしょう。
水面やボートの上は揺れやすいので、ほかのダイバーが上がるのを待っている間に酔ってしまう人も多いようです。水中に潜ってしまえば揺れないので、ほかのダイバーがボートに上がるまで、水中(水深5m以浅)で待っていて、なるべく後からボートに上がるというのも手です。
12)タンクをおろすときは細心の注意を
ボートは揺れていることが多く、足場が不安定なので、タンクをおろすときには注意が必要。立ったままおろそうとすると、揺れた拍子に転んで、ケガをする危険性もあります。一旦座ってからタンクをおろすか、バディと協力してお互いのタンクをおろすといいでしょう。