肩こり

子供の肩こり・腰痛の原因に…重いランドセルの対策法

【カイロプラクティック理学士が解説】子供の肩こりや腰痛の原因にもなる重いランドセル。体格や体力だけでなく、姿勢などによっても重さの感じ方や、身体への負担の大きさが変わります。ランドセルが原因の肩こり・腰痛を防ぐためにできることと、体への負荷を低くする姿勢を作る簡単体操をご紹介します。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

子どもの肩こり、首の痛みや腰痛の原因は重いランドセル?

想像以上にランドセルがずっしりと重いため、子供の体への影響が気になるという声も多いです

想像以上にランドセルがずっしりと重いため、子供の体への影響が気になるという声も多いです

「ウチの子、首と肩を痛がるんですよ」と小学生のお子さんを連れて私のところへ相談に見えるケースがあります。「ランドセルが重くて」と首・肩痛の心当たりを語るお子さん。つらさを訴える部位に触れてみると、筋肉の過度な緊張があり、背中も左右で硬い部位が異なっていることが分かります。また、座り姿勢をチェックすると、上半身を自力で起こすのが大変なのかと思うくらい、背を丸める前傾姿勢が癖づいていました。

ひと昔前に比べ、ランドセルのサイズが大きくなり、教科書も増えたことで、ランドセルが重くなっていることなどは、最近メディアでも取り上げられています。重いランドセルが原因の子どもの肩こりの対処法について解説します。

ランドセルで肩が凝りやすくなる原因

冒頭のお子さんの訴えのように、ランドセルの重みが首や肩周りの症状を強めていると感じる原因として、大きく2つの問題が考えられます。

ひとつは、背負うランドセルの重さの問題。もうひとつは、ランドセルの重みを受け止める上で大切な姿勢の問題です。姿勢のバランスが崩れていると、肩こりだけではなく腰部にも影響するため、ランドセルによる腰痛の要因の一つになるのではと思います。

ランドセルの重さの感じ方に個人差があるわけ

小学校へ入学したばかりの新1年生のランドセルを持たせてもらったことがあります。教科書が増える高学年よりは軽いのかもしれませんが、最近まで幼稚園・保育園に通っていた子供が、急に背負うことになるものとしては、ズッシリと重く感じました。

その時のランドセルの総重量は3.3キログラムでしたが、成長途中の子供にはかなりの体格差もあります。また、体を動かして遊んでいて体力があるか、重量を受け止める姿勢が整っているかといったことでも、重さの負担や感じ方も変わってくるようです。
   

重いランドセルの体への負担を軽くする方法

ランドセルを軽くするために学校に教科書を置いておくという案も聞きますが、基本的には全て持ち帰らなくてはならない学校が多く、重量自体を軽くすることは実際にはなかなか難しいそうです。家庭で取り組めることはある程度限られてきます。

子供たちの生活スタイルや取り巻く環境も、ひと昔前とは変化してきているため、その上でできる子供の肩こり・腰痛対策を試していきましょう。

1.ランドセル選びでは重さやくふうをチェックする
すでに小学校へ通っている場合は、ランドセルの買い替えは考えにくいと思いますが、これから入学する方は慎重に選びましょう。各ランドセルメーカーがアイディアを活かして、肩こり・腰痛問題に対応するべく背負いやすいくふうがなされたラインナップを揃えています。

軽量化されたランドセルは、長持ちするかの強度も大切なポイント。軽量を謳っていないランドセルでも、いくつかの種類を実際に試すことで背負いやすさ・フィット感の違いが実感できるかと思います。

2.ランドセルのフィット感をチェックする
体に合わない場合は背中とランドセルの間に隙間ができたり、違和感があったりします

体に合わない場合は背中とランドセルの間に隙間ができたり、違和感があったりします

ランドセルのフィット感は、実際に背負った時に子供が感じる「背中の感覚」と、大人が見たランドセルの傾きでチェックできます。ベルトの長さが体に合っていないと、ランドセルに傾きが生じ、背中との間に隙間が空いてしまいます。

どこかに痛みを感じたり、食い込んだりせずランドセルの位置が安定していますか?

どこかに痛みを感じたり、食い込んだりせずランドセルの位置が安定していますか?

このように、見た目でもランドセルの面が背中にフィットするように、ランドセルがまっすぐ立ったような状態が理想的です。かつ、子供が背負った時に背中に違和感がなく楽に感じることです。できれば、歩く・軽く走る・腕を動かすなど体を動かしてみましょう。動作において背負っていることがツライと感じないことも確認しておきます。

3.入学前に重さを体感しておく

まずは少なめにノートや本などをランドセルに入れ、背負って部屋の中を歩いてみましょう。慣れてきたら、入れる冊数を少しずつ増やして、これから毎日背負うランドセルの感覚に慣れておきます。ランドセルを下したあとは、下記でご紹介する体操を行い、筋肉の緊張をほぐしましょう。

4.リラックス習慣を身につける
本来、リラックス状態は体のメカニズムとして自然と調整され、健康に過ごすことができるような仕組みになっています。ですが、子供たちを取り巻く環境は、リラックスよりも緊張を強いられやすい傾向になっています。

緊張状態から解放されないと、ランドセルの影響がなくとも姿勢が悪くなったり、肩こり、腰痛につながる筋肉のコリが生じます。塾や習い事で時間的なゆとりが無いケースも多いですが、家庭でも全身を動かす体操をしたり、壁を使った逆立ちで、筋力・バランス感覚を養うなど取り組みの時間を少しでもつくってみましょう。

5.普段の姿勢に注意する
「4」と関連することなのですが、不自然な姿勢をとったり座って過ごす時間が増え、その過ごし方が姿勢の悪さへつながるケースが多いようです。

勉強で机に向かう時間、スマホやゲームを操作している時間、テレビを観ている時間、フローリングなど椅子ではない場所で過ごす時間など、偏った筋肉の使い方を繰り返すことで、姿勢を支える機能に問題が生じます。姿勢の歪みにもつながり、歪んだ姿勢でランドセルを背負うと負担の少ない理想的な状態から遠ざかる可能性があります。

家族で楽しく挑戦!体を動かす予防策

上記のような問題点をなるべく解消対応しながら、ご紹介する体操をお試しください。一連の流れとして、全ての体操を行ってもよいですし、できそうなものから試してもかまいません。ですが、なるべく三日坊主にならないよう、毎日続けると効果が得られやすいと思います。ご家族で一緒に楽しく取り組んでいただければと思います。

■体操のメリット
1.ランドセルを背負う負担を軽減する理想的な姿勢バランスをつくる
2.ランドセルを背負った後や荷物が重かった日の疲れをすぐに解消する
3.日常生活における不良姿勢の悪化予防になる


■腕の付け根からぐるっと回す体操
簡単な動作ですが、硬くて動かしにくいというお子さんもいます

簡単な動作ですが、硬くて動かしにくいというお子さんもいます

肘を大きくゆっくりと動かすことで、肩こりを起こしやすい肩周りの筋肉をほぐします。肩先に指先を当て、なるべく大きく左右の肘をぐるりと回します。腕の付け根から大きく動かしましょう。内回し5回、外回し5回を1セットとして、3~5回行います。

■バランスをとりながらピョンピョン運動
バランスを取りにくいお子さんもいますので、安全な場所で行いましょう

バランスを取りにくいお子さんもいますので、安全な場所で行いましょう

片足立ちになりお尻の筋肉や背骨を支える筋肉などを使いながら、ピョンピョン5~10回飛び跳ねます。両腕を水平にしたまま、バランスをとりながら跳ねてみましょう。反対側に足をかえて同様に行いましょう。

■背スジと脇を伸ばすストレッチ

バランスがとれそうであれば、カカトの上下運動(つま先立ちになる)を3回加えてみましょう

バランスがとれそうであれば、カカトの上下運動(つま先立ちになる)を3回加えてみましょう

1.背か丸くなったり、傾いたりしがちな姿勢をリセットするために、伸びをしながら脇を伸ばしましょう。両手を合わせて頭上へ上げていきます。伸びをしながら大きく深呼吸を1回します。

動かす方へ意識がいき、上手に伸ばせていない場合があるため気を付けましょう

動かす方へ意識がいき、上手に伸ばせていない場合があるため気を付けましょう

2.上半身を右側へゆっくりと倒し、体のサイドを気持ちよく伸ばしましょう。この時、倒し始めからストレッチまで、20カウントしながら倒しましょう。3~5回ずつ、反対側も同様に行います。

■ひねりながら股関節周りをストレッチ

下半身が安定するように注意しながら行ってください

下半身が安定するように注意しながら行ってください

上半身をひねることで、股関節周りを刺激します。良い姿勢を保つにも大切な腸腰筋(ちょうようきん)や腹斜筋(ふくしゃきん)を伸ばしてみましょう。右足を前、左足を後ろにして前後に足を開き、左ひざを床に近づけます。手を組み両肘を伸ばしたまま、上半身を右側へひねっていきましょう。10~20秒間キープします。同様に反対側も行いましょう。左右3~5回ずつ行います。


ランドセルは6年間同じものを使用しますが、体の成長に合わせてベルトの長さを調節したり、生活習慣の変化に応じて体への負担を考えてみたりと、その都度対処していくことが大切です。できる方法で体への負担を減らし、快適にランドセルとお付き合いしていきましょう。
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