中性浮力とは? ポイント4つ
「中性浮力」とは、水中で浮きも沈みもしない状態のこと。魚のようにスマートに泳き、海の中をフワフワと漂っているのは最高の気持ちよさ。ダイビングの快適さは、いかに中性浮力をうまくとるかに左右されるといっても過言ではありません。ところが、ダイバーに「あなたの苦手なスキル(もしくは上達したいスキル)は?」という質問をすると、まず間違いなく1位になるのが、この「中性浮力」。なかなか上手に浮力をコントロールすることができず、水面へ浮いていってしまったり、逆に水底を這いずり回ったり……。急浮上や急潜降によるトラブルや、水中の障害物との接触などの危険性もあり、この状態では快適にダイビングを楽しむことは難しいでしょう。
どうすれば上手に中性浮力をとることができるのか、以下に4つのポイントを紹介します。これを意識して潜れば、意外と簡単に中性浮力は取れるはず。しかも、1回コツをつかんでしまえば、あとは自然にできるようになるので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
■中性浮力のポイント
ポイント1:適正なウエイト(重り)を身につける
中性浮力がきちんととれない大きな原因となるのが、体に身につける「ウエイト(重り)」。軽すぎると水中に沈むことができませんし、逆に重すぎても、中性浮力がとれないだけでなく、フィンキックや潜降、エアの消費量など、さまざまなスキルに悪影響を及ぼします。それを避けるためにも、ぜひ調べておきたいのが「適正ウエイト」です。適正ウエイトの調べ方は、
- すべてのダイビング器材を身につけて、水面に浮かぶ。
- BCD内のエアを完全に排気。この時点で体がどんどん沈んでいってしまうなら、ウエイトが重すぎなので、ウエイトを減らす必要があります。
- 息を大きく吐き出します。それですぐに体が沈んでいってしまうようなら、やはりウエイトが重すぎです。逆に、まったく沈まないようなら、ウエイトが足りていないので増やします。
- 息を完全に吐ききってから、数秒後に体がゆっくりと沈み出すくらいが、理想のウエイト量です。
- タンクが軽くなって後半に浮力が増すことを考慮し、1キロくらいを最後に足します。
この適正ウエイトでダイビングをすれば、水中でほとんど浮力をコントロールする必要がないため、安定した状態でダイビングが楽しめるはず。自分の適正ウエイトを見つけて、ダイビングを楽しみましょう。
ポイント2:肺の浮力のコントロール
中性浮力をとるためには、肺の浮力の“平均値”が安定している必要があります。これには大きくゆっくりとした呼吸を続けることが大切。大きく吸って大きく吐く場合、肺をめいっぱい使っているため、膨らんだ状態のときと縮んだ状態のときはいつも一定の浮力となり、浮力の平均も一定のラインをキープできます。ところが吸うのも吐くのも中途半端だと、肺が膨らんだ状態も縮んだ状態も浮力がバラバラ。浮力の平均が一定にならず、不安定になってしまうのです。しかも、大きく吸って大きく吐いた場合と比べて、浮力の平均値が高くなるため、そのぶん多くのウエイトが必要になるというデメリットも発生します。ダイビング中は常に、大きくゆっくりとした呼吸を続けることを心がけましょう。
ポイント3:BCDの浮力のコントロール
中性浮力をとるために、必要な器材がBCD。内部に空気を出し入れすることで、浮力を調節することができます。ポイントは「潜降するにしたがってBCD内に空気を入れ、浮上するにしたがって空気を抜く」ということ。潜降するにつれてスーツ内の気泡などが水圧で圧縮され、浮力は減少します。つまり、水面では中性浮力であっても、潜降するにつれて浮力は減っていくというわけです。したがって、中性浮力を維持しようと思ったら、減ったぶんの浮力を補うための空気をBCD内に補充する必要があります。浮上の際は逆で、圧力が減るのに伴い、BCD内の空気が膨張していきますので、余分な空気を排出する必要があります。
ポイント4:水中の姿勢も大きなポイント
中性浮力を取るうえで、水中での姿勢も大きなポイント。中性浮力がきちんと取れていれば、トリム(水平の姿勢)をとって泳ぐことができますが、ウエイトが重すぎると体が上向きに(立ち漕ぎ姿勢)、軽すぎると体が下向きになりがちです。キックして泳いでいるうちは一定の水深を保つことができても、動きを止めると浮いたり沈んだりしてしまうはず。手足をムダに動かすことなく、水平の姿勢で中性浮力がとれるように練習しておきましょう。ただし、BCDから空気を抜くときは、水平姿勢のままインフレーターから空気を抜こうとしても、空気は背中の部分にたまってしまい、きちんと抜くことが困難です。一旦しっかりと体を立ててからBCD内の空気を抜くことをおすすめします。
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