アドバイス1 家計簿をつければ不安解消につながる
ご自身は「家計はあまり把握していません」と言われていますが、貯蓄率も高く、無駄遣いもありません。無意識かもしれませんが、支出全体がよく抑えられているためです。家計管理は現状のままで、何ら問題ないと思います。家計簿は、つけることでさらに無駄がなくなるかもしれません。結果、貯蓄ペースも上がるでしょう。また、お金の流れ、キャッシュフローが見えることで、必要以上に不安にならずに済むというメリットもあります。今からでも遅くないので、始めてみてください。
ともあれ、現状で試算をしてみましょう。
貯蓄は、定期預金に毎月8万円積み立てられていて、それとは別に普通預金も1年前と比較して150万円ほど残高が増えているとのこと。今後もその貯蓄ペースが維持されれば、お子さんが高校卒業となるまでの11年間で、できる貯蓄は約2700万円。他に、学資保険がわりに加入している終身保険の解約返戻金、さらに今ある貯蓄も合算すれば、総貯蓄額はおよそ3500万円となります。
教育費は進路によって大きく異なりますが、仮に中学から私立に通うとして、かかる費用は余裕を見て総額1500万円とすれば、手元には2000万円が残ります。つまり、教育資金の備えは十分足りるということになります。
アドバイス2 老後資金も十分用意できると考えていい
では、老後資金はどうでしょう。お子さんが高校卒業時には、ご夫婦とも52歳ぐらいで、ちょうど住宅ローンの完済も同じ時期なので、浮いた住宅コストを全額貯蓄に回すことができれば、さらに年間90万円貯蓄額が増えます。途中、クルマの買い替え等の大きな支出を考慮しても、60歳の時点で3000万円ほどが貯蓄として残り、これに退職金を加算した額が用意できる老後資金ということになります。また、ご主人の定年が65歳ということなので、実際に老後はそこから。syさんが60歳でパートを辞めても、そこからの5年間でさらに1200万円ほど貯蓄できる(65歳以降もご主人の収入が変わらない場合)のです。
もちろん、これで「老後資金が足りる」と断言はできません。しかし、老後の基本的な生活費が現在と同水準なら、車検費用や固定資産税等を月割りで加算しても、1カ月で17万~18万円といったところ。公的年金の受給額は不明ですが、この生活費なら年金だけで足りる可能性もあります。将来的にはマンションのリフォームや医療費、介護費用が発生するかもしれません。長生きリスクも考えられます。しかし、それらが一般的なコストで収まるなら、老後資金で困ることはないと考えていいでしょう。
アドバイス3 家族で「楽しむ」ためにもっと支出してもいい
そのことを踏まえてあえて言うなら、もう少し「楽しみ」の部分で支出をしてもいいのでは。もちろん、お金を掛けることだけが楽しむ方法ではありませんが、例えば、お子さんと旅行に行ける機会はあとどのくらいあるでしょうか。もし中学受験されるなら、さらに時間は限られます。資金的余裕はあるのですから、syさんの世帯にとって家族で楽しむことはとても有意義なお金の使い方だと思います。最後に保険について。ご主人の医療保険は、保障がやや過大。入院給付を60日型、日額5000円に下げれば、保険料は半分近くになります。また、死亡保障は収入保障保険で現状1700万円ほど確保していますので、加入されている終身保険の必要性は高くはありません。予定利率はわかりませんが、貯蓄性が高くないなら払済保険にして、保険料分を貯蓄に回した方が合理的です。それと、syさんの医療保険、がん保険があと2年で切れます。医療保障については共済で保険料コストを抑えてもいいでしょう。
相談者「sy」さんから寄せられた感想
貯蓄ペースを維持すれば、教育資金&老後資金もほぼ確保出来る様で大変安堵しました。お金を使う事に対する不安がストレスでした。家族で楽しみの為にお金を使う心の余裕が出来ました。まず家計簿を始めたいと思います。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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