その担当者が住宅メーカー側の窓口・代表者となる「営業担当」。お客様と一緒に家づくりに取り組むパートナーであり、綿密なコミュニケーションが欠かせません。「住宅展示場にいる営業担当と話をするのはちょっと緊張する……」というのは単なる誤解。理想の家づくりを叶えるための「営業担当活用術」を伝授します。
住宅メーカーの営業担当の役割って?
住友林業 住宅・建築事業本部営業推進部 主任 間瀬信宏さん
「お客様と営業担当のお付き合いは、住宅展示場にお客様が来場され、そこでご案内する時から始まります。ネットで資料請求された場合でもこちらから連絡してアポイントをいただき、展示場でお会いするケースが多いですね。ご紹介の場合、お客様は営業担当を指定されますが、もちろん住友林業の営業担当は誰であっても大丈夫。不安に思う必要はまったくありません」
と自信をもって話す間瀬さん。そこで、どんな営業が“良い営業”と言えるのか聞いてみました。
営業担当とお客様の最初の接点となる住宅展示場(上/神奈川県・秦野住宅展示場[外観] 下/静岡県・静岡第一展示場[リビング])
「いろいろな要素があります。家づくりは数多くの“決断”を繰り返して進めていくものですが、その都度必ずいくつかの選択肢をご提案し、お客様が決断をしやすいように導くことが求められると思います。
また、家づくりのことだけではなく住宅ローン、建築基準法、各地の条例など専門知識を持ち、それに基づいてアドバイスができることも大切です。もちろん対応が早い、約束を守るなど、誠実であることは言うまでもない大前提です」
“大前提”は住宅メーカーの営業担当である以前に、信頼できる社会人としての当然の条件。数度の詳細な打ち合わせや現場見学、土地探し、契約、竣工検査などなど、長い場合は1年近くにおよぶ注文住宅づくりは、それだけ営業担当と付き合う時間も長くなるもの。誠実さはやっぱり大切なのです。
営業とお客様間のコミュケーションが家づくりの第一歩
さて、最初の段階では営業担当とどんな話をするのでしょうか。「そもそも注文住宅はすでに建物が完成している建売住宅とは違い、お客様と一緒に作っていく家です。その中でも住友林業の注文住宅は、あらかじめ用意された選択肢を選んで組み合わせていく『定食セット』ではなく、素材(好みのイメージや暮らし方)をもとに、ゼロから作っていく『創作料理』のようなイメージだと思います。
つまり、間取りのデザインの自由度が高く、“できること”がたくさんあるというわけです。
「週末まとめ買い派か否か」はキッチンのプランに直結する質問に
- 現在お住まいの家で困っていることは何ですか
- 逆に気に入っていることは何ですか
- モノを捨てることに抵抗はありませんか
- 嫁入り道具のタンスがありますか
- 将来お子さんは何人ほしいですか
- ペットを飼いたいですか
- 買い物は週末のみですか、毎日されますか
- 季節ごとに衣替えしますか、常にクローゼットに洋服を下げておきますか
『リビングは何畳欲しいですか?』とご質問しても、部屋の畳数を明確にイメージできているお客様は少ないです。それよりも、ゼロの状態から家をつくっていく注文住宅の場合、まずはどんな暮らしがしたいかというイメージをしっかり共有したほうが、その後の家づくりのプロセスが満足のいくものになります」
なお、上記の質問はあくまで一例であり、お客様によっては希望の暮らしを具体的にリストアップされて持参する方もいるそうです。
「もちろん、あらかじめ決まっている方はぜひ教えてください。ただ、そのような方はごく一部で、ほとんどの方はリストアップされる段階まで至っていないのが一般的です。まずは、どんなにささいなことでも構いませんのでお気軽に相談してください。ざっくばらんにお話をしていただければ、営業担当にはお客様の理想の住環境が見えてくるものです」
理想の暮らしに直結!「お金」の話は最初にヒアリング
お子さんの進学など人生の転機に必要となる金額をふまえて資金計画をシミュレーションしてくれる
「お客様がイメージする新生活は、資金計画と密接に関係しており、どんな暮らしをしたいかをヒアリングする際、重要な情報のひとつになるからです。お金の話を後回しにして間取りやデザインの話をしても、後々『予算が足りないのでこれはできません』ということになる可能性もあります。そんな残念なことのないように、おおよその世帯年収、共働きの場合、奥様はいつ頃まで働く予定か、現在お支払いの家賃は、などをうかがっております」
例えば、当面は月々10万円払えたとしても将来家族が増えて奥様が産休・育休を取られた場合、金額が減る可能性があります。そういった暮らしの変化を踏まえて、営業担当がライフプランのシミュレーションも行うそうです。
「出産、お子さんの進学、結婚などのタイミングでどのくらいお金がかかるか、それをふまえて家にいくらお金を充てられるか、などを簡易シミュレーションします。場合によってはファイナンシャル・プランナー(FP)に依頼して、より詳細なプランを立てることも。せっかく良い家を建てても余裕のない生活になっては元も子もないですからね」
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