「縁側のある家」の魅力とは
縁側は最近では懐かしい言葉となり、昔ながらの縁側のある家は少なくなりました。縁側というと和風のイメージが強いうえ、近年はリビングを住まいの南側に配置することが多くなり、つくらなくてもよくなった事もあるでしょう。その代わりにウッドデッキが縁側のような役割を果たしているのかもしれませんね。縁側の魅力は何といっても家の外とも中とも言えない“曖昧な空間”がつくり出す心地よさです。家の中にいる時は安心感、一方外にいる時の開放感。この2つが気持ちよさを感じさせてくれるのです。
そもそも縁側ってどんな意味?
「えん」と読む同じ意味の漢字には、縁ともう一つ「椽」があります。縁はふちの語源「端」からきていて、織物の端というのが本来の意味です。一方、椽の方が和風建築で部屋の外側につけた板張りの細長い床部分のことで、板を床に並べた板敷きを「簀子(すのこ)」、縦に並べたものを「縁」とか「縁側」と呼んでいたのです。今でもベランダに木を敷く場合、簀子と呼んでいます。これは板を横に並べているからです。縁側は縦ですから、まさに簀子と縁側は兄弟のような関係とも言えるのです。
縁側と濡れ縁の違いは?
縁側にはいくつかの種類があります。その中でよく耳にするのが「濡れ縁」ではないでしょうか。縁側と濡れ縁の大きな違いは、一言でいうなら、縁側は建物の内側に使われ、濡れ縁は建物の外側に使われるということです。
・建物の内側に使われる縁側
・家の外に使われる濡れ縁
縁側の種類は下の図表のように分類して考えると分かりやすくなります。
・縁側の種類
現代風に縁側をとり入れるには
かつての縁側はそこで日向ぼっこや語らい、物干し、収納など実に様々な用途に利用されていました。現代においてもその多目的な使い方は変わりません。そのうちの2つをご紹介しましょう。1.インナーテラス
室内にあるものの、屋外の雰囲気を味わえる空間で、内にも外にもなれる曖昧なスペースです。温熱もコントロールします。
2.縁側デッキ
可動式テントなどを設けることで、リビング→デッキ→庭へと緩やかに外とつなげることができ、空間の広がり感をつくります。もちろん、バーベキューや子どもたちの遊び場といったアクティブな使われ方も期待できます。
一般には外で使われるので濡れ縁の延長線上にあると言ってもよいでしょう。近年はウッドデッキと言った方が分かりやすいかもしれません。
・縁側の現代風な取り入れ方をイラストで理解
プライバシーや防犯の面を忘れずに
ここまで、縁側の良いところをあげてきましたが、今は昔と違いプライバシーや防犯上でも注意が必要になるでしょう。それでもこのような縁側を取り入れたいのであれば、設計者とよく相談し、バランスを見極めつつ現代風な縁側を取り入れてみてはいかがでしょうか。ガイド佐川旭のひとりごと
寿司屋さんへ行って縁側と注文するとヒラメやカレイの握り寿司が出てきます。ここでの縁側はヒレを動かすための筋肉のことを言い、コリコリとした舌触りが好まれます。これは身の形が家屋の縁側に似ていることからそう呼ばれているのです。そこで縁の言葉にかけて「縁は異なるもの味なもの」ということわざがありますが、縁側も内でも外でもない異なものであるけれど、あれば便利で味なものなのであります。
隣地との間に少しでも隙間があるようでしたら、縁側を付けてみてはいかがでしょうか。
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