アドバイス1 収入アップしか現状を打開できない
結論から申し上げれば、今後貯蓄をしていくためには転職することがもっとも有効な手段だと思います。その理由ですが、まず家計支出をこれ以上削ることが難しいからです。
家計の見直しについて、工夫の余地があるとすれば、通信費くらいでしょうか。金額だけで言えば、クルマを手放すことがもっとも効果的ですが、がっちゃんさん本人にとって、生活に必要であり、なおかつご自身の行動範囲を広げ、運転そのものが楽しみにもなっている点を考慮すれば、これをカットして生活が味気ないものになるのはかえってマイナスだと考えます。
また、賃貸から実家に戻ることができれば、家計はラクになりますが、通勤ができるか不明ですし、そもそも社会人になったら実家からは出るように言われているのであれば、戻れなくても仕方がないということになります。
理由のもうひとつに、現在の職場環境があります。
正社員になった場合、生活費が変わらないなら、毎月2万円貯蓄ができます。ボーナスからは半分ちょっとできれば年間50万円。10年で貯蓄は500万円になります。これはこれでまとまった額ですが、懸念としては、まず正社員になれる確約がないこと。また、仮になれたとして、それが数年先であれば、その間は結局、今の生活を強いられます。つまり、現在の職場で正社員登用を待つこと自体、リスクを抱えていることになるわけです。
アドバイス2 エリアは東京も含めて、まずは情報収集を
がっちゃんさんが転職に切り出せない理由は、社会人としてのキャリアがまだ不足している点が大きいとのこと。今後、どのようなキャリアを目指し、現在の職場でどのような業務をされているかはわかりませんが、すでに2年以上社会人を経験し、簿記の資格を活かした仕事をしている。それだけでも、一定のアピールポイントになるはずです。そもそも「時給900円で2年間、アルバイトをしている」という時点で、転職の動機としては十分ではないでしょうか。
また、家族と離れることにさみしさもあると言われていますが、であれば県内で探して、しかし、さらにいい待遇、条件を目指すなら、東京および首都圏に転職エリアを広げてほしいと思います。転職要件は、正社員であること。どうしてもそれが難しいなら、契約社員でも厚生年金には加入できる職場であること。これは外せない要件です。
東京で仮に働くとすれば、社員寮があれば別ですが、一般には確実に住宅コストがアップします。しかし、おそらく東京ではクルマは不要になります。また、収入は確実に上がるわけですから(それでなくては東京で働く意味がない)、家計はあきらかに今より余裕が生まれるはずです。
アドバイス3 転職活動は早目に着手すべき
今、着手すべきは、転職のための情報収集です。そして、希望する求人が見つかれば応募し、面接を受けるといった実際の活動です。もちろん、焦る必要はありません。しかし、行動は早い方がいいと思います。せっかく学生時代に貯めた手持ちの貯蓄も、そう長くは持ちません。年内には決めるぐらいの気持ちで活動してください。また、きちっと家計管理ができるがっちゃんさんにとって、大敵はストレスです。ストレスから、違う病気を併発してしまい、その結果、収入が1カ月でも途絶えてしまうとすれば、それは今の家計にとって大きな痛手です。絶えず、健康管理にも気を配ることが大切です。
最後に、医療保険には加入しておくといいでしょう。保障は入院給付が日額5000円。それ以上は要りません。終身保障終身払いの医療保険で、保険料は2000円以内に収まるはずです。あるいは共済でも構いません。
相談者「がっちゃん」さんから寄せられた感想
先生に診断してもらい、やっぱり転職がキーになるんだなと思いました。生活費で削るのが難しいということは、無駄遣いと言うほどお金を使っているわけではなかったようなので嬉しく思います。職場の雰囲気を見つつ、転職活動を始めていこうと思います。仮に転職に成功しお給料が上がっても、生活水準は今のままにし、少しでも多くのお金を貯められるように頑張っていきたいです!教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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