アドバイス1 今の貯蓄ペースを維持することが重要
昨年の転職は大正解だったと思います。収入がダウンしても、前の職場がオーバーワークだったのですから、無理に続けて体を壊してしまってはそれこそ元も子もありません。しかも、減収したにもかかわらず、この貯蓄ペースを維持しているのは立派。毎月4万1500円と、ボーナスから10万円貯蓄に回せたとして、年間に約60万円。30年で1800万円、定年となる35年では2100万円となります。
もちろん、計算どおりに貯まる確証はありません。しかし、これだけ貯められる可能性が「ある」と「ない」では大きな違いです。退職金制度が現在の勤務先にあるかどうかは不明ですが、現在の生活費と厚生年金に加入していることを考慮すれば、老後資金で大きく困ることはないはず。少なくとも、マネープラン的にはご相談にあるような悲観する将来では決してありません。
したがって、現状では貯蓄ペースを維持していくことが、もっとも大事だということになります。高収入でなくても、あるいは今後大きな収入アップが望めないとしても、長く継続して貯めることで、その部分はカバーすることができるのです。
家計管理は無駄がなく、とてもバランスがいいと思います。しかも、十分に節約しなから、工夫をして自分の「楽しみ」のための予算も確保している。それを「贅沢」と感じることもあるようですが、決してそんなことはありません。生活に楽しむ部分、あるいは 家計にメリハリがなければ、貯蓄は続かないのです。今までどおり、上手に管理してください。また、食費もこれ以上は削らないこと。体が資本です。
アドバイス2 保障よりも今は現金を増やしたい
保険ですが、保障は意識して最小限に抑えてはいるが、医療保障をもう少し厚めにとも考えているとのこと。大丈夫、これで十分です。健康保険に加入していますから、高額療養費制度が利用できます。たぶん、理解されていると思いますが、保険ですべてをまかなうという発想には無理があります。心配にはキリがないからです。不足分は貯蓄から出すというスタンスで、保険は考えてください。所得補償保険については、確かに病気やケガで収入が途絶えることがあれば、それは大きなリスクです。不安に思う気持ちも理解できます。しかし、会社員であれば傷病手当金によってある程度(標準報酬月額の2/3を最長1年6カ月)はカバーできます。新たな保険料負担や現在の貯蓄額を考えると、新たに保険には加入せずに貯蓄を優先させる=現金を増やすべきだと思います。
アドバイス3 少額なら20代からのiDeCo利用も問題なし
また、投資が気になるようでしたら、つみたてNISAのほかにiDeCoに挑戦してもいいかもしれません。iDeCoは、掛け金は原則60歳以降でないと引き出せない、老後資金づくりに特化した制度です。その意味では25歳のご相談者にはまだ早いのですが、節税のメリット(掛け金が全額、所得控除になる)があります。また、今はさほどリスクは取れませんが、将来のために資産を増やすこともいずれ必要になってきます。したがって、貯蓄が500万円を超えたら、投資額を増額するということも検討していいのでは。加えて、iDeCoには口座管理等のコストが発生します。金融機関によって額が異なりますから、もしも割高であれば利用する金融機関を変更することも検討してみてください。
相談者「将来が不安」さんから寄せられた感想
相談させて頂くまでいろんなことが不安でしたが、自分自身がおもっているほど悲観的にならなくてもよいと言っていただけて少し安心しました。家計管理や保険についても教えていただいて良かったです。また、iDeCoについても始めようか悩んでいたところでしたのでとても参考になりました。もう少し貯金額が増えてから始めようと思います。ありがとうございました。こつこつマイペースにがんばります!教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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