渡月橋からスタート! 苔の美しい特別公開中の寺院へ
四季折々に表情を変える京都屈指の景勝地、嵯峨野・嵐山。古くから王朝貴族の隠れ家で紅葉狩りや舟遊びに訪れたというこの場所は、日本のみならず海外からの観光客にも人気のスポット。初夏は新緑が美しく、散策が気持ち良い季節です。嵐山のシンボル・渡月橋から嵯峨野・嵐山の新緑さんぽコースをご紹介します。通常非公開の寺社にも参拝してきましたよ。スタートは渡月橋。渡月橋が架かるのは大堰川と呼ばれ、ここより上流が保津川、下流が桂川と呼ばれています。橋が架けられたのは平安時代に遡り、渡月橋の名称となったのは鎌倉時代のこと。現在の橋脚は鉄筋コンクリート製ですが、欄干は日本産檜。桜、新緑、紅葉と季節ごとの風景と相まって、いつ来ても圧倒されます。
4月下旬、まず訪れたのは特別公開中の天龍寺塔頭の「宝厳院」。こちらは通常非公開ですが、春と秋の特別拝観時のみ拝観できます(2018年春の特別拝観は~6月30日)。こちらは天龍寺の塔頭寺院のひとつで、寛正二年(1461)に上京区で創建、のちに移転しました。初夏は山門までの道が青もみじのトンネルとなり、涼やかな緑陰を作ってくれます。
見どころは、嵐山の景観を取り入れた広大な借景式回遊庭園「獅子吼の庭」。獅子吼とは「仏が説法する」の意味で、庭園を散策することで鳥のさえずり、風の音、水のせせらぎを聴くことで自然と癒されるのが分かります。
庭園内には300本前後の紅葉が植わり、地面の苔を覆い尽くすことから、苔が良い状態で育つのだそう。苔の種類は約100種も! この日もこんもりと盛り上がる柔らかな緑の苔庭が広がっていました。
庭園の中ほどには「獅子岩」と名付けられた、獅子を思わせる苔むした巨石をはじめ、「碧岩」、「響岩」といった巨石を見ることも。
こちらのお寺はJR東海「そうだ京都、行こう。」青もみじ御朱印めぐり参加寺院となり、旅行商品の利用で、特別御朱印を受けることも。獅子吼の庭の写真を転写した紙が用いられています。
「宝厳院」
・住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36
・電話番号:075-861-0091
・参拝時間:2018年春の特別拝観は~6/30(土) 9:00~17:00
・拝観料:500円(本堂参拝は別途500円)
・交通:嵐電(京福電車)嵐山駅から徒歩3分、JR嵯峨嵐山駅から徒歩10分
・地図:Googleマップ
初夏限定のお菓子「夏柑糖」でひと休み
庭園を小一時間ほど散策した後は、初夏らしい甘味でひと休み。この時期オススメなのが「老松 嵐山店」の夏柑糖です。購入のほか、併設の茶房「玄以庵」で冷やした逸品を味わうことができます。「老松」では日本古来の原材料を用いた菓子を手がけていて、初夏の代表銘菓が夏柑糖です。山口・萩や和歌山などで委託栽培された純粋種の夏みかんの中身をくり抜き、搾った果汁と寒天を大釜で合わせて、再び流し固めた水菓子。
スプーンですくっていただくと、サクサクとした食感でのど越しがよく、ほんのりとした甘みに苦み、酸味が加わって、清涼感が楽しめました。例年、4月1日~7月上旬頃までの販売です(夏みかんがなくなり次第終了)。夏みかんの時期が終わると今度はグレープフルーツに変わるので、こちらもチェックです。
中庭に面した席なら、ひとりでも中庭の緑に癒されつつ、ゆったりと過ごせます。暑い季節は名物のわらび餅もオススメですよ。
「老松 嵐山店」
・住所:京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町20
・TEL:075-881-9033
・営業時間:9:00~17:00
・定休日:不定休
・交通:嵐電(京福電車)嵐山駅から徒歩3分、JR嵯峨嵐山駅から徒歩10分
・地図:Googleマップ
縁結び神社「野宮神社」で苔を愛でる
次に訪れたのは、良縁や子宝など女性に嬉しい御利益があるといわれる「野宮神社」。こちらは昔、天皇の代理で伊勢神宮にお仕えする斎王が、伊勢へ行かれる前に身を清めた場所で、源氏物語にも描かれたところ。
縁結びの神様、子宝安産の神様として、多くの女性が参拝に訪れ、ハート型の絵馬や護摩木に祈願していきます。
野宮神社のもうひとつの見どころが、じゅうたん苔。境内右手に進むと、青々とした美しい苔のじゅうたんが! 入口付近は参拝客で混雑していますが、こちらは少し奥まっていて静かに苔を眺めることができました。小さな太鼓橋も架かっていて、情趣が感じられます。
最後に、神石(亀石)を祈りを込めてなでてみました。願い事が叶いますように!
「野宮神社」
・住所:京都市右京区嵯峨野宮町1
・TEL:075-871-1972
・拝観時間:9:00~17:00(社務所)
・拝観料:無料
・交通:嵐電嵐山駅から徒歩5分
・地図:Googleマップ
青もみじに覆われた寺院を散策。さらに歩いて鮎料理の名店へ
このあと、嵯峨野の名所のひとつ、竹林の小径を通って、線路を渡り「常寂光寺」へ。竹林を渡る風が涼をもたらしてくれました。常寂光寺は、紅葉の時期に必ずといっていいほど立ち寄る紅葉の名所なのですが、青もみじの美しさもひと際きれいでした。
古くから紅葉の名所として知られる小倉山山腹に佇むこちらは、慶長年間(1596~1614)の開創ですが、境内には、百人一首の選者・藤原定家の山荘があったと伝えられる場所も。訪れた4月下旬は青もみじの新緑が大変きれいで、門も建物も萌黄色の青もみじですっぽりと覆われていました。
境内は勾配があり、山門、茅葺きの仁王門を抜け、多宝塔の横の坂道を登ると、見晴らしの良い展望台が。美しい姿の多宝堂越しに望む、京都市街の眺めは格別でした。
こちらのお寺もJR東海「そうだ 京都、行こう。」青もみじ御朱印めぐり参加寺院となり、旅行商品の利用で、特別御朱印を受けることができます。黄色い紙が用いられているのは、かつて経文が虫に食われないようウコン染めにしたことに由来しているとか。
「常寂光寺」
・住所:京都市右京区嵯峨小倉山小倉町3
・TEL:075-861-0435
・拝観時間:9:00~17:00(16:30受付終了)
・拝観料:500円
・交通:JR嵯峨嵐山駅から徒歩15分、嵐電(京福電車)嵐山駅から徒歩20分
・地図:Googleマップ
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この日のランチは、嵯峨野のさらに奥、愛宕神社の鳥居のふもとにある「平野屋」へ。
保津川水系で獲れた新鮮な鮎を使った鮎料理が名物で、鮎のシーズンは6月~10月半ばなのですが、春のお料理<四季のコース 6210円(税・サービス料 込)>では、嵯峨で採れた朝掘りの筍の木の芽和えや山菜、鮎の飴炊きなどが並びました。
メイン料理は、嵯峨の豆腐店「森嘉」の嵯峨豆腐の湯豆腐。滑らかな舌触りで大豆の優しい甘みが口いっぱいに広がりました。
料理の最後には、女将手作りの志んこを抹茶とともに。ねじれた形は愛宕神社までの山道を表しているそうです。
次回は天然鮎のお造りや塩焼きなどが並ぶ、夏のお料理もぜひいただいてみたいものです。
「平野屋」
・住所:京都府京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町16
・TEL:075‐861‐0359
・営業時間:11:30~19:00(LO)
・定休日:無休
・交通:JR嵯峨野線嵯峨野駅・嵐電嵐山本線嵐山駅から車で約10分
・地図:Googleマップ