奥様と建築家の槻岡佑三子さんはマクロビを介した共通の趣味で知り合い、槻岡さんのデビュー作[東大和の家]の無垢の木を多用した設計が気に入り、彼女に設計を託すことにしました。
築31年の木造2階建てのリノベーション
南側の外観。2階の外壁は金属サイディング張り。 |
東南側から見た外観。ブロック塀の黒い扉から母屋に入る。 |
東側の庭から板の間を見る。写真は全て田伏 博。 |
東京郊外の低層住宅が建ち並ぶ閑静な住宅地に、築30年を超える2階建ての木造住宅が建っています。南側に走る前面道路に面して間口一杯にブロック塀が走り、その奥に東西に軒が長く伸びています。玄関は家の中央にあります。
家全体の耐震のために、屋根を瓦からガルバリウム鋼板へ変更し、耐力壁となる筋交いを増やし、柱や梁などの接合部へは金物を設置しています。
また、耐熱のために壁面に断熱材を設置し、1階に新たに内窓を取付け、2階の窓もペアガラスのサッシュに交換しています。
1階は居心地の良い「家カフェ」
既存の箪笥が並ぶカフェスペース。壁と天井を白くして明るさを演出。 |
工務店が製作した椅子が並ぶ。 |
断熱のために、庭に面した窓に内窓を取付けて2重にしている。 |
工務店が製作したローテーブル。焼き菓子のショーケースの左側に仏壇が置かれている。 |
カフェ空間に続く子世帯のキッチン。床はスギの無垢のフローリング。写真:田伏 博 |
1階の西側に並ぶ2間は「家カフェ」になっています。以前から奥様が希望されており、リノベーションにより実現しました。元々6帖の和室と9帖の洋室だった2部屋の床をスギの無垢のフローリングでつなげて、ワンルームのカフェ空間として使っています。
既存の箪笥や仏壇も違和感なくカフェの雰囲気に馴染み、随所に工務店の製作によるテーブルや椅子を配することで、居心地の良い集いの場を造り出しています。
既存の和室空間を生かした親世帯の住まい
庭に面した親世帯の板の間。床はスギの無垢のフローリング。 |
8畳の和室。既存の和室の雰囲気を壊さずに、床の間を押し入れに変更して収納力を増強している。 |
既存の台所を親世帯のキッチンのスペースに改修した。カウンターの前には採光のための横長窓を新たに設けている。写真は全て田伏 博 |
1階の東側は親世帯のスペースです。8畳の和室はそのままに、庭に面した約4帖を奥行きのある広めの縁側のような板の間に変更しています。和室の北側にあった古くて暗かった台所を無くして、キッチン・ダイニングのスペースに造りかえました。
2階に畳敷きのリビングと個室
2階の廊下が子世帯のリビングと東西に振り分けられた2つの個室にアクセスする。写真:田伏 博 |
居間の東側には既存の床の間がある。 |
西側には神棚を設置。ちゃぶ台とテレビ台と低い収納は既製品。 |
南側の障子を開けると既存のテラスが現れる。 |
2階の西側の個室。飾棚を収納に変更している。床はスギの無垢のフローリング。写真:田伏 博 |
2階の真ん中の6畳間は子世帯のリビングとして使われています。床の間や南側の障子を開けるとテラスが現れ、物干し場となっています。
2階の西側は6畳の和室を洋室に変更してプライバシーの高い個室としています。北側に窓を増設することで、通風効果が生まれています。
親世帯と子世帯それぞれの暮らし方をヒアリングし、2世帯の距離感や生活時間帯、古い部分と新しい部分との融合、コストなど全体バランスを検討しながら設計をすすめた結果、地域の住民のコミュニケーションの場となる「家カフェ」が生まれ、2つの世帯が付かず離れずの程よい距離を保ちながら、快適に棲み続けることができる家となりました。
[東村山のリノベーション] | |
所在地: | 東京都東村山市 |
構造・規模: | 木造 地上2階 |
竣工年月: | 2015年10月 |
延床面積: | 147.32 m2 |
設計・監理: | スタジオソイ一級建築士事務所/槻岡佑三子 |
槻岡佑三子[スタジオソイ]プロフィール
2004年に荒木毅建築事務所から独立してスタジオソイを設立。農作業や落語観賞を趣味とし、これまでに「使われ方の変化、好みの変化に対応し、流行に流されずに新しいものも受け入れられる、さりげない「地」であること。そんな簡素で力強い建物を作りたいと考えています。」をモットーに住宅を設計してきました。スタジオソイ一級建築士事務所 |
Tel.03-3316-2545 |
https://studiosoy.exblog.jp / |
槻岡佑三子 [Tsukioka Yumiko] |