日本の離婚件数は減少、でも実際は……? 今どきの離婚理由とは
「3組に1組が離婚」の時代と言われてから、すでに約20年がたとうとしてるけれど……?
とはいえ、感覚として「離婚する夫婦が減っている」とは感じないことが多いのもたしか。それもそのはず、離婚する夫婦の総数が減ったとはいえ、結婚するカップルの数も少なくなっているのです。つまり、なんだかんだ言っても、今もずっと「3組に1組が離婚する時代」であることに変わりはない、ということになります。
現実的にも、年齢を重ねると知り合いが多くなる分、離婚経験者も自分の周りに増えていくもの。新しく知り合った人がバツイチだったりすることはもちろん、若いときにラブラブだったカップルが晴れてゴールインしたにもかかわらず、久しぶりに2人の噂を聞いたときに「あの2人、別れちゃったらしいよ」と驚かされるケースもよくあります。
ところで、離婚件数がピークを迎えた約20年前と比べ、離婚の理由には変化はあるのでしょうか。
増えている、今どきの離婚理由は「お金」
私は1991年に離婚相談室を設立して以来、30,000件以上の離婚相談をお受けしてきましたが、最近は特に「お金」が理由の離婚が増えてきたように思います。実際、裁判所に申立てがあった動機の統計で、「生活費を渡さない」という項目を見ると、2006年は夫から・妻から両方の総数が「11471」なのに対し、2016年は「14772」と、増加しています。
<参考URL>
・2016年度の離婚申立ての動機
裁判所 司法統計 家事事件編・平成28年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所
・2006年度の離婚申し立ての動機
裁判所 司法統計 家事事件編・平成18年度 婚姻関係事件数 申立ての動機別申立人別 全家庭裁判所
今どきの離婚トラブルの着地点は「お金」
離婚の原因も着地点も「お金」になるケースが増えています!
■A子さんのケース(30代・公務員)
「夫と別れました」と話すのは結婚して9年目、7歳と6歳の子どもがいるA子さん。離婚をしたい理由は、ズバリ「お金」のことでした。
もともとA子さんの住んでいた賃貸マンションで結婚生活をスタートさせたこともあり、家賃や水道光熱費は結婚後も引き続きA子さんの銀行口座から引き落とされる形でした。小学生の子どもにはそれほどお金がかかることもなく、生活費のほとんどは公務員であるA子さんの給料から支払っていました。
唯一、夫が支払うのは自分の趣味に関する費用だった、と言います。「もともと夫はゲーム好き。独身時代もずっとお給料のほとんどをゲームに使っていたと自慢するほどでした」とA子さん。
結婚したら変わるかと思いきや、「仕事と育児のストレスで爆発寸前。ゲームをやらなければ自分自身がダメになる」と言い、ゲームをやめる気はないとのこと。「『育児のストレス』とか言ってますけれど、実際は子どもの勉強を見るどころか、一緒にお風呂に入ることもありません。育児はほぼ私1人がやっていたんです……」と、A子さんはため息をつきます。
A子さんが離婚を考えるきっかけになったのは、結婚してからますますワガママになった夫の心ない言葉の数々だったと言います。「お前みたいにラクな仕事でお金をもらえるなんてうらやましい」「オレが自分で稼いだお金を自分のために使ってなにが悪い?」「子どもの教育費はこれからもお前が自分で払え」など、「お金」に関する不満からか、A子さんへの暴言が目立つようになった夫。
そんな夫に対して、「この先もずっと経済的にも育児的にも協力することがないとハッキリわかったので、別れたいと思ったんです」とA子さん。
……A子さんのような極端なケースは多くないものの、「お金」にまつわるトラブルが離婚の理由になる相談ケースは増えています。この場合、どういう展開が望ましいのでしょうか。
結局、A子さんは夫に離婚を切り出し、これまでの結婚生活でかかった費用を調停に申し立てて夫に請求することにした、と言います。A子さんは離婚を切り出したとき、同じタイミングで親権と慰謝料&養育費、子どもとの面会のペースなどの条件面の希望を提示しました。
すると、少し考えた挙句、夫は「わかった……」とあっさり離婚に応じたとのこと。「おそらく夫は、子どもや私への愛情面で考えたというより、「自分がどのくらいのマイナスで済むか」という経済面の負担を考えて、離婚に納得したのだと思います」とA子さんは冷静に語ります。
最近の離婚理由の特徴になっている「お金」にまつわる夫婦の離婚相談の解決のヒントは、やはり「お金」にある、ということ。損得勘定で離婚か修復かを考える夫婦が増えている、とも言えます。
「離婚をどうとらえるか?」で人生は変わる
離婚には希望を見いだせる理由もあります
ですが、お金がトラブル解決のヒントになって、夫婦がお互いに居心地のいい新たな場所を見つけられるのであれば、「離婚=ネガティブなこと」とは言い切れないのも事実。離婚は「人生の汚点」ではなく、幸せになるための選択肢の1つと考えることができるからです。
事実、離婚に希望を見出せる理由もあります。それは、「再婚の割合は年々増えている」という点です。つまり、「もう結婚なんてウンザリ。二度としたくないわ」と思うのではなく、「もう一度、誰かを好きになって愛する人と一緒に人生を過ごすのもいいかもしれない」と思う人が増えているということ。再婚することで、「離婚の経験があったから、今、幸せになれたんだ」と実感している人が少なくない、ということでもあるのです。
離婚は、決して誰にでもおすすめできることではありません。ただし、離婚を自分の人生で意味あるものとして、自分の成長につなげられるのであれば、必ずしもマイナスの経験ではないのです。
【関連記事】
最新版!離婚の理由・原因ランキングTOP10
急増する「熟年離婚」の原因TOP3と回避するための方法
実録!夫が家にいることが苦痛な妻たち
離婚の決断をする前にやってはいけないこと
離婚で損をしないための5つのルール