更に精悍な顔つきになった2018年型マジェスティS
2013年に登場したヤマハのマジェスティSは、それまでホンダのPCX150が独占状態だった150ccスクーター市場に投入され人気となったモデルです。2016年にはマイナーチェンジされフロントサスペンションやLEDポジションランプ、シートなどが変更されました。そして2018年、マジェスティSは新しい排気ガスの規制に対応するため装備をブラッシュアップし、モデルチェンジを果たしました。
マジェスティSは海外ではSMAXとして販売されています。TMAX530を筆頭とするMAXシリーズは、250ccのXMAX、マジェスティSと同排気量のNMAX155が存在します。同じクラスにラインナップされる形となっている2台。はたしてそれぞれの特徴はどう違うのか。
また、現在150ccクラスのスクーター市場にはNMAX155の他にも(三輪のトリシティ155は別にしても)PCX150が存在します。PCX150と比べるとどうなのか?このあたりを確認しながらブラッシュアップされたマジェスティSの試乗インプレッションをしてみたいと思います。
<目次>
新型マジェスティSのどこが変更された?装備をチェック
今回のモデルチェンジで変更されたのは主にフロント周りです。特にヘッドライト周りが大幅に変更され、LEDのヘッドライトが採用されました。このLEDヘッドライトは非常に明るく、ハイビームに切り替えた際も遠くまでしっかりと照らすことができるなど視認性に優れています。ただ、レンズに入っているアルファベットがヘッドライトの光と共に地面に映し出されたのは驚きました。
またポジションランプは、シグナスXなどにも装備されている導光タイプが採用されました。最近車でも同じような装備が採用される事がありますが、デザインのアクセントになっています。
フロントポケット近くに追加されたのは、12VのDC電源ジャック。マジェスティSはバーハンドルを採用しているのでハンドル部分にスマートフォンをクランプするオプションを装着する人も多いと思いますが、この位置に電源があると使い勝手は良さそうです。振動があるので自己責任となりますが、すぐ下にフロントポケットがあるので、充電中はここに入れても良いかもしれません。
マジェスティSのシート高は795mm。軽量な155ccスクーターなので足つき性はあまり気になりませんが、小柄な女性だと悪く感じるかもしれません。他の車種と比べても、NMAX155が765mm、PCX150は764mmとなっているので、ライバル車両と比べるとマジェスティSは足つき性が悪いという事になります。
マジェスティSのWMTCモードのカタログ燃費をライバルと比べてみると、NMAX155が41.7km/L、新型PCX150が46.0km/Lと高燃費なのに対し、マジェスティSは37.5km/Lとやや見劣りする結果となっています。ただしモデルチェンジ前のマジェスティSは37.1km/Lだったので、前のモデルからはやや向上しています。
シート高や燃費面で見るとライバルに比べてやや見劣り感があるマジェスティSですが、使い勝手の良さという点で見ると勝っているところがあります。それは荷物の積載量。
NMAXのシート下ラゲッジスペース容量は24L。新型PCX150は28Lとなっていますが、マジェスティSは32L。またフットスペースが広々しておりコンビニフックもついているので、ちょっとした買い物の際に引っ掛けておく事も可能です。走りに特化しているように見えて使い勝手の良さにも配慮されているマジェスティS。走りはどう進化したのか?チェックしてみました。
フロントフォークの動きが良くなり路面の追従性が良くなった
今回のモデルチェンジではエンジンの出力や足回りなどの走行性能面の変更は見送られており、フロント周りのデザインが変更されただけとなっています。しかし、2013年の登場以来試乗をしていなかった私にとって、2016年のマイナーチェンジの際に変更されたフロントフォークによって乗り心地が大幅に改善されているのには驚きました。
元々、マジェスティSは同排気量のスクーターに比べて前後共にサスペンションが固め。言い換えればスポーティーなセッティングになっているといえます。しかしサーキットを走るわけでもないので路面の凹凸がダイレクトに突き上げてくる印象がありました。
特にフロントフォークはかなり硬かった記憶があり、この点は気になっていました。しかし今回試乗した新型マジェスティSは若干柔らかくなっており乗り心地や路面の追従性が大幅に向上しました。
エンジンは、相変わらずアクセルを開ければ一気にタコメーターの針が6000rpm付近まで上がる元気の良さが魅力的です。この特性があるから他の150ccクラスに比べて燃費が悪いのだといえますが、低速からの加速感は最も優れておりメリハリのある走りをします。基本的に走りの面に関しては変更されていませんが、フロントフォークの動きが良くなったことでスポーティーな走りもできつつ、乗り心地が向上しているので使い勝手は良くなりました。
マジェスティSの価格は?台湾ではABS付きが選べるのに日本では選べない!
ヤマハの125cc~155ccクラスは台湾ヤマハで製造されている事が多いのですが、マジェスティSも台湾ヤマハが製造しています。台湾ではSMAXとして販売されており、ABS付きと無しのモデルを選択する事ができます。
しかし、マジェスティSの日本仕様はABSが設定されていません。安全性を重視すればABS付きは選択肢として用意してほしかったところ。NMAX155はABSが標準採用されていますし、PCX150はABS付きと無しを選択する事ができます。
マジェスティSは37万2600円(税込み)。PCX150の価格はABS無しが37万3680円、ABS付きが39万5280円で設定されています。マジェスティSのABS付きがあればPCX150のABS付きと同じぐらいの価格になる事が予想されますが、今後是非ともラインナップに加えていただきたいものです。
マジェスティS、NMAX155、PCX150それぞれ魅力的になり選ぶのが難しくなった
以前NMAX155を試乗した際のインプレッションでも書きましたが、街中で乗るのであればPCX150とNMAX155のどちらかがオススメでした。しかし、2016年にブラッシュアップされた装備と今回のモデルチェンジによってマジェスティSの街中での使い勝手が良くなりました。
それぞれ魅力は異なりますが、簡単に言ってしまえばPCX150はガソリンタンク容量が大きく燃費が優れているので連続航行距離にも優れる点が魅力。NMAXはABSが標準装備でありながら価格が抑えられている点が魅力。そしてマジェスティSは積載量とスポーティーなエンジンセッティングが魅力となっています。
今回のモデルチェンジではリア周りが変更されていないため、前モデルのリアキャリアを装備する事ができました。リアキャリアとリアボックスを装着することで、マジェスティSの積載量は更に大幅アップします。人気のクラスだけあり、各社の車両がどんどん魅力的になってきます。PCXもモデルチェンジを発表していますし、今後もこのクラスは目がはなせません。
マジェスティSをちょっとカスタムするなら
前モデルのリアキャリアが装着できるのは確認しました。リアボックスと同時装着で積載量を大幅アップできます。モデルチェンジ前のマジェスティSでも人気だったフレームマウントスクリーン。2018年モデル用も既にリリースされていました。長距離走る方や通勤で毎日走る方にはオススメです。
このヨシムラのマフラーは初期型とモデルチェンジ後のマジェスティSのどちらも認証が取得されているマフラーです。モデルチェンジ後のマジェスティSの型式は2BK-SG52J。マフラーを選ぶ際にはこの型式で認証がとれているかどうかを確認する必要があります。
【関連リンク】
※記事中で比較しているのは2013年モデルのマジェスティSです