離婚には「3つの段階」がある
離婚の種類と方法
離婚の流れを簡単に説明すると、
- 協議離婚
- 調停離婚
- 訴訟
まずは離婚で最も多い、夫婦で話し合って決める協議離婚です。それでもまとまらない場合、調停委員を交えて裁判所で話し合う調停となり、調停でもまとまらなければ、裁判官に判断してもらう裁判、という流れになります。
夫婦が合意できれば、手間のかからない協議離婚
協議離婚は別れる夫婦同士で話し合って決める方法です。当事者の話し合いで決めるので、手軽で費用がかからない方法といえます。もっとも、協議離婚はあくまでも両者の合意が必要であり、離婚条件で折り合いがつかなければ協議離婚はできません。また、DVを理由とする離婚などは話し合うこと自体が困難であり、協議離婚に向きません。
家庭裁判所で第三者を交えて話す調停
調停離婚は協議離婚と違い、家庭裁判所で第三者を交えて話し合います。調停成立にも夫婦の合意は必要な点では協議離婚と同じですが、中立的な第三者を介入させることで合意に至ることがあります。また、相手の顔を合わせたくない場合に裁判所が当事者同士の顔合わせをしないように配慮することもあります。合意に至らない場合には調停は不成立となります。
なお、原則として調停を申し立てずに訴訟することはできません。調停前置主義という原則があり、家庭内の問題はできる限り話し合いで解決するべきと考えられているからです。
弁護士を利用しなければ、調停にかかる費用は1万円未満です。
調停が不成立なら訴訟となる
離婚訴訟となれば弁護士費用も必要
調停までは当事者本人が行うことが多いですが、訴訟まで離婚がもつれた場合にはある程度の法律知識が必要となり、弁護士に依頼する人が多くなります。なお、訴訟と裁判は同じ意味です。
離婚訴訟では、離婚するべきかどうかも審理対象であり、離婚を認めないという結論もあり得ます。しかしながら、現実問題として訴訟までした夫婦が仲直りすることは考えにくいですし、仮に離婚を認めない結論になったとしても同居命令が出るわけではありません。
したがって、離婚訴訟にまで至ると、圧倒的に離婚することになる夫婦が多くなります。
離婚のための準備
離婚をしたいが相手が応じない場合には、離婚事由を主張立証する必要があります。民法770条1項では離婚事由を定義しています。
- ア 不貞行為(770条1項1号)
- イ 悪意の遺棄(同条項2号)
- ウ 3年以上の生死不明(同条項3号)
- エ 強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと(同条項4号)
- オ その他婚姻を継続し難い重大な事由があること(同条項5号)
この5つの中から1つでも該当があれば離婚が認められます。
実際には、オを離婚事由とするケースが最も多くなっています。最近では「モラルハラスメント(モラハラ)」を理由とする離婚も増えています。オの場合、事由を立証できるかどうかが、離婚できるかどうかの分岐点になります。
アの不貞行為は、写真やメールなどで証拠をとることができますが、オの婚姻を継続し難い重大な事由の証拠については、「何が証拠になるのかわからない」という方も多いでしょう。
何が「婚姻を継続し難い重大な事由」となるのか
オの事由として、一番分かりやすいのは「別居」です。別居期間が長ければ長いほど離婚事由として認められやすくなります。具体的にいつから別居しているのか分かるようにしておくと、離婚の裁判が有利に進みます。
他にも実家の協力を頼んだり、日記をつけて配偶者の言動等を記録しておくことも証拠になります。日記についてはパソコンや携帯ではなく、手書きがおすすめです。
離婚にまつわる大きな争点
離婚をするしない以外にも揉めることは多々あります。- 財産分与
・親権
子がいる夫婦の間では離婚後にどちらが育てるか、親権者を決めなければなりません。こちらも肉親としての感情が絡むため、揉めることが多い事案です。子が幼児の場合には母親が圧倒的に有利ではありますが、絶対ではありません。
- 養育費
- 慰謝料
よくある誤解ですが、慰謝料は「夫が妻に対して支払う」と決まっているわけではありません。妻が夫に対して払うこともありますし、性格の不一致や価値観の違いなど、双方に原因がある場合には認められません。
慰謝料は、不貞や相手からの一方的なDVなどで身体・精神的苦痛を受けた場合に、理由に請求することができます。
離婚案件は、当事者の精神的負担が重い傾向にあります。しっかりと準備することが重要です。