PTAとは何? PTAの活動内容・役割・基礎知識をおさらい
実は何だかよくわからないPTA
そもそもPTAとは何の略? どんな役割があるの? PTAの役員ってどんな仕事をするの? PTAの基礎知識を知っておきましょう。
<目次>
PTAの意味って? PTAの活動内容は?
子どもたちのすこやかな成長を願い活動
PTAの歴史は古く、日本で始まったのは1945年。アメリカから派遣された教育の専門家が、戦後の日本の教育について示した基本方針のひとつに「PTAの設立と普及」が掲げられ、文部科学省を通じて全国的に広がりました。 PTAの活動内容は、学校によってさまざまですが、
- 運動会や展覧会など学校行事の運営のお手伝い
- バザーや模擬店など、学校や地域のイベントの運営や手伝い
- 廃品やベルマークを回収して学校に必要な物を購入
- 子どもの安全や防犯のための地域パトロール
- 学校やPTAの広報活動
学校の先生や地域の人たちと協力しあって学校運営に取り組み、子どもたちのすこやかな育ちをサポートしていきます。
年度始めは、学校のPTAから、規約や役割について書かれた手紙が配布されることが多いので、流し読みにせずしっかり目を通しておきましょう。
PTA会費っていくらくらい?
年度始めに集金されることが多い
PTAは、社会教育法第3章第10条で規定される「社会教育関係団体」、=「会員が自主・自立的に運営を行う入退会自由の任意団体」 です。
PTA本部が、保護者全員に加入か非加入かの意思を確認し、加入する保護者は入会届の提出をもって会員となり、会費を支払うのが本筋ですが、「子どもが入学したら、保護者は自動的にその学校のPTAに入会し会費を払う」という“強制加入”のPTAも存在します。
PTA会費は、小学校の場合は年間3,000円~5,000円前後です。家庭数で払うので、子どもが一人通っていても二人通っていても、払う金額は変わりません。
PTA組織の仕事内容と選出方法1:PTA役員
PTA会費を管理する会計は重要な役職
- PTA会長
PTA組織のリーダーとして役員をとりまとめる。学校行事での挨拶、PTA代表として地域の人や他校と交流など仕事は多岐にわたる。 - PTA副会長
会長のサポート役。諸事情で会長不在の時に代役をつとめたり、会長と一緒に地域の人や他校との交流に出向くことも。2、3名選出される学校が多い。 - 庶務
会議の時に議事録を作成し、PTAからの配布物の印刷、配布、管理などを行う。パソコン能力必須。2名選出される学校が多い。 - 会計
PTA会費の集金や会計事務全般、財務管理など。お金を扱うことが得意な人向き。2名選出される学校が多い。 - 会計監査
PTAの会計を監査する。2名選出される学校が多い。
選出方法は、投票制、自薦、他薦制など学校によりさまざま。毎年秋から冬にかけての時期に、次年度の役員が決まります。
PTA組織の仕事内容と選出方法2:専門委員会
子どもたちの登下校の安全を見守る仕事も
- 学級委員会
学級単位、学年単位の行事や保護者懇親会などの企画、開催、進行。先生と保護者のパイプ役としての役割も。 - 広報委員会
PTA広報誌の企画、取材、制作、発行を行う。PTA広報誌は年に2、3回発行する学校が多い。 - 企画委員会
PTA会員や子どもたちの親睦を深めることを目的に、その学校独自で企画行事を行う際、実行委員として運営する。 - 教養委員会
保護者向けの講演会や学習会、子どもの教育などについての講演会などを企画、運営する。 - 校外委員会
子どもたちが安全に登下校できるために、防犯パトロールや通学路の調査などを行う。 - ベルマーク委員会
児童が回収袋でもちよったベルマークを集計し、学校に必要な備品を購入する。 - 選考委員会
次期のPTA役員を選ぶために、推薦やアンケートなどの方法で公正に行う。
委員は、毎年年度始めにクラスもしくは学年ごとに自薦あるいは他薦で選出します。委員長は、前述したPTA役員と同様、秋~冬の時期に次年度のメンバーが決まります。
PTAっていつやるのが正解?
「PTA役員をやるなら子どもが3、4年生の頃」と考えるママが多いよう
しかしこれは、あくまでも家庭の中で一人の子どもが小学校に通う場合。2人以上の子どもが小学校に通う場合は、上の子と下の子の学年のバランスを見てやりどきを考えましょう。進級、進学、受験など子どものライフステージ、仕事など自分自身のライフステージ、家族(夫)や職場の協力はどのように仰げるのか、この3点をじっくり考え合わせた上で、結論を出すことをおすすめします。
PTA委員は、PTA役員と比べるとその負担はかなり軽いもの。事前に決まっている会議の時間に出席することができれば、「いつでもやりどき」といってもよいでしょう。
PTAは本来、できる人が、できるときに、できることを活動する組織です。今年はPTA委員を引き受けるのが無理そうだな、と思ったら、「できません」と意思表示をしましょう。それを責められる必要もありませんし、罪悪感を感じる必要もありません。
▽参考記事
PTAはいつやるのが正解?小学校のPTA役員と委員のやりどき
新年度!PTA委員決めの前に心がけておきたいこと5つ
PTAってそんなに大変なの?
学校行事の前に忙しくなることも。
確かに、前述したPTA会長をはじめとするPTA役員や、各委員会をとりしきる委員長といった役職は、自分の仕事だけでなく地域の集まりに参加したり、学校外の会議に出席したりなど負担が大きく、引き受けるには"それなりの覚悟”が必要であることは事実。
しかし、委員会の“一委員”であれば、1~2ヶ月に一度程度開催されるミーティングに参加し、委員長をサポートしながら他の委員さんと協力して仕事を進めるのが一般的。PTA役員や委員会の委員長と比べると、その負担はかなり軽いものです。
また共働き家庭の増加により、「これまでのPTA活動を見直してムダを省き、効率よく運営していこう」と考え、改善を進める学校が少しずつ増えているのも事実です。
地域や学校によっては、
- 運動会や夏祭りなど、年に1、2度学校行事のお手伝いをする係
- 図書室やプールなど、学校内の施設に関わる業務を交替で行う係
- 自分ができる日にちと時間帯に校内のパトロールをする係
脱・ブラック組織!? PTA改革で始まる新たなカタチとは?
そもそも、子どもたちを真ん中に、学校と家庭が協力しあって様々な活動を行う大切な組織であるPTAが、フタをあけてみると、形式的、儀礼的な活動が多く、「なくてもいい」活動なのに「これまでずっと行ってきたから」という理由だけで続けているものもあります。また、共働きが増え続けているにもかかわらず、活動日が「平日の昼間」というケースが少なくないなど、時代錯誤感、やらされ感から「PTA不要論」が飛び出しました。そんな中、時代に合わせて、PTAを変えていこう!と、改革に乗り出すPTAが、地域を問わずに出てきました。一例ですが、活動ごとにチラシやメールマガジンで参加者を募り、委員会制からボランティア制へ移行するケース。執行部が、定期総会の案内状の返信を書面で意思が表明できる書面総会にするケースなどが実行されています。また、市の教育長などを中心として、形式的スタイルのPTA連合会総会を「対話の場」にするなど、地域全体で意識改革に乗り出すケースも出てきています。
PTAは、そのあり方や活動の仕方、保護者の関わり方など、「PTA不要論」を乗り越えて「転換期」にきています。これからのPTAを作っていく、私たち保護者が、まずはPTAを「自分ごと」としてとらえ、加入、非加入についてはもちろん、保護者が気持ちよく参加できる組織としてのあり方や活動内容について、主体的に考えていきたいものです。
▽参考記事
脱・ブラック組織?! PTA改革で始まる新たなカタチ
IT化でPTA活動が大きく変わる?
コロナ禍をきっかけにPTA活動が変わりつつある?
具体的には、下記のようなオンラインツールを活用するPTAも見られます。
- Zoom …… パソコンやスマホで、画面ごしにミーティングができます。役員会議や、PTA主導の保護者会に利用するPTAが多いです。無料版と有料版があります。
- Line WORKS …… ユーザー数100人まで無料。LINEのいわば「ビジネス版」で、「ノート」「フォルダ」で意見募集、「掲示板」で周知、「カレンダー」で行事や会議の予定を共有など幅広い用途があります。
- BAND …… NAVER社の無料アプリ。招待URLを共有することで多数のメンバーの招待が可能で、学校行事や会議をカレンダーで共有、出欠確認、投票機能やアンケート機能で意見収集等が簡単にできます。PTA本部、PTA会員両方のコミュニケーションツールとして好評です。
- slack …… Slack Technorogy社が運営するチャットツール。メッセージ1万件まで無料。「PTA総会」「役員会」「委員会」などツール内でテーマ管理ができるため、情報整理、情報管理がしやすいといった特徴があります。
- サイボウズofiice …… グループウエアの開発、販売をおこなう企業・サイボウスのITグループウエア。PTAで導入し、保護者(PTA会員)に登録してもらうことで、PTAからのお知らせや学校行事の予定などがいつでもチェックできます。学年や委員会ごとの情報共有も可能です。
- Googleフォーム …… Googleが提供するアンケート無料サービス。保護者(PTA会員)にアンケートをとりたい場合などに便利。アンケートの回答状況の整理、分析も可能です。
- クリエイティブサーベイ …… 回答閲覧数101件まで無料。クリエイティブサーベイ社が提供するアンケート無料サービス。デザイン性にすぐれたフォームが特徴です。
例えば、世田谷区のとある公立小学校のPTAでは、保護者にアンケート調査をした結果「オンライン化」を望む声が多く集まり、実際にBANDの導入に至りました。
その結果、PTA役員間の意見交換等がスムーズになるだけでなく、長い拘束時間など様々な負担の軽減につながり「やらされ感」のないPTA運営のあり方をつくるきっかけとなっています。
▽参考記事
Withコロナ時代のPTA、 オンライン化で参加しやすいコミュニティに
PTAは罰ゲーム!? オンライン化で前例踏襲を改善した世田谷区の事例
PTA活動のメリット&デメリット
■メリット1.知りあいが増え、さまざまな情報が入る短時間でも他の親と話をすることで共通の話題ができたりなどで知りあいが増え、学校内外のさまざまな情報交換ができます。学校行事や先生、子どもたちの情報はもちろん、評判のよい塾など「知っててよかった!」と思えるような情報に出会えることも。
■メリット2.学校の様子がよくわかる
PTA活動で学校に足を運ぶことで、授業参観などの特別な行事ではなく、普段なかなか目にすることのできない学校や子どもの様子がよくわかる。
■メリット3.先生との距離が縮まる
PTA活動をとおして学校の先生と話す機会が増え、日頃の先生の苦労や努力を垣間みることができる。コミュニケーションを重ねることで、先生との距離も縮まる。
■メリット4.視野が広がる
学校と関わると同時に地域のイベントや集まりなどに参加することで、地域を支えるさまざまな人との出会いがあり、仕事とはまた違った視野が広がる。
学校内外のさまざまな情報交換ができる
■デメリット1.自分の時間をとられる
仕事や家事などの時間をさいて活動することもあり、自分の時間をとられる感覚を味わうことも。PTAの会議に出るために有休を使う保護者も多くいる。
■デメリット2.役職によっては仕事量が多い
PTAはボランティア活動だが、PTA会長をはじめとする役員は仕事量が多く、これまでの生活サイクルを見直さなければいけないケースもある。
■デメリット3.人間関係がストレスになることも
年度によっては、会議や打ち合わせなどを通して、意見や価値観の違いから派閥ができたりすることもまれにあり、人間関係がストレスになることもある。
噂に聞くPTAママ友トラブルって?
メンバー同士のママ友トラブルは、PTAだけでなく「卒対」にも多い
よくあるのが、「やる気がある人」「やる気があまりない人」といった、活動へのモチベーションの差が原因のひとつになるトラブル。モチベーションの差が仕事量の大小につながり「〇〇さんは全然協力してくれない」「△△さんは会議に来ない」などといった不平不満が出て、軋轢が生じることがあります。協力的ではない人に対して、つい文句のひとつも言いたくなるものですが、感情的になって他のメンバーの悪口をいうのはNG。それが原因で溝がますます深まっったり、「派閥」ができてしまうこともあります。
また、「仕事が忙しくなってきた」「病気になってしまった」など、PTA活動を続けることが困難になってきてしまった場合は、メンバーに話し、相談しましょう。「みんなに迷惑をかけたくない」と頑張りすぎてしまうと、ストレスで体調を崩したり、精神的に不安定になってしまうこともあります。無理をせず、ご自身ができる範囲で、ポジティブに向き合うことをおすすめします。
▽参考記事
卒対トラブルあるある!ママ達の温度差が原因!?ストレス防ぐ参加心得
PTAとどう向き合うべき?
できる人が、できる時に、できることを!
一大決心して引き受けたはいいものの、
「仕事と両立できるのだろうか」
「他の役員さんたちと仲良くやっていけるのだろうか」など、不安な気持ちも大きかったことを思い出します。
しかし、「せっかくやるからには自分も楽しもう。委員の皆にも『楽しかった』と言ってもらえるような1年にしよう」とハラをくくって臨みました。
そのせいか、自分の仕事の締め切りと広報誌の入稿時期が重なってカリカリしたり、大事なPTA会議の日に子どもが体調を崩したりなど、苦労もたくさんありましたが、PTA活動そのものは楽しく、任期の1年はあっという間でとても充実したものでした。
振り返ってみると、マイナス面よりも、人生経験としてプラスになることのほうがはるかに多かったですし、学校や地域と向き合うときの“視野”が、確実に広がったと思います。
子どもたちがのびのびと、すこやかに育っていくには、地域に住む大人の目や手が必要不可欠です。PTAはその一端を担っています。
PTAの体制や活動内容は、それぞれの地域や学校によりさまざまですが、「より効率よく、“できる人が、できる時に、できることを気持ちよくできる”体制で活動していくにはどうしたら良いか」を考えながら向き合うことが必要だと感じています。
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