在宅介護で活用すべき介護保険とケアマネ
自宅での介護は慣れないことばかり。専門家に頼る機会も多くなります(画像:photoAC)
介護サービスを利用するには、介護保険の申請と認定が必要となります。認定後は、介護支援専門員(「ケアマネージャー」。以下、「ケアマネ」と表記)に依頼をし、状態に合わせたサービスを選んで利用することになります。ケアマネへの依頼は自由ですが、専門的な事務処理や調整を無料で行ってくれるためほとんどの方が依頼しています。
ケアマネは、本人やご家族と一緒にケアプランを作成し、各事業所との調整を行います。ですが、「介護費用が高い」「こんなにサービスはいらない」と思っていても、「言えない」現状があります。ケアマネに言えない原因と解決策から介護費用の減らし方について、具体的にみていきましょう。
ケアマネの役割は? 利用方法の合わない時は変更手続きが可能
ケアマネは、介護保険の申請の代行から介護サービスの調整、各事業所との連絡・調整代わりに行います。例えばケアマネに依頼をしていない場合、ケアプランを作成し、事業所との調整を行います。万が一事業所の方と折り合いがつかず変更したい時は、自らそれに連絡しなければいけません。家族にとって言いづらいことも、代わりに伝えてくれます。利用者や家族はケアマネに相談をすれば事足りますので、とても有難い存在になります。ケアマネになるには、介護福祉士やヘルパーの資格を持ち、実務経験が必要になります。介護の知識や現場のことを熟知しているため、在宅介護を行う上では強い味方です。介護を知っているからこそ「このようにした方が良い」「これは今はやらない方がいい」と、介護内容を選ぶ説得力が増します。しかしその反面、「介護のプロが言うことだから」「ケアマネに任せているから」という家族の思いもあり、意見が言いづらという声も聞かれます。
介護は長期的になることが多く、家族の負担負担は、身体的にも精神的にも経済的にも長続きはしません。無理をしない介護を行うためには、どのようにケアマネと付き合っていくことがよいのでしょうか?
在宅介護において、ケアマネとの関係性は大事です。「あまり意見を言いたくない」と言われる家族も多くいますが、やはり直接ケアマネに伝えることが一番です。ケアマネも利用者、家族のためにサービスを選んでいますので、気持ちのズレを修正することでより良い介護ができるようになります。
そもそも担当するケアマネとの関係性が良くない時には、ケアマネの変更も考える必要があります。その際には、事業所の主任ケアマネや地域包括支援センターに相談することをお勧めします。お互い人間なので、合う合わないはあります。安心した介護を行うために、思いを隠さず伝えるようにしましょう。
自分で見直すケアプランのポイント
ケアプランは、一度作成した後にも状況に応じて調整を行い、利用者やご家族の要望を反映します。介護サービスは、少なすぎても多すぎても介護の負担か経済的な負担のどちらかが増してしまいます。実際に現場で聞いた声や事例を元に、ケアプランを見直すポイントをご紹介いたします。1. 介護保険内でサービスを抑え自己負担を減らす
介護保険では、状態で分けられた要介護度に応じた上限額があります。注意すべきことは、上限額を1円でも超えると、そのサービスは「10割負担」となってしまう点です。例えば訪問看護であれば30分で5500円。訪問入浴では、1回1万円を超えてしまうほどの額になります。原則上限額以下でケアプランを作成しますが、介護の量によっては賄えないこともあります。介護士の1回当たりの訪問時間を減らしたり、訪問を希望する時間帯の変更をして上限額内に抑えましょう。
2. 看護師、介護士、入浴サービスで重なるケアを調整
専門職によるサービスでは、役割分担があり、他職種にはできない業務もあります。オムツ交換や陰部の洗浄、体ふき、洗髪などは看護師、介護士、入浴サービスで行えます。時々介護現場では、介護士がオムツ交換をしてから1時間も経たずに看護師が来ることもあります。看護師は健康管理や医療処置が主な業務ですが、介護士の業務もできます。同じようなサービスが短い時間で来るときは、片方のサービスを利用したり、時間を調整してもらうように相談しましょう。
3. 家族が介護を行い、訪問サービスの回数を減らす
ご家族の介護負担軽減や仕事、生活の時間を確保するためにサービスを利用します。しかし介護費用は毎月かかり、長期的になると年間での介護費用は大きな負担です。要介護5で、上限まで使うと年間42万円を介護サービスで使用することになります。さらにオムツや食事の費用を足すと、もっと多くかかっています。1日3回介護士を利用している場合、1回のオムツ交換を家族が行うことで年間約10万円減らすことができます。訪問する専門家に聞きながら、自身の慣れや負担を見つつ減らしていくと経済的な負担を抑えることができます。
介護を行う上で、多くの人のと関わりがあります。介護サービスを提供している各事業所が集まる担当者会議では、利用しているケアプランについて話し合いをします。事業所の担当者も、多くの介護現場を経験しているプロです。3人集まれば文殊の知恵ではありませんが、担当者会議で多くの意見や助言をもうらことも1つの手です。1人で悩まず、まずは悩みをお聞かせください。