金沢らしい歴史情緒と浪漫漂うレトロな建物を探して古都散策
レトロな建物と蓄音器というユニークな組み合わせで、穴場ながらも人気が高い金沢蓄音器館。訪れた人は軒並み高評価の素敵な博物館です。合わせて思わず写真に撮りたくなるフォトジェニックな建物もご紹介。新しい金沢の魅力を探しに街歩きに出かけませんか?
金沢蓄音器館:懐かしい音色に心和む、金沢きっての超個性派博物館
主計町茶屋街からほど近いところにある金沢蓄音器館は明治から昭和にかけて製作された貴重な蓄音器約650台、SPレコード約3万枚が収蔵されている、全国的にも珍しい蓄音器の博物館です。
クラシカルな雰囲気漂う館内にはエジソンが発明した蝋管式モデルを始め、イギリス製手巻卓上型蓄音器や日本ビクターが製造した蓄音器など約150台が年代別に展示され、1日3回(11時、14時、16時)各時代を代表する蓄音器の聴き比べができます。
聴き比べの実演では希少な音色が聴けるのはもちろんのこと、蓄音器やレコードに造詣が深い館長・八日市屋氏による、それぞれの蓄音器の特徴や時代背景などのわかりやすくて楽しい解説も魅力。
ひと口に蓄音器と言っても、ラッパの大きさや材質、管の長さによって全然音が違い、中でも当時は家1軒と同じ値段だった「蓄音器の王様」と言われるアメリカ製の「ビクトローラ クレデンザ」は蓄音器とは思えないクリアな音質で驚きました。
かけるレコードのジャンルもクラシックからポップス、昭和歌謡まで実に様々で、幅広い年代の人が楽しめます。各蓄音器の音色に合ったレコードを選んでいるそうで、私が参加した回では「美しく青きドナウ」「第3の男」「さくらさくら」などをかけてくれました。
聴き比べの時間は30分ほどですが、蓄音器の優雅な音色と館長の軽妙なトークを聴いているとあっという間に時間が経ち、まだまだ聴いていたいと思うほど。レコードはデジタル音源と違って聴くたびに音の溝が磨り減っていき、いつかは聴けなくなってしまいます。
日本ではSPレコードは1963年に生産終了となり、いつまでその優雅な音色を聴けるかわかりません。金沢蓄音器館を訪れる際は蓄音器の聴き比べに合わせて出かけるのをお忘れなく!
■金沢蓄音器館
住所:〒920-0902 金沢市尾張町2-11-21
TEL:076-232-3066
開館時間:10:00~17:30
休館日:12月29日~1月3日(展示資料整理のための臨時休館あり)
観覧料:300円
金沢聖霊病院聖堂:ロマネスク様式と金沢らしさが融合した美しい聖堂
大正末期から昭和初期にかけて日本に滞在し、多くのカトリック教会建築を手掛けたスイス人建築家マックス・ヒンデルによって設計された金沢聖霊病院聖堂。
高さを抑えるために2層に分けられた木造平屋建で、小ぶりながらも白い下見板張の外壁や三廊式バシリカ、半円アーチなどロマネスク様式を基調とし、鐘楼はチロル風、窓にはステンドグラスがはめ込まれた、清楚で美しい聖堂です。
しかし、それだけではなく、よく見ると黒漆塗の列柱に金沢の伝統的な色彩である群青や金で装飾されたアーチ、畳敷きの礼拝堂など西洋と金沢の文化が見事に調和したユニークなデザインに仕上がっています。
それもそのはず、設計したのはマックス・ヒンデルですが、実際に施行したのは名古屋出身の岩松伊勢松さんを棟梁に金沢の大工5人。正面中央に祀られている十字架は獅子頭を彫っていた古瀬信一さんによるものだそう。
金沢の人気観光スポット・長町武家屋敷跡から目と鼻の先なので、和洋の建築の違いを見比べてみてはいかがでしょうか。
■金沢聖霊病院聖堂
住所:〒920-8551 金沢市長町1-5-30
TEL:076-231-1295
観覧時間:8:00~18:00
定休日:年中無休(行事の際は観覧不可)
観覧料:無料