現在の法律では、不倫は「犯罪」ではない

不倫,犯罪

不倫は犯罪なのか

明治時代の旧刑法において、不倫は「姦通罪」と規定され、犯罪とされていました。姦通罪は、夫には成立せず、妻にだけ成立するものでしたが、男女平等に反するとして、現在では廃止されています。

従って、今の法律では不倫は「犯罪」ではありません。

不倫は「犯罪」ではないが「不法行為」にあたる

このように不倫は犯罪ではありませんが、民法709条の「不法行為」にあたります。不法行為をした結果、損害賠償責任を負うことになります。

つまり、不倫は「犯罪」ではないので刑務所に行ったり前科が付くことはありません。しかし、「不法行為」にはあたるので、損害賠償責任を負い、金銭を支払う必要が生じる場合があるのです。

不倫のときに支払う損害賠償金は「慰謝料」と呼ばれることが多く、なじみがある言葉だと思います。

不倫が「不法行為」になるか否かの境界線は?

ここでは「不法行為か否か」の境界線、つまり「慰謝料を払うかどうか」の境界線について説明していきます。

なお、法律上は不倫のことを「不貞」ということが多いので、この記事でも不貞ということにします。

不貞と一口に言っても、人によって定義が曖昧です。キスやデートなど、不貞にあたるかどうかは意見が分かれるところでしょう。

裁判上、この不貞については”一応の”定義がなされています。

その定義とは
「配偶者(夫か妻)のある者が、配偶者(夫か妻)以外の異性と自由な意思に基づいて、性的関係を持つこと(最高裁昭和48年11月15日判決)」

とされています。この不貞行為が民法上の不法行為にあたるとして、慰謝料の支払いを命じられるのです。

つまり、裁判では「不貞行為とは性交渉に及ぶことと同じ」と考えられているのです。

プラトニックなのに慰謝料支払いを命じられた判例も!

ただし、例外的にプラトニックな関係でも慰謝料を命じた裁判例がありますので、その一部を紹介します。
  • ケース1
平成15年3月25日東京簡易裁判所の判決では数万円もするプレゼントを交換したことや、2人で大阪に旅行をしたことなどを社会的妥当性の範囲を逸脱していると指摘し、恋愛感情を吐露した手紙を読んだ配偶者が不貞を疑ったことは無理はないとして、慰謝料10万円の支払いを命じました。
  • ケース2
平成17年11月15日東京地方裁判所の判決では相手男性が妻と結婚させて欲しいと懇願し続け、その結果、妻が家出して別居したことで離婚するに至り、性的関係がないとしても慰謝料70万円の支払いを命じました。
  • ケース3
平成26年3月大阪地方裁判所の判決では、相手女性が夫からのアプローチをはっきりと拒絶せず、二人きりで逢瀬を重ねたことで慰謝料44万円の支払いを命じました。

いずれも性的関係については認められませんでしたが、判決で慰謝料の支払いを命じられました。

結局のところ、たとえ性交渉に及ばなくても円満な婚姻関係を破壊したり、配偶者に精神的な苦痛を与える行為の場合はに不法行為にあたるということがわかります。

不倫による慰謝料の相場は?

不倫,犯罪

慰謝料以外にも多大な影響が

慰謝料の相場は婚姻期間や不貞期間等によりますが、不貞が原因で離婚した場合には200~300万円、離婚しなかった場合には50~100万円前後が一応の相場といえます。これはあくまでも目安であり、絶対ではないことはご留意ください。

不貞の影響は広範囲に及ぶ!

このように不貞行為に及ぶと慰謝料を支払うことになるわけですが、それ以外にも大きな影響があります。

まず、不貞行為は法律上の離婚事由にあたりますから、配偶者から離婚を求められた場合には離婚に至ってしまう可能性が高いでしょう。家庭を大事にしたいのであれば不貞行為に及んではいけません。

たとえ離婚を回避したとしても、一度不貞行為に及んでしまうと配偶者からの信用を失います。配偶者は「また不貞をするのではないか」と常に心配するようになります。不貞の事実を知った配偶者やお子さんは、相当なショックを受けることは確実です。

軽はずみで不貞行為に及ぶと、多くのものを失いかねません。

弁護士としての不倫への見解

私の経験上、不貞を理由とする慰謝料請求の依頼は大変多いです。世の中にはこんなに不貞があふれているのかと驚かされます。

結婚観や家族観が多様化しているとはいえ、不貞が家族に与えるダメージが大きいことは間違いありません。

「犯罪」ではないにせよ、結婚生活を一瞬で終わらせかねない重大な行為であることは認識しましょう。
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