スズキ・クロスビーはパッケージングに工夫あり
小型クロスオーバーワゴンを名乗るスズキXBEE(クロスビー)がデビューした。スズキは、イグニスというパーソナル向けの小型クロスオーバーをすでにリリースしているが、新型クロスビーは、イグニスよりもファミリー志向が強く、背の高さを活かしたパッケージングで広い室内や荷室を確保している。
イグニスと比べると、全長は60mm長く、全幅は10mmワイドで、全高は110mmも高くなっている。これにより、前後席のヒップポイント(着座位置)を高めることで、アップライトな乗車姿勢として広さ感を強調。
実際に前・後席に座ってみると、サイズを超えた広さであることを実感できる。とくに後席の膝まわり、ヘッドクリアランスにも十分な余裕がある。
全車に1.0L直噴ターボエンジン+マイルドハイブリッドを搭載
気になる走りでの注目点は、1.0L直噴ターボエンジン+マイルドハイブリッドのパワートレーンの仕上がりだ。加速の面では、ターボラグが感じられるものの、最長30秒間のモーターアシストにより予想以上に力強い加速が得られた。
エンジンスペックは、最高出力73kW(99ps)/5500rpm、最大トルク150Nm/1700-4000rpmというもので、モーターの出力は、2.3kW(3.1ps)/1000rpm、トルクは50Nm/100rpmとなっている。
クロスビーの2WDは1000kgを切る軽量ボディで、ストップ&ゴーの多い街中でも十分な発進加速が得られるのはもちろん、高速道路でも軽快に速度を乗せていくことが可能。速くて驚かされるほどではないものの、1人乗車であれば高速域での追い越しも容易で、組み合わされる6ATの仕上がりも上々だ。
6ATは変速比幅を大きくすることで、発進加速や登坂性能を高めながら、高速巡航時の燃費性能を両立したというが、前者の発進性などは期待以上の力強さを確認できた。
静粛性は?速度域によってはこもり音も
乗り心地の面では、素直に動くサスペンションにより路面への追従性も高く、16インチタイヤを履く割にはうまくまとめられている印象を受けた。着座位置が高く、重心高も高めになるにも関わらず、高速道路のコーナーでも姿勢は安定している。
少し気になったのは静粛性へのフォローで、100km/h巡航時のノイズはやや高め。さらに、60~70km/hという頻度の高い領域でエンジン由来のこもり音が車内に侵入してくる印象を受けた。
スズキ・クロスビーは、そのスタイリングからとかく「デカ・ハスラー」と見られがちだが、スタイリングの狙いや実車を眺めてもハスラーと印象は違う。
また、4WD車にはスノーモードやSPORTモード、グリップコントロールやヒルディセントコントロールなどの走行をサポートする機能も用意されている。ほかにも、スズキの最新安全装備が採用されているほか、アウトドアでも使いやすそうな荷室や大容量ラゲッジアンダーボックスを用意するなど、積載性への目配りも抜かりはない。
上位グレードの「HYBRID MZ」に汚防タイプのラゲッジフロアを装備。アウトドアや各種アクティビティに対応するからアクティブな人向き。後席は荷室側からも前後スライドが可能なので容易に奥行きを拡大できる
普段使いやすいサイズでありながら広さを実感できるキャビンやラゲッジなど、見所満載のスズキ・クロスビー。200万円前後の価格、22.0km/Lという燃費などからしてもハスラー同様、スマッシュヒットモデルになるかもしれない。