そもそも婚約指輪って何?

婚約指輪購入問題を考える前に、まずは婚約指輪とは一体何なのか? その習慣の始まりについて見てみましょう。

ダイヤモンドの指輪

ダイヤモンドは永遠の輝き!

婚約指輪は婚約の証しとして男性から女性へと贈る指輪です。婚約の際に指輪を渡す習慣は古代ローマ時代からあると言われています。当時は妻をお金で買う売買婚の時代。男性は女性を妻として娶りますよ=買いますよという意思を表明するため、女性の父親に指輪を渡したといいます。手付けということでしょうか。その後、もう少しロマンチックな意味合いも付加されて、現在に至るわけです。

日本に婚約指輪の習慣が入ってきたのはかなり遅く、定着したのは戦後になってからです。『ダイヤモンドは永遠か?』というデ・ビアス(ダイアモンドを扱う世界的企業)の内幕に迫ったエドワード・J・エプスタインの著作の冒頭では、戦後の日本でどのようにしてダイヤモンドの婚約指輪が市民権を得ていったかについて触れられています。

それによれば、婚約時にダイヤモンドの指輪を贈る習慣の全くなかった日本で、デ・ビアスが大々的なキャンペーンを行った結果、1968年からの13年間でなんと60%の花嫁が婚約指輪を贈られるようになったとか。「婚約指輪は給料の3カ月分」という有名なキャッチフレーズもこの時に生み出され、日本人の意識に深く刻み込まれたのです。

さて、現在の婚約指輪の贈答率はどうなっているのでしょうか。婚約記念品をもらった人が72.6%で、そのうち89.3%が婚約指輪をもらったというデータ(「ゼクシィ結婚トレンド調査2016/全国(推計値)」)があるので、65%程度が婚約指輪をもらっていると推察できます。

婚約指輪を買わないケースが増えている?

戦後、婚約指輪の習慣が根付いた日本ですが、ここに来て婚約指輪を買わない人が増えていると言われています。目に見えてがっくり減っているというよりは、じりじりじりじり減っているという感じでしょうか?

婚約指輪は男性が購入し、女性が身に着けるものです。購入の主導権がどちらにあるのかはカップルそれぞれでしょうが、どちらが「婚約指輪はいらない」と言っているのかというと、実は女性の方が「いらない」と言っているケースの方が多いように感じます。「いらない」という女性の理由としては、普段身に着けないからもったいない、婚約指輪に価値を感じない、婚約指輪にお金を掛けるなら新婚旅行など別のものにお金を使いたいなど、なかなかに現実的な意見が見受けられます。

指輪は普段身に着けないからもったいないという女性の場合、指輪の代わりにネックレスやピアス、腕時計などをリクエストして、贈ってもらうこともあるようです。

いらない女性 VS 贈りたい男性

一方、男性はどう考えているのでしょうか。男性は女性の気持ちに添うケースが多く、自分の気持ちはひとまずおき、女性が欲しいといえば贈るし、いらないといえば贈らないという人が多いよう。ただ、婚約指輪に憧れを持つのは女性だけに限らず、婚約の際には彼女に婚約指輪をぜひ贈りたい!と考える男性も実は少なくないのです。

婚約指輪

婚約指に憧れるのは女性ばかりじゃない!

そのような男性は、彼女から「婚約指輪はいらない」と言われても、「ぜひ贈らせて欲しい」と説得して贈るケースも。その場合、女性の方も「もらってみたらやはり嬉しかった」ということになり、うまく収まることがほとんどです。

「いらない」と言いつつも本音は……?

やっかいなのは口では「いらない」と言っておきながら、「やっぱり欲しいかも?」と心が揺れ動いている女性のケース。いらない理由が、「彼に負担をかけたくないから」などという場合は、そのあたりのオンナ心を彼が上手に察してあげないと、後々面倒くさいことになりそうですね。

彼女が確固たる信念や強い気持ちで「婚約指輪はいらない」と言っている場合は別として、なんだか迷っているようであれば、個人的には婚約指輪は贈っておいた方が無難かなという気がします。

婚約指輪

婚約指輪は婚約期間にしか贈れない特別なもの

これから始まる長い結婚生活の中で、指輪をプレゼントする機会はたくさんあるかもしれません。でも、婚約指輪は婚約したときにしか贈ることのできない、その意味では唯一のものです。

最近では婚約指輪のデザインもバリエーション豊富になり、普段使いできるものも増えています。結婚指輪と重ね着けをするなど、楽しみ方もいろいろ。頭から否定せずに、どんな婚約指輪があるかチェックした後で、買うか買わないか考えてみても遅くはないと思います。

<参考資料>
浜本隆志『指輪の文化史』(白水ブックス)
エドワード・J・エプスタイン/田中昌太郎訳『ダイヤモンドは永遠か?』(早川文庫)

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