「求職者支援制度」は雇用保険を受給できない人が対象
「求職者支援制度」とは、文字どおり、就職する意思はあるけれど失業している人(求職者ですね)に、職業訓練やハローワークによる就業支援を行う制度です。失業といえば、「失業保険(失業給付)」を思い浮かべる人が多いと思います。失業保険は、雇用保険から給付されるもので、一定期間加入している必要があります。
労働時間の短いパートやアルバイトの人、自営業を廃業した人などは雇用保険に加入していませんので、失業保険を受け取れません。このように、雇用保険を受給できず、仕事を探している人を「特定求職者」といいます。
特定求職者の要件
さまざまな分野の仕事のスキルが学べる
この特定求職者に該当する人は、求職者支援制度を利用すれば、職業訓練として「求職者支援訓練」または「公共職業訓練」を無料で受講することができます(テキスト代は自己負担です)。「求職者支援訓練」は、厚生労働大臣の認定を受けた民間訓練期間で、3~6ヶ月程度かけて行われます。
訓練には、多くの職種に共通する基本的能力を習得する「基礎コース」と、特定の職種に必要な実践的能力をメインに学ぶ「実践コース」があります。
「実践コース」には、WEB系ソフトウェア開発技術者、サーバー管理者といったIT分野から、営業、医療事務、介護福祉、農業、林業、電気関連、機械関連、理容・美容関連…など、さまざまな分野の訓練があります。対象となる講座は、以下のウェブサイトから検索できます。
http://nintei.jeed.or.jp/kyushokushien/search/
一方の「公共職業訓練」は、国や都道府県が運営する公共職業訓練校や、委託された民間の訓練機関で行われます。期間は、受講する内容によってそれぞれですが、3ヶ月~1年程度のものが多いでしょう。
以前、雇用保険を受給できる人のみが対象でしたが、現在は特定求職者の人も利用できます。こちらもさまざまな分野の訓練があり、以下のウェブサイトで検索できます。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/jarnal/tokusyu/2009_04.html
どちらの訓練を受けるかは、受講したいコースによって変わります。
いずれにしても、ハローワークの就業支援を通じて申し込みます。
職業訓練中に給付金がもらえることも
こうした職業訓練を受けている間は、働くことができず無給になる可能性があります。そこで、下の要件を満たすと、職業訓練受給手当として月額10万円と、交通費として通所手当(上限あり)が支給されます。職業訓練受講給付金 支給要件
さらに、平成28年10月には寄宿手当が設けられました。
下の条件のいずれかを満たせば、原則月額10700円が支給されます。
1.通常の交通機関を利用して通所するための往復所要時間がおおむね4時間以上であるとき
2.交通期間の始(終)発などの便が悪く、通所に著しい障害を与えるとき
3.訓練を受講する訓練施設の特殊性によって寄宿を余儀なくされるとき
これらの給付金によって、訓練期間中の生活費はある程度軽減することができます。ただし、上記の要件にも記されていますが、訓練を欠席(遅刻・欠課・早退を含む)すると、職業訓練受講給付金は支給されなくなりますので、注意してくださいね。