所得税の観点からは会社員・事業主・投資の3パターンに分けられる
副業を所得税の課税の観点から分けると、3つのパターンがあります。
- アルバイトや正社員など、会社員として「給料」を受け取るパターン
- 自らビジネスを興す「起業」パターン
- 株式などの投資をする「投資」パターン
「メインの仕事以外から収入を得る」という意味で副業をとらえるなら、投資も副業の一つといえるでしょう。また、副業の中には自分の会社を設立する方もいらっしゃいます。この場合は、自分で作った会社から自分に給料を払うということになりますので、会社員のパターンに含まれます。
そして、それぞれの稼ぎ方に合わせて、副業で課税される所得の種類は以下のように決まってきます。
- 会社員パターン……「給与所得」
- 起業パターン……「事業所得」または「不動産所得」または「雑所得」
- 投資パターン……「譲渡所得」または「雑所得」
副業が会社員(給与所得)であれば、各社の給与を合算するだけ
アルバイトなどを含め、会社員の形態で副業をしている場合は、所得税の計算方法はシンプルです。メインの仕事からの給料と、副業の給料を合算するだけです。所得税の税率は年収が高いほどに上昇します。この場合、受け取った会社ごとに税率を適用するのではなく、各社の給料を合算して税率が適用されます。
副業で給料を受け取っている場合の確定申告については、こちらの記事をご覧ください。
→【副業の確定申告】やり方は?しないとどうなる?
自らビジネスを興している場合は、自ら所得計算をしなければならない
副業を会社員としてではなく、自ら行っている場合は、利益の計算も自分で行わなければなりません。
マンションなどの不動産を所有して賃貸している場合は不動産所得、もう一つの本業として食べていけるくらいの規模で副業ビジネスをやっているなら事業所得、生活の足し程度に数万円を稼ぐような副業の場合は雑所得といった具合です。
規模に関わらず不動産賃貸なら不動産所得ということで分かりやすいですが、それ以外のビジネスはどの程度から事業所得になるのかということは法律で明示されているわけではありません。どのくらいそのビジネスに時間を使うのかといったことや、副業でなくなってもいずれそのビジネス一本で食べていくくらいのものであれば事業所得として申告してもよいでしょう。
週末や仕事終わりの空いた時間を少し使ってインターネットでモノを販売したり、サイトの記事を作成したりして月収数万円ということであれば、雑所得になります。
会社員の副業では、本業の仕事に従事する時間にもよりますが、基本的には事業所得の規模でビジネスを行うことは難しいため、その多くは雑所得に該当すると考えてよいでしょう。
なぜ事業所得と雑所得の違いが重要なのでしょうか?
それは、副業で赤字が発生した場合に、本業の給料と相殺できるかどうかという点にあります。
副業が事業所得であれば、赤字が発生した場合は本業の給料と相殺し、その分給料から天引きされていた源泉所得税の還付を受けられます。
一方、雑所得では、赤字の相殺が認められていません。このように、副業で赤字が発生した場合の所得税の取り扱いに大きな差が出るため、事業所得か雑所得かという区分が重要になるのです。
投資については、「証券会社が計算してくれる場合」と「自ら計算する場合」がある
投資といえば、株式や投資信託、FX、そしてビットコインなどの仮想通貨などがあります。
このうち、上場している株式や投資信託などを証券会社を通して売買している場合は、基本的には証券会社で売買の損益や所得税額を計算してくれます。ただし、それ以外の売買やFX、仮想通貨については損益を計算しなければなりません。
このうち、株式や投資信託などは譲渡所得、FXや仮想通貨は雑所得として区分されます。
このように、サラリーマンの副業は、その稼ぎ方によって所得税の課税方法が変わってきます。複数の副業を行っている場合は、自ら所得区分を判断し、かつすべての所得を漏れなく確定申告を行う必要があります。
副業を行う場合は、どの所得区分に該当して、本業の給料とどのように関わってくるかを理解しておくことが、確定申告シーズンに慌てないために重要なのです。
本業だけの場合は、会社が計算してくれるので、自分が所得税をいくら納めているかにあまり気を払わない方も多いですが、副業の場合は所得税にも関心を払うようにしましょう。