タイミングが重要!ほめの効果を最大にするコツは?
ただひたすらほめるだけではもったいない! 知っておきたいほめの極意とは?
ほめの効果を最大にする要素、それは「ほめのタイミング」です。この記事では心理学の実験データを交えながら、ほめの効果をマックスにする方法をお伝えしていきます。
ほめの心理学、オペラント条件付けとは?
ほめのタイミングを理解する上で大事なのが、心理学の基礎知識です。ここでは、まず、行動心理学者のスキナー博士が発見した「オペラント条件づけ」という心理現象についてお伝えしていきます。「オペラント条件づけ」、ちょっと耳慣れない用語ですが、これは、自発的に出た行動の直後に、何が起こるかによって、その後、その行動が繰り返される頻度が増減する現象を言います。
- もし、ある行動の直後に良いことが起きれば、その行動を繰り返す頻度が上がる
- もし、ある行動の直後に良いことが起こらなければ、その行動を繰り返す頻度が下がる
子育ての例で言えば、
- 今日は進んでママのお手伝いをした。そうしたらママがすっごくほめてくれた。ならば次も手伝っちゃおう
- 頑張ってピーマンを食べたのに、ママは知らん顔。もう次は絶対に食べないぞ
- お友達におもちゃを貸してあげたら、ママがすごくほめてくれた。次も貸してあげようかな
たとえば、
- 今日友達とケンカをして叩いてしまった。そうしたら、友達が言うことを聞いてくれた。ならば次も叩いちゃおう
- ゲームで勝った、 嬉しい! もう止められない~
私たちの行動は、良いことが起こると次のモチベーションにつながりやすいのは感覚的にも分かりますよね。子供たちも同様で、子供の取った行動に対し、ママがほめると、このような連鎖が起こりやすくなります。
「60秒ルール」の誤解
連鎖を起こりやすくするもの、それがタイミングです。子供がいい行動をしたのに、そのときは忙しくてほめてあげず、しばらくして思い出したときに、「さっきはすごかったね」と言っても、「ほめ」としてはもちろん成り立ちますが、次回への橋渡しの効果はほとんどありません。「すぐに」が大事だからです。
最近、ビジネスの世界などでも、「60秒ルール」というものが知られているようです。これは、たとえば、部下がいい仕事をしたら、「60秒以内にほめなさい」というルールです。どこかでこの言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。
しかし実際には、60秒でも遅すぎです。行動後、60秒以内にほめれば効果は一律というわけではありません。その効果は、秒刻みに急落していくからです。
目標は1秒以内の「すぐほめ」
スキナー博士のオペラント条件づけの発見は心理学の一時代を築いたほどの存在だったので、これまでにもたくさんの実験や検証がなされてきました。それらによれば、「行動」から「強化因子」までの時間が、直後なのか、5秒なのか、10秒なのか、60秒なのかという、一見わずかに思える時間差でさえも、次に同じ行動が出る頻度は刻々と変わっていくということ。「わずか1分間」という短い時間の間でも、ほめの効果は大きく変化します。数秒でその効果が変わってくるのですから、60秒では遅いのです。効果を期待するなら、ベストは0秒、つまりその瞬間。遅くても1秒とも言われています。
だから、育児では、すかさずほめる「すぐほめ」がおすすめ。0~1秒以内にほめることを目指してみてください。ママが子供の行動の直後にほめることを繰り返していくと、お子さんの頭には、「○○するといいことが起こる」とインプットされ、望ましい行動を自発的にとってくれることが増えていきます。
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