キャンピングカー

キャブコンの定番!ベストセラーモデルZiL

本格的にキャンピングカーで出かけたい! 全国各地の温泉を巡ったり、スキーやカヌーなど、海や山で遊びたい。そんな人なら、装備も空間も充実したキャブコンタイプがおすすめ。大きい?高い? 確かに。でも、それに見合うだけの魅力があるんです!

渡部 竜生

執筆者:渡部 竜生

キャンピングカーガイド

キャンピングカーの王道「キャブコン」

「キャンピングカー」と聞いて、多くの人がイメージする姿形が、この「キャブコン」だろう。キャブコンとは1t~2t積みの小型トラックをベースに専用のボディを架装したタイプのキャンピングカーのこと。ベースになるのがキャブオーバータイプのトラック(エンジンが運転席の下にあって、ボンネットがないタイプ)なので、キャブオーバー・コンバージョン=略してキャブコンと呼ばれている。
ZIL

これぞキャンピングカーという佇まい

トラックの荷室部分に専用のボディを架装しているので、居室スペースには十分な余裕が。居住性が良く断熱性能にも優れるなど、使い勝手の面でもまさにキャンピングカーの王道と言えるだろう。

見た目から「大きい」という印象を持つ人は多い。中には「トラックなんて運転できない」「私の免許じゃ無理なんでしょ?」という人もいる。だが、詳細を知れば、その印象も変わるかもしれない。

まず、ベースに使われる車両は都市部での配達によく使われる車種。街中でよく見かける、一番小さいタイプの宅配便トラックを想像してほしい。住宅街の細い路地をスイスイ走る、あの車。最小回転半径はベース車両にもよるが、トヨタ・カムロードならば4.9m。これはなんと、タクシー(トヨタ・ジャパンタクシー)の5.3mよりも小さいのだ。

ではなぜ、キャブコンは大きく見えるのか。一番の理由は、真四角なボディにある。キャンピングカーはたいていが白っぽく、壁面は垂直だ。室内が広々使えて天井も高く快適だが、外から見るとやけに大きく見えるのだ。

実際のところは、車高にさえ気を付けていれば普段使いも無理なくできる。通勤や買い物などの普段使いと兼用しているユーザーも大勢いるのだ。

多くのファンに支持されるロングセラー、バンテック社・ZiL(ジル)

1999年の登場以来、現モデルで5代目。日本のキャブコンを代表するモデルと言っても過言ではない、ロングセラー商品が、バンテック社のZiL(ジル)だ。シリーズ累計販売台数は3500台。ベース車両はキャブコンの定番、トヨタ・カムロード。

ベース車両には3タイプある。
  • 2000ccガソリンエンジン×2WD(FR)
  • 3000ccターボディーゼルエンジン×2WD(FR)
  • 3000ccターボディーゼルエンジン×4WD(フルタイム)
※ミッションはいずれも4速AT

Zil_Rear

リア側もスタイリッシュなデザイン

現モデル(5代目)は2015年のデビューだが、5代目にして初めて全長が5mを超えた(全長5160mm)。普段の実用に支障はないが、車長で料金が決まることが多いフェリー乗船の際などは若干不利かもしれない。

ZiLに試乗。気になる走りは?

私が試乗したのは3000ccターボディーゼル×4WDモデル。同社広報の露木伸也さんによれば「7割以上の方がディーゼルを選ばれます。キャンピングカーにはディーゼルのほうが向いていると思いますし」とのこと。

その理由はふたつ。普通車に比べてキャンピングカーは居室を架装している分だけ、重たい。そのため、ガソリンエンジンよりもトルクが太いディーゼルエンジンのほうが適している。もうひとつは、長距離を走る車にとって、燃費がよくて燃料(軽油)も安いディーゼルはうってつけだということだ。

もちろん、スポーツカーのようにきびきびした走りを期待する車ではないが、高速道路での追い越し(あるいは追い越されるときの安定感)など、実用上は全く問題ないレベル。カムロードの4WDはフルタイム方式なので、雪道以外でも走行の安定性に寄与する。4WDはディーゼルにしか用意がないので、その点でも、ベース車両はターボディーゼル4WDがお勧めだ。

難点があるとするなら、価格はガソリン2WDと比べると81万円アップになることだろう(ターボディーゼル2WDと比べると54万円アップ)。

室内空間は使いやすいレイアウト

軽キャンピングカーやバンコンに比べ、居室が広いのがキャブコン最大のメリット。リアに設けられたエントランスを入ると、キッチンやトイレは後部にまとめられ、中央にはダイネット(食卓)とコの字型ソファーを配した、初代から変わらないレイアウト。両サイドには大きな窓が設けられ、明るさも十分だ。照明も間接照明を多用。家具類は各所ににアール(曲線)があしらわれたモダンなデザイン。ヨーロッパのキャンピングカーを思わせるデザインだが、聞けば、デザイナーに若手を起用し、ヨーロッパのショーなどで研究を重ねたのだという。
インテリア1

初代から継承される使いやすいレイアウト

ダイネットとソファーは、展開すればフルフラット化して3人就寝可能なたっぷりとしたベッドに。さらに収納式のバンクベッドを引き出せば、こちらも3人が就寝可能。つまり最大6人が就寝可能だ。
Bed

ソファ全面がフルラットになる

リア右側のマルチルームには水洗式カセットトイレと温水シャワーが。キッチンは2口ガスコンロとシンク。冷蔵庫も備えているので生ものをお土産に買っても安心だ。
Kitchen

リアに設けられたキッチン、コンロも二口

充実した標準装備。その日から旅に出られるほど

Zilの標準装備は、標準といいつつ、ほぼ、フル装備と言っていい。ロングセラー商品だけあって、長年にわたり多くの顧客と向き合ってきたバンテック社。その経験を基に吟味・検討された必要十分な装備がそろっている。FFヒーターはもちろん、家庭用エアコンも完備。それも「エンジンが発電した電気」と「サブバッテリーの充電」の2つの電源を使って使用する同社独自のデュアルソースエアコンだ。温水器やサイドオーニング(車外の日よけ)まで標準装備と、至れり尽くせり。納車されたその日から、旅に出られるほどの充実ぶりだ。

どんな人におすすめ? どんな使い方にいいの?

これだけの充実装備だけに、最も安価なガソリンエンジン×2WDモデルで790万5600円と、決して安価ではない。が、初心者からベテランまで誰にでもおすすめできる「定番中の定番」だ。
  • 車内で過ごす時間が比較的長い(旅先で、車内でくつろぐことが多い)
  • ファミリーユース
  • 車内で調理することがある
  • 寝る場所はゆったり、余裕が欲しい。
  • ある程度の期間、連泊することがある。
ZiLにフィットする使い方を上げるなら、上記のようになるだろうか。

確かに、コンパクトカーサイズとはいいがたい。だが、あちこち旅してまわって、ときには自炊もして……という使い方をするならば、車内で立っていられるスペース、ゆったりとした居住空間は必要だ。「キャブコンの購入を考えるなら、まずはZiLを基準にして」そんな一台だ。

VANTECH株式会社
http://www.vantech.jp/
埼玉県所沢市日比田95-1
04-2936-6528
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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