犬に牛乳・生クリームは与えても大丈夫?
犬に牛乳・生クリームを与える時に気をつけたいこと
<INDEX>
- 牛乳・生クリームで下痢や腹痛、腹部膨満など犬のお腹の調子が崩れることも
- 生クリームは下痢を引き起こす可能性があるほか、太る原因にも
- 牛乳は加熱したり薄めたりして与えてもいい?
- 犬のおやつやケーキ作りで牛乳・生クリームの代用品にできるもの、できないもの
- 抗生物質を飲んでいる犬、牛肉にアレルギーがある犬は牛乳を避けておいた方が安心
- 犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
牛乳・生クリームで下痢や腹痛、腹部膨満など犬のお腹の調子が崩れることも
乳糖や脂肪の影響による下痢がおきることも
牛乳・生クリームを与えることはダメということではありませんが、注意が必要です。カルシウム補給にも使える食材ではありますが、牛乳・生クリームといった乳製品の多くには乳糖が含まれています。乳糖が分解されないことで起こる下痢や腹痛、腹部膨満などは”乳糖不耐症”と言われており、犬でも起こります。
牛乳では乳糖が約5%含まれているため、乳糖不耐性の犬はお腹を壊す可能性が高くなります。低脂肪牛乳や無脂肪牛乳は脂肪の量を調整しているので、乳糖が減ることは期待できません。牛乳を発酵させて作るヨーグルトは、乳酸菌の働きで約30~40%の乳糖は分解され、犬の母乳とほぼ同レベルとなるため乳糖不耐症の症状が出にくいとされています。
犬のごはん、犬のおやつで乳製品の代わりに使われることも多いヤギミルクには、乳糖が約4%含まれているといわれているので、牛乳・生クリームの代わりにする場合は慎重に与えるようにしてください。スキムミルク(脱脂粉乳)も犬に与えることができますが、与えすぎないようにしましょう。
生クリームは下痢を引き起こす可能性があるほか、太る原因にも
生クリーム(クリーム)は、厚生労働省による”乳及び乳製品の成分規格等に関する省令”において「生乳、牛乳又は特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去したものをいう」という基準があり、乳糖はほとんど含まれていないようです。ですが、脂肪のとりすぎによる肥満や下痢を引き起こす可能性があるので、犬には与えないでおきたい食材です。植物性クリームや豆乳入りクリームは植物油脂を主原料に、香料や色素で調整しているものがほとんどです。”植物性=健康そう”というイメージを持つこともあるかもしれませんが、こちらも犬に積極的に与える必要のない食材です。
牛乳は加熱したり薄めたりして与えてもいい?
水で薄めると牛乳の量が減らせることから、ひとくち当たりの乳糖を減らすことができます。どうしても犬に牛乳を飲ませたい場合は、水で薄めた牛乳を少しずつ飲ませてみてください。また、牛乳を加熱することで乳糖不耐症の症状が防げるかどうかは、明確なことがわかっていないようです。牛乳を温めて犬に飲ませること自体は問題ありませんが、熱すぎるとやけどのおそれもあるため、人肌程度にしておきましょう。
犬のおやつやケーキ作りで牛乳・生クリームの代用品にできるもの、できないもの
犬用の手作りケーキ・おやつは、犬に適した食材を
愛犬の誕生日や、ご褒美やコミュニケーションとして手作りおやつやケーキを作る方も増えています。牛乳・生クリームを口にすることで体調が悪くなる犬の場合、犬のおやつやケーキ作りでも牛乳や生クリームの使用は避けておきましょう。
牛乳の代わりは無調整豆乳や水に置き換えることができます。ペット用に成分調整された牛乳も与えることはできますが、植物油脂や酸化防止剤が使われていることもあるので、原材料をよく確認して判断するようにしましょう。
ケーキ作りに欠かせないホイップクリームは、無糖プレーンヨーグルトや豆腐の水分をペーパータオルで切ってペースト状にしたもので代用できます。
卵白を泡立てて作ったメレンゲは、ホイップクリームと形状は似ていますが犬には注意が必要です。生の卵白を犬に大量に与え続けてしまうと、アビジンという成分がビタミンの一種であるビオチンの吸収を妨げてしまい、皮膚病や無気力といった症状が出る可能性があるのでホイップクリームの代用品にはおすすめできません。
どの代用品も牛乳と栄養素が同じではないので、食物アレルギーにはご注意ください。
抗生物質を飲んでいる犬、牛肉にアレルギーがある犬は牛乳を避けておいた方が安心
牛乳を避けた方がいい犬の病気・薬は?
どのような食材でも、良い面と良くない面を持ち合わせています。牛乳・生クリームを避けた方がいい犬はいるのか、牛乳・生クリームと相性の悪い薬はあるのか、飼い主としては気になるところ。犬の食生活・健康管理の講座も開催している獣医師の丸田香緒里先生(Animal Life Partner代表)にお伺いしました。
「犬が牛乳を飲むことで便が緩くなってしまう場合、乳糖不耐症が考えられます。下痢の原因が牛乳なので、飲ませることを中止することで基本的に症状は改善するはずです。下痢が続く場合には乳酸菌が含まれる食材である無糖プレーンヨーグルトを少量ずつ与えて様子をみたり、動物病院で整腸剤を処方してもらう事をおすすめします。
また、ヒトにおいてある種の抗生物質を投与している際に牛乳を飲むと薬の効果が弱くなるという事が報告されています。犬でも同様のことが起こる可能性がありますので、抗生物質を飲んでいる時には牛乳を与えない方が無難です。
牛肉にアレルギー反応を持ってる犬は、牛乳でアレルギーを起こす可能性があります。牛乳はどうしても与えたい食材ではないので、牛肉にアレルギーがある犬に飲ませることは避けるようにしましょう。」
犬の間食として取り入れる場合、1日に与えていい量の目安
上記の表を参考にして少量ずつ試すようにしてください。食物アレルギーはどのような食材でも反応する可能性があります。初めての食材を与える時は、体調に変化がないか様子を見るようにしてください。
犬に牛乳・生クリームは与えて平気?まとめ
- 牛乳・生クリームを犬に与えることでお腹の調子が崩れることがある
- 乳糖が分解されないことで起こる下痢や腹痛、腹部膨満などは”乳糖不耐症”という
- 抗生物質を飲んでいる時に牛乳を飲ませると、薬の効果が弱まる可能性がある
- 牛肉にアレルギーがある犬には、牛乳を飲ませることも避けておく
【執筆協力】
丸田香緒里 獣医師
日本大学卒。動物病院勤務後、飼い主様にもっと近い存在になりたいと思い「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。ペット栄養管理士など様々な資格を取得し、病院での診療や往診の他、セミナー講師やカウンセリング、企業との製品開発など活動は多岐にわたる。
ホームページ:http://animallifepartner.com/
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