心をほんのり灯してくれる七変化 岡山天音
映画『ポエトリーエンジェル』では妄想癖のある青年・勤を演じた(画像左 画像はAmazonより:http://amzn.asia/hs0BQ0w)
学生服を着ても、着物を着ても、ベレー帽をかぶっても、そのひとになってしまう不思議な23歳、岡山天音。東京ガスのCM『母とは』篇では、母の可笑しさに笑いながらも母を愛する青年を温かく演じ、優しい涙を誘いました。
彼の魅力は、やわらかさと飾り気のなさ。体内にフワッとやわらかい演技波を持ち、隣にどんな俳優が座しても、その風景に演技波を合わせることができるかのようです。清々しい銀行員を演じた『半沢直樹』は2013年、10代で演じたから驚き。伊藤淳史演じる教師と心を通わせる不登校の高校生を演じた『家族狩り』では、壊れそうな心を繊細に見せました。
『ひよっこ』では漫画志望の新田役で、同じく漫画志望の浅香航大演じる坪内との名コンビぶりを発揮し、『貴族探偵』では刑事・常見慎吾役で、生瀬勝久演じる上司の鼻形との迷コンビぶりで作品を盛り上げました。2018年公開の映画『空飛ぶタイヤ』では骨太な社会派の作品に挑戦、新しい岡山天音に心が湧きそうです。
フワッと役に着地するマッシュなそよ風 矢本悠馬
青春群像劇でも光る矢本悠馬(後列左 画像はAmazonより:http://amzn.asia/gJQh7nF)
デビュー作は2003年の映画『ぼくんち』。演技経験がないながら大抜擢された少年役には、生命力と哲学を感じ、今観てもグッときます。
大河ドラマ『おんな城主 直虎』で凛とした武闘派の中野直之を伸び伸びと演じ、矢本悠馬のポテンシャルに驚いていたところ、サントリー角瓶のCM『新顔』篇で、カラリと演じたイマドキの物怖じしない青年が、イラっとくるような可笑しいようなで、さらに驚かされました。厚みのある髪型と豊かな表情は、やんちゃ感あり、おとぼけ感あり、制服姿もOKの摩訶不思議です。
彼の持ち味は「イマドキ感」。しなやかで自由な彼の空気は、もどかしい人生や小憎らしい人物もあっさりと演じてしまいます。27歳の今もなお、あせない青春の光が差す魅力、幸福感あふれる笑顔、自由自在の大泣き小泣き、新しい扉を大きく開けた2017年ですが、2018年は朝の連続テレビ小説『半分、青い。』で主人公の同級生役で出演、さらに大きな扉を開いてくれることでしょう。
唯一無二、フツーすぎる超個性派 柄本時生
柄本時生が持つ演技の音、クセになります。(画像はAmazonより:http://amzn.asia/7owc3OT)
父親は柄本明、母親は角替和枝、兄は柄本佑、俳優一家に育ちながら、みごとに唯一無二の存在感で勝負する俳優が柄本時生。さえない、引っ込み思案、マイペース、エネルギーに満ちあふれるとは対極の、どこか不器用な人間を、強調することなく、ほろ苦く演じる天才です「あぁ、いるいる」「けっこう、いいヤツなんだよね」と視聴者が人物への想いを膨らませて楽しめる、余白のある演技は彼ならではと言えるでしょう。
ホームページの相関図では、演じる人物を写真一枚でみごとに表現、演じる人物の頼りなさや不安なかんじは、必見です。映画『超高速!参勤交代』で演じた藩士はサルと仲良し、遊び心満載に見せてくれました。さらに演技の幅を広げ、柄本時生らしい味付けで、舞台、映画、そしてドラマで大躍進してくれることでしょう。
開花を続けるハツラツ愛されキャラ 濱田岳
好感度でも群を抜く濱田岳(画像右 画像はAmazonより:http://amzn.asia/j9nelZN)
主役での演技はもちろん、脇役も、彼らしく甘辛い演技で魅せてくれる実力派俳優・濱田岳。
『3年B組金八先生』での中学生・狩野伸太郎に、大人げなく本気で怒り、『コード・ブルー 2nd season』では、将棋倒しの事故により自らの命を落とす選択をした大学生に号泣、身動きできなくなったことを覚えています。『釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助~』で見せるコミカルな演技もさすがですが、真に迫るシリアスな演技も胸を打ちます。
シリアスからコメディまで、まさに名バイプレイヤー 浅利陽介
着実な成長を続ける浅利陽介(下段中央 画像はAmazonより:http://amzn.asia/bfUvwUw)
『キッズ・ウォー』のやんちゃな中学生は、すでに30歳。茶目っ気ある笑顔は今も健在ですが、広がり続ける演技の幅には驚くばかりです。
サイバーセキュリティ対策室のスペシャリストとして登場する『相棒』では、今なお、腹の底を見せないちょっと毒のあるキーマンですが、特命係の2人に振り回され、視聴者を楽しませます。舞台や映画はもちろん、大河ドラマや青春ドラマ、シリアス、コメディなど幅広く演じる実技能派、『温泉殺人事件シリーズ』では温泉好きの刑事として登場し、2時間サスペンスならではのコミカルな演技も見逃せません。
『コード・ブルー THE THIRD SEASON』では、寡黙なチームのムードメーカーであるフライトドクター・藤川一男役、人間味あふれる決断や患者へのホスピタリティで視聴者を魅了しました。来年の公開の映画版『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』では、さらに大きくなった藤川先生に会えそうです。
どんな物語にも、溶け込む演技に嫉妬する 太賀
誰にもマネできない自然体、太賀(画像はAmazonより:http://amzn.asia/0aIYyHw)
電車のなかで隣でつり革を持っていても気づかないかもしれない、それくらいのナチュラルな雰囲気が魅力ですが、いざ、お芝居となるとカメラの向こうで、こちらを引きつける何かを感じさせます。
『ゆとりですがなにか』では、演技とわかっていながらも、イラっとさせる中毒性のある破壊力で視聴者を魅了。 『仰げば尊し』では、定番のヒゲに学生服で独特の空気を醸しだし、こちらも中毒性のある憎めない高校生を好演しました。「島&都市デュアル」プロジェクトのスペシャルムービー『デュアル』では戸田恵梨香と夫婦を演じ、夫婦のトークバトルを熱演、論破vs論破の絶妙の呼吸、台詞のコントロール力は納得の実力です。
デビューから10年を経た24歳、まだまだ青春のカケラをポケットにしまいながら、未知の演技でわたしたちを楽しませてくれるでしょう。2018年公開の映画『海を駆ける』は、日本、インドネシア、フランスの共同製作作品。若者たちが起こす奇跡に注目です。
彼らの演技は、バイプレイヤーという表現では、おさまらないかもしれません。10年後、20年後、彼らがどんな演技を見せてくれるのか、想像がつかないところも、また魅力。注目し続けたいと思います。