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今、松坂桃李から目が離せない!その魅力を徹底分析

枠にとらわれない演技とふり幅の大きさで、常に私たちを驚かせる俳優・松坂桃李。2017年も日テレ系ドラマ「視覚探偵 日暮旅人」に朝ドラ「わろてんか」、映画「キセキ -あの日のソビト-」「彼女がその名を知らない鳥たち」と話題作への出演が続きました。なぜ、彼はこんなにも演じ続けることができるのでしょう。おすすめ出演作もあわせてご紹介します。

竹本 道子

執筆者:竹本 道子

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進化し続ける俳優・松坂桃李。時に陽だまりのようにあふれる優しさで、時に「NO MORE!」と言いたくなるダメっぷり全開で、時に背筋がブルっと震える戦慄で、私たちを引き込みます。そんな彼の枠にとらわれない演技とふり幅の大きさに注目してみました。

「松坂桃李が出るから、気になる、観たい」そう思わせる


脚本家が好き、時代劇が好き、ドラマを観る理由はさまざまですが、「松坂桃李が出てるなら、ちょっと見たいかも」と思ってしまいます。ファンはもちろん、ファンでなくても気になる俳優・松坂桃李、その理由を彼の軌跡から考えます。

・どの作品でも存在感を放っている

過去の作品を振り返ると、彼が演じた人物はみんな魅力的で存在感があります。映画『僕たちは世界を変えることができない。』のちゃらい大学生・本田や、『TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~』(2013年4月~6月/TBS系列)のクールな忍び込み師・新見、映画『ピース オブ ケイク』では高らかに笑うオネエの天ちゃんと、個性的な人物をすんなり演じる松坂桃李。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』で演じた青年・向井は重たいテーマの作品で未来への希望を見せ存在感を放ちました。主役でなくても、心に残る演技を見せ続けているのです。

ヒッチハイカーの拓海くんを好演

ヒッチハイカーの向井拓海くんを好演


・広がり続ける俳優としてのフィールド

デビューからまだ10年を経ていないのに、ドラマ、映画、そして舞台と果敢に挑み、フィールドを広げ続けていること、コメディ、アクション、サスペンス、時代劇、あらゆるジャンルでしっかり活躍していること、この2つも常に新鮮で多彩な彼の演技が観たくなる理由です。

コンサートマスター役で主演の『マエストロ!』

コンサートマスター役で主演の『マエストロ!』


映画『マエストロ!』では、超個性的&マイペースな楽団員をまとめるコンサートマスターであるヴァイオリニスト役で主演、ヴァイオリニストの動きを繊細に大胆に表現しています。真摯に努力する姿勢が新しい挑戦での結果をうみ、その挑戦を糧に成長する、そんなチカラが彼の俳優力を支えているのでしょう。


松坂桃李の演技が見たくなる、3つの理由


1.空気をつくる、空気を変える演技力

直接話していないのに、テレビの向こうの人物に心を突き動かされ、気がつくと泣いたり笑ったりしているドラマ、どうしてそんな気持ちになるのでしょう。それは、俳優たちがテレビの向こうで、別世界ではなく、実世界の空気をつくりあげているからで、その空気をつくることができる俳優のひとりが松坂桃李です。

『図書館戦争』シリーズでは、松坂桃李演じる図書隊を敵対視する手塚慧が登場すると、それまで、なんだか嫌だなと思うくらいだった気持ちにピリピリと緊張感が走りました。『視覚探偵 日暮旅人』(2017年1月~3月/日本テレビ系列)では、コメディタッチにゆるんでいても、松坂桃李演じる主人公の胸騒ぎに、「笑っている場合じゃない」と、こちらまで空気が変わります。『ゆとりですがなにか』では、小学校の教師・山路一豊のメガネ姿にほっこりしたり、テレビの前で一緒にあたふたしたりしながら、彼の言葉に胸を熱くしました。

『ゆとりですがなにか』では、人間味あふれる小学校の先生役

『ゆとりですがなにか』では、人間味あふれる小学校の先生役


ダラダラと観ていると、結局のところ、物語がどうだったのか、わからないままになりがちですが、松坂桃李が演じる人物が登場すると、ドラマの空気が引き締まり、ダラダラ観ていたこちらの空気も変わります。



2.“共感できない悪”を、圧倒的に演じる


社会には共感できる人もいれば、まったく共感できない人もいます。共感できる人物を演じることは、経験値から演じることができそうですが、そうでない場合は俳優の想像力やセンスといった力量に委ねられることになります。

映画『劇場版 MOZU』の殺人鬼・権藤剛は一般的な感覚を持ち合わせない異質な存在。しかし、その異質感が足りないと物語はまったくおもしろくありません。まるで体温がないような金属的質感で権藤を演じきった松坂桃李は衝撃でした。

人間を操る殺人犯を演じる映画『不能犯』は、2018年の公開。そこでもまた、私たちはとんでもないものを観ることになりそうです。


3.ふり幅大きく、そしてふり切る演技

長身でスレンダー、いわゆる「今風」のスタイルなのに、大河ドラマ『軍師官兵衛』や映画『真田十勇士』の戦国時代にも、『梅ちゃん先生』の昭和初期にも、ごく自然に溶け込んでいます。彼を「今風」と評する人もいれば、古き時代の匂いがすると言う人もいる。そのことも彼の魅力を物語る大きな一因ですが、彼のふり幅は時代を越えているだけではありません。


ふり幅の大きさに加え、ふり切ることができるのが彼の演技のすごさです。映画『エイプリルフールズ』で演じたダメすぎる天才外科医役では、コメディ色満開で私たちを笑わせ、『彼女がその名を知らない鳥たち』での嘘つきダメ男は、私たちを、無性に嫌な気持ちにさせました。

 

天才外科医でありながらダメ男

天才外科医でありながらダメ男を演じきった『エイプリルフールズ』



いいも悪いも、その人間の持つエネルギーを躊躇なく表現するチカラは、努力あってこそ。何でも吸収できる柔軟性と何色にも染まれる透明感、好奇心旺盛な人間への探求心が、彼の俳優力を支えているのでしょう。そしてそれは、才能とも呼べそうです。

 

もう一度観るならこの作品! 松坂桃李の映画&ドラマ


◇彼ならではの不良リズムにニヤニヤする 『チキンレース』
45年の眠りから覚めた患者と看護師が旅に出る爽快な物語で、彼が演じるのはキャバクラ店の店長、不良です。そのスタイルや軽いもの言い、相手を選んですごむところ、遊び心にクスッとできる憎めない演技で魅せます。


◇多感な高校生の苛立ちを等身大で演じきった 『麒麟の翼 ~劇場版・新参者~』

中井貴一演じる父親に生意気な態度をとりながらも、自らの感情の起伏に苛立つ様子や高校生ならではの純粋さは胸にしみます。


◇言葉の持つ力とそれ以上の想いを見せる 『日本のいちばん長い日』
若き将校を演じた松坂桃李の底知れぬ可能性と迫真の演技に、言葉さえ失いそうになります。全身全霊、一心不乱で臨んだ渾身の作品です。


◇ずっと観ていたい温かい物語 『ツナグ』
死者との再会をかなえる辻村深月原作のヒューマンドラマ。個性的な演技で注目されがちな松坂桃李ですが、彼のまっすぐで清々しい演技も絶品、胸が熱くなります。

 

2018年、朝の連続テレビ小説『わろてんか』はいよいよ後半に突入します。5月公開の『孤狼の血』は、広島が舞台のアクの強いハードボイルド、若い刑事役に注目です。R18の問題作『娼年』も来年の公開、30歳を迎える年は、さらなる大きな飛躍を見せてくれそうで、やはり目が離せません!


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