著名人が多数訪れる、天河大辯財天社&洞川温泉
日本地図を見ると圧倒的な存在感を誇る紀伊半島。日本最大の半島でもある紀伊半島の山間には、高野山や吉野山、熊野那智大社など世界文化遺産「紀伊半島の霊場と参詣道」に登録された寺社が点在していますが、この他にも旅が好きな方ならぜひ訪れるべき素敵な寺社があります。そんな寺社の一つが、奈良県にある天河大辯財天社(てんかわだいべんざいてんしゃ)。古くから芸能の神様として知られており、山深い地であるにも関わらず、音楽家やアーティストなど芸能に携わる著名な方々からの信仰を厚く集めています。
今回はパワースポットとしても注目されている天河大辯財天社と、同じ天川村にあってレトロな雰囲気が味わえる洞川(どろかわ)温泉について、見どころとアクセス方法などをご紹介します。
<目次>
- 天川村の名前の由来とされる天河大辯財天社
- 音楽・芸能の神様として、多くの方がお詣りに訪れます
- 樹齢800年を超す大イチョウにも会いに行きましょう
- 大峯修験道の拠点、レトロな雰囲気を満喫できる洞川温泉
- 天河大辯財天社・洞川温泉へのアクセス
天川村の名前の由来とされる天河大辯財天社
天河大辯財天社(Yahoo! 地図情報)は、奈良県の中部、天川村にあります。天河大辨財天社(辨の字が異なる)または天河神社とも呼ばれています。天川村は紀伊半島の真ん中の山深い地に位置しており、最寄りの鉄道駅(近鉄吉野線 下市口駅)からはバスで1時間ほど。世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に登録された大峯山(おおみねさん)がある自然豊かで静かな村です。
その大峯山のすぐ近くに大峯本宮 天河大辯財天社があります。
飛鳥時代、壬申の乱で大友皇子に勝利した大海人皇子が天武天皇として即位した後、壬申の乱の前に戦勝祈願した時に現れた天女へ報いるために「天の安河の宮」とした神殿を造営しました。この神殿が天河大辯財天社の始まりと言われています。
平安時代には、ここで弘法大師が参籠して千日修行を行ったことで広く知られるようになりました。明治時代に施行された町村制により周辺の地区がまとまった際、天河大辯財天社から名前を取って天川村としたという由来もあるとのことです。
音楽・芸能の神様として、多くの方がお詣りに訪れます
天河大辯財天社は七福神の一人、弁天様として良く知られている弁財天を祀っています。弁財天を祀る神社は日本各地にあるのですが、天河大辯財天社は竹生島(ちくぶじま)神社(滋賀県)、宮島・大願寺(だいがんじ、広島県)、江島(えのしま)神社(神奈川県)、金華山神社(宮城県)とあわせて五大弁天の一つに数えられています。
天河大辯財天社の御祭神は、弁財天として信仰されているスサノオノミコト(須佐之男命)とアマテラスオオミカミ(天照大神)の娘、イチキシマヒメ(市杵島姫命)。そして熊野権現、蔵王権現をお祀りしています。
境内はコンパクトにまとまっていて、鳥居をくぐって小さな太鼓橋を渡り、石段を数十段登った先に拝殿(妙音院)があります。
弁財天は音楽と芸能の神様として知られていることから、音楽家やアーティストなどの芸能に携わる著名な方々の信仰が厚く、良くお詣りされているとのこと。神社の創始の経緯から近年はパワースポットとしても注目されていて、さらに多くの方がお詣りするようになりました。
天河大辯財天社では、能面や能装束など能楽に関する貴重な資料をたくさん保管しており、4月の春季大祭、7月の例大祭、11月の秋季大祭では拝殿の向かいにある能舞台で能楽が奉納されます。
お詣りする際に鳴らす鈴に注目すると、他の神社とちょっと違った形をしていることに気づきます。この鈴は「五十鈴」といい、天河大辯財天社に伝わる特別なもの。
アマテラスオオミカミが天岩戸に籠って世界が闇に包まれた時、アメノウズメノミコト(天宇受売命)が天岩戸の前で舞を舞ってにぎやかにすることで、アマテラスオオミカミに天岩戸を開けさせたという日本神話では有名なエピソードの際、アメノウズメノミコトが持っていた神代鈴と同様のものと伝えられています。
お詣りの際は、日本最古の踊り子ともいわれるアメノウズメノミコトにあやかって、五十鈴を鳴らしてみて下さい。
樹齢800年を超す大イチョウにも会いに行きましょう
天河大辯財天社はパワースポットとしても知られていますが、その向かい側にもパワースポットがあります。それは来迎院の境内にある「坪内のイチョウの巨樹」。樹齢800年を越すと言われるイチョウの木で、お堂の建物を覆い隠すほどの大きな広がりを示す枝ぶりからは強い生命力を感じられるように思えます。天河大辯財天社にお詣りした後に立ち寄ってみると良いでしょう。
大峯修験道の拠点、レトロな雰囲気を満喫できる洞川温泉
天河大辯財天社から車で20分ほどの距離にあるのが洞川温泉(Yahoo 地図情報)。「どろかわおんせん」と読みます。大峯山は奈良時代に役行者(えんのぎょうじゃ)が創始した修験道(しゅげんどう)の根本道場として人気が高まり、大峯山へ向かう修験者の拠点として麓に位置していた洞川が宿場町として賑わうことになりました。
大峯山への参道沿いに並ぶ旅館などの建物は趣きのあるものばかりで、レトロな雰囲気が楽しめます。ゆるやかな坂が続く温泉街はコンパクトにまとまっているので、のんびり歩いてみると良いでしょう。
洞川温泉の宿泊施設は20軒強ありますが、温泉が掘り当てられたのは比較的新しく、15軒の宿泊施設で温泉に入ることができます。
日帰りで温泉を楽しみたいという方には、温泉街の入口にある村営洞川温泉センターで温泉に浸かることができます。洞川温泉の標高は820メートル前後あり、時期によっては冷え込みますので、散策後に温泉でゆっくり温まると良いでしょう。
音楽・芸能の神様として親しまれている天河大辯財天社とレトロな雰囲気を楽しめる洞川温泉をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
山深い地にあることも手伝って「呼ばれないと行くことがない場所」や「来るべき時期が来ないと行くことができない」とも言われていたりしますが、この記事を読んで頂いたこともご縁につながりますので、ぜひ天河大辯財天社と洞川温泉へ出かけてみて下さい。
天河大辯財天社・洞川温泉へのアクセス
アクセス:■天川村まで
地図:Yahoo! 地図情報
<鉄道>
東海道新幹線 京都駅下車。近鉄京都線の特急・急行で橿原神宮前(かしはらじんぐうまえ)駅まで乗車し、近鉄吉野線の特急・急行に乗り換えて下市口駅下車。
下市口駅から奈良交通バスに乗車。
ただし、バスの本数が少ないため、必ず時刻表を確認して下さい。バスの代わりに大和八木駅や橿原神宮前駅などからレンタカーを利用する方法もあります。
<高速バス>
バスタ新宿から五條バスセンター行きの夜行高速バス「やまと」号(奈良交通バス、関東バスの共同運行)で、八木駅バス停下車。
大和八木駅より、近鉄橿原線の電車で橿原神宮前まで行き、近鉄吉野線の特急・急行に乗り換えて下市口駅下車。
以降は<鉄道>と同じ。
<車>
名阪国道 天理インターチェンジから西名阪自動車道 郡山下ツ道ジャンクション経由で京奈和自動車道・大和御所道路と国道24号線へ。
御所南インターチェンジを左折して国道309号線を大淀・下市方面に進む。大淀町からも国道309号線をそのまま天川方面へ進む。
●天河大辯財天社
地図:Yahoo! 地図情報
<バス>
・下市口駅から奈良交通バス 7系統 中庵住(なかいおすみ)行き(1日3往復)に乗車して、天河大弁財天社前バス停下車。下市口駅から約65分。
または奈良交通バス 2系統 洞川温泉行(5月~11月:1日6~7往復、12月~4月:1日3往復)に乗車して、天川川合バス停下車。天河大辯財天社まで徒歩30分。
<車>
国道309号線で天川村へ入り、天川川合交差点を十津川方面へ右折して県道53号線を3kmほど進む。天河大辯財天社近くに30台程度止められる駐車場があります。
●洞川温泉
地図:Yahoo! 地図情報
<バス>
・下市口駅から奈良交通バス 2系統 洞川温泉行き(5月~11月:1日6~7往復、12月~4月:1日3往復)に乗車して、終点下車。
<車>
国道309号線で天川村へ入り、天川川合交差点の先のY字路を左折して県道21号線を5kmほど進む。温泉街入口に駐車場(有料)があります。
【関連サイト】 ◇「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西地方の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。