想像力を飛躍的に発展させるには、一人になる時間が必要
インターネットの普及やメディアの多様化によって、こんなに情報量が増えたにも関わらず、なぜクリエイティブなアウトプットをして稼げる人と、そうでない人がいるのか。結局、情報や知識を得ること単体では価値を持たせることはできず、それをどう編集・加工していくかが重要だということです。
そしてそれには、ひとりになる時間が必要です。他人が入り込むとそこで思考が中断されますが、ひとりでいれば、誰にも邪魔されず、得た情報をもとに黙々と分析したり自分のイメージを膨らませたりすることができるからです。
クリエイティブ人材は、そうやって孤独の中からアウトプットを生み出すのです。
たとえばスパイダーマン、超人ハルク、Xメンなどのアメリカン・ヒーローを生み出してきた天才スタン・リー氏はこう言います。
「私にとって、他人とは知的好奇心を刺激し、たのしませてくれるものなんだ。だから多くの人とかかわることは、私にとってとても必要なこと。でもその刺激は、そのままでは形にならずに流れていくだけ。その刺激が何かを生み出すためには、ひとりにならなければならないんだ」
アイデアの原石を取り入れるには、確かに外部からの刺激が必要ですが、アイデアを発展させるためには、他人と共有されないひとりの時間が必要ということです。
彼が言うように、外界からの刺激で何かをひらめいたとしても、それをいったん自分に引き寄せ、自分の中で加工していく必要がある。他人とのディスカッションで良いアイデアが出たとしても、自分の感性で練りこんでいく必要があるのです。
「孤独はよくないことだ」と思われているようだが……
多くの人は、ただ知るだけ、外界からの刺激に感情的に反応するだけ、ということがほとんどです。ただ単に読むだけ、覚えるだけ、けしからんと反発するだけ、なるほどと納得するだけのほうがラクだからです。しかしクリエイティブな人間やイノベーションを起こせる人材は、その刺激を加工・応用し、発想や自分の行動を錬磨するべく内的作業をする思考の癖があります。
それは「こうかもしれない」「こういうこともありうる」と、外側の世界を自分内部の思考の枠組みに引き寄せ、その中で理解し創造しようという試みです。そしてそうした思いつきに似た仮説を、現実と照合し検証したり、作品として世に問うのです。
いわゆるビジネスの現場で活用されているブレーンストーミングやディベートも、他人がいなければできないのではなく、この作業をひとりで繰り返しているのが優秀なクリエイターなのです。
社会一般では、「孤独はよくないことだ」と思われているようです。メディアで時々「孤独死」などと取り上げられるのも、孤独をネガティブに捉えている人が多いということでしょう。しかし実際には、いつも誰かとチャットしたりつるんだりしている人ではなく、孤独の中でじっくり考えられる人が、お金を生むアウトプットができるのです。
参考文献)「人生の質をあげる 孤独をたのしむ力」(日本実業出版社)