気になるあの人にお金突撃インタビュー/貯金1000万円以下でも老後を乗り切るFP・畠中雅子さんインタビュー

最低でも3000万円は正しい?「老後資金」を考える

老後資金は最低でも3000万円必要といわれていたり、金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書でも、老後2000万円が不足すると発表され不安になっている人もいるのでは。実は、老後に必要な額は人によってさまざま。老後を考えるには、まず自分にとっての必要額をざっくり見積もることが大事です。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、シンプルな見積もり方法から「老後破産」を防ぐスキルまで、全4回にわたり、老後の描き方を指南してもらいます。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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老後資金は「年間の赤字額」から考えてみる

“老後資金は、最低でも3000万円必要”、“年金暮らしの夫婦は2000万円が不足する”――。そんな説が語られていますが、実は老後に必要なお金は人によってさまざま。老後を考えるには、まず自分にとっての必要額をざっくり見積もることが大事です。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、シンプルな見積もり方法から「老後破産」を防ぐスキルまで、全4回にわたり、老後の描き方を指南してもらいます。
老後資金は3000万円必要と言われているけども……

老後資金は3000万円必要といわれているけども……


――よく“老後資金は、最低3000万円必要”といわれますが、“住宅ローンや教育費に追われ、まとまった金額を貯められそうにない”と不安を抱く人も少なくありません。

畠中雅子さん:どんな暮らしをどう描くかによって、必要な老後資金は違ってきます。まずは、自分にとって必要な老後資金を見積もることが重要です。計算法としては、「年間の赤字額×定年後の余命」で考えてみましょう。リタイア年齢を65歳と仮定し、平均寿命よりも多少長めに95歳まで生きるとみなした場合、定年後の余命は30年。つまり、“年金生活の年間赤字額×30年”が老後の必要資金ということになりますね。

――“いくら足りないか”から必要額を割り出していくという方法は、シンプルでわかりやすいですね。

畠中さん:赤字額を出すときに忘れてはいけないのが、「特別支出」の存在。自動車税や固定資産税などの税金、家の修繕や賃貸なら更新費、レジャー費や冠婚葬祭、医療費、孫への援助やお祝いのお金などです。逆にいえば、ここを抑えることができれば、老後の必要額も少なくて済むわけです。“年間の赤字額”を掴むには、年金生活に入る前から家計の状況を掴んでおくことが大切。やりくりが苦手な人も「貯金簿(R)」なら続けやすいでしょう。

――「家計簿」ではなく「貯金簿(R)」というのは……?

畠中さん:貯蓄残高の推移を記録していくノートです。家計簿をつけるのが苦手な人でも、自分の残高推移を定期的に追っていけば赤字状況もわかりますよね。同時に、負債である住宅ローンほかローン残額などがどのような状態になっているのか定期的にチェックしておくと、貯蓄が減ったときも「繰り上げ返済をしたからだな」と状況が掴みやすくなりますよ。思ったよりも貯蓄が増えない、あるいは減っている=赤字の人は、その理由を貯金簿に記入しておくこと。実は、私はやりくり下手で節約が大の苦手なんですが、30代から貯金簿を3カ月ごとにつけ続けていることで、年間の残高変動はしっかり把握できています。

――“どうしても算出した老後の必要額に足りない……”という人は、どうすればいいでしょうか?

畠中さん:一番手堅いのは、できるだけ長く働くことです。年金の受け取り開始の年齢を遅らせることで、年金額を増やせます。遅らせた月額に応じて年金額が増え、1カ月0.7%、年間で8.4%の増額に。仮に、70歳からもらい始めるようにすれば、42%もの増額が一生涯続くんです。令和4年度だったら、年間77万7800円が110万4400円になり、月額約9万2000円になる。そのためには、働き続けられる体づくりを考えながら過ごすことも大切ですね。

★第2回『貯金1000万円以下でも老後は乗り切れる!』に続きます

教えてくれたのは……

畠中雅子さん
 
 

ファイナンシャル・プランナー。大学時代からフリーライターとして活動し、出産後にマネー分野を専門とするライターとなりFP資格を取得。新聞・雑誌・WEBなどに多数の連載やレギュラー執筆を持つとともに、セミナー講師、講演などを行う。「教育資金作り」「生活設計アドバイス」「住宅ローンの賢い借り方、返し方」「オトクな生命保険の入り方と見直し方」などのテーマを得意としている。近著に『貯金1000万円以下でも老後は暮らせる!』『50歳からのハッピーリタイア準備』など、著書、監修書は70冊を超える



取材・文/西尾英子

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