子どもの生活も波瀾万丈
親から見ると微笑ましい悩みも、本人にとっては大問題!
お友達とケンカした、テストの点数が悪かった、大事な約束を忘れていた、先生に叱られた、リレーの選手に選ばれなかった、などなど、子どもの生活も色々な凹むエピソードに満ちています。
がっかりして落ち込んで、自分に自信をなくしてしまった子どもに、親はどのように寄り添えばいいのでしょうか。
子どもの頃に戻ってみよう
大人からすると、子どもの抱える問題は、すでに自分が「通過してきたもの」ですから、ほほえましくさえ感じます。ああ、自分もそうだったなあ、なんて、当時の出来事のあれこれを懐かしく思い出したりして。でもそれは、自分で選択できる事柄の範囲が、その頃より格段に広がっているからかもしれません。学校や園など、狭い人間関係や行動範囲しか持たない子どもにとっては、その世界がすべて。そのことを頭に置きながら、まずは子どもの話を詳しく聞いてみましょう。
「お友達とのケンカ」なら、相手の子の特徴のみならず、クラスの勢力図も頭に入れる必要があります。「テストの点数が悪かった」ことで自信をなくす背景には、その子の壮大な夢があるのかもしれません。あるいは、親の期待に沿えていない自分を責めているのかもしれませんし、ライバルのお友達との関係があるのかもしれません。
話を聞いていくうちに、問題の本質は別のところにあったと気づくかもしれません。
幼稚園・保育園に通う年頃になると、その子にはその子なりの世界観が育まれています。まずは、たくさん話を聞いて、その子の目線で物事を見られるようになることを目指しましょう。
私たち人間が抱える悩みは、古今東西老若男女、ほとんどが人間関係です。子どもが自信をなくした出来事に、どんな人間関係が関わっているのか。相手のことをどう思っているのか、どんな感情が揺れ動くのか。それらを意識しながら聞いてみましょう。「そうだよね」「それは凹むよね」といった共感の言葉をはさみながら。色々なものが見えてくると思います。
親の自分はどうやって乗り越えてきた?
話をしてもろくに聞いてくれない人から「こうすれば」とアドバイスされても、なんだかなあと思ってしまいます。でも、たくさん話をして「受け止めてもらえた」と感じた人の助言には、耳を傾けてみようと思うもの。そこで、親として大人としての出番です。経験者の出番です。同じような経験をした時、自分はどんなふうに思って、どのように行動し、それによってどんな結果となったのかを話してあげましょう。成功談だけではなく、失敗談も交えられるといいですね。失敗してもまたチャレンジして乗り越えればいいんだ、たとえ乗り越えられなくても道は一つじゃない、人生なんとかなる、と思えるようになれば気が楽になりますよね。
どんな自分になりたいのか聞いてみよう
親子といえど別々の人間。個性も違えば、生きている時代も違いますので、親のアドバイス通りにやっても、うまくいかないことが多いかもしれません。ですから、子どもに、「その問題を乗り越えたら、どんな自分になっているだろう?」と聞いてみましょう。うまく答えられない時には、とりあえず今の問題は置いておいて「1年後、どんな自分になっていたい?」と聞くのもいいかもしれません。結構難しい質問ですが、子どもなりに答えてくれると思います。
「友達と仲良くできる自分」という答えが返ってきたなら、友達とは誰なのか、何人くらいなのか、仲良くするってどういうことだろう?と、具体的に絞り込んでいき、「世界中の人と仲良くできればステキだけれど、自分の人生で出会える人って限られてるよね」とか「クラスの人たち全員と仲良くするってできるかな?」といったやりとりの中で、現実的な目標設定をしていきましょう。「友達とケンカしても、まあいいやって思える自分」みたいなのが出てくると面白いですね。
今の自分にできることを考える
現実的な目標が見えてきたら、そのために「できること」を、できるだけたくさん考えましょう。それが「したいこと」なのか「したくないこと」なのかについても聞いてみましょう。またそれが、「今すぐできること」なのか、「時間が経てばできるかもしれないこと」なのか、「できないこと、してはいけないこと」なのか、についても検討しましょう。
「お友達に今すぐ謝るのは嫌だけれど、少し経てばできそう」とか「ケンカなんてなかったかのように、いつものように遊びに誘ってみよう」とか「しばらく放っておいて、別の友達と遊ぶ」とか、色々なバリエーションがありそうです。これは、うまくいかなかった時の、次の選択肢を増やす作業でもあります。「これがダメなら、あっちでいこう」と思えると気持ちに余裕ができてきます。
「もっと上手になりたい」と思っているからこそ、自信をなくしているのです。子どもの前向きな部分を引き出すチャンスだと考えましょう。