肩こり

寒さで肩こりが悪化?冬の肩こり解消ストレッチ

【カイロプラクティック理学士が解説】肩こりは冬の寒さで悪化することがあります。背中や肩が寒いと感じるときはもちろん、自律神経の乱れや血行不良などにも要注意。室内でもできる肩こり予防・改善に効果的なストレッチをご紹介します。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

寒さで肩こりが悪化……冬の肩こりがつらい人の共通点

冬の肩こり

冬になると肩こりが悪化する……手軽で効果的な改善法は?

寒い日は、家の中でじっとしていたいもの。温かい部屋でのんびり過ごし、心地良くリラックスしたいという人が多いかもしれません。

ですがもし、寒い季節になると肩こりが悪化すると感じる場合、体を動かさずにじっとしているよりも、肩こりの原因となっている箇所を意識的に動かした方が、肩こり緩和に有効な場合があります。激しい運動でなくてよいので、温かい室内でリラックスタイムを過ごしながら、手軽に体を動かしてみてはいかがでしょうか? 
 

自律神経のバランスが乱れ気味の人は肩こりが悪化しやすい

実は、多くの人が不調として感じている「肩こり」に医学的な明確な定義はありません。一般的には、頭頸部や腕を安定させる肩甲骨周辺、頸部などの筋肉にこわばりや鈍痛など違和感のある状態を「肩こり」の症状と考える人が多いと思います。これらの筋肉の血行不良を引き起こす肩こりの原因は多様ですが、寒い季節には特に注意するべき要因があります。

私自身のクリニックでの経験ですが、元々緊張とリラックスのバランスを保つ「自律神経」のはたらきが乱れがちな人は、肩こりを誘発させるものの影響を受けやすいと感じます。肩こり以外にも不快な症状を伴うケースがありますので、体調の変化に注意が必要です。

なお、以下に挙げるものが原因で肩こり症状が悪化している場合、意識的に体を動かすことが血流改善につながり、緩和に有効であると考えられます。以下の5項目に当てはまるものが多い方は、最後にご紹介する体操をぜひ試してみてください。
 

1. 寒い季節になると倦怠感・眠気が強まる

秋から冬にかけ、特に日照時間の影響が心身状態へ表れやすくなると言われています。気分が沈みがちになり、体を動かす気分になれなかったり、スケジュールをこなすにもいつも以上の気力を要するといった状態に陥るケースがあるようです。過食や睡眠の問題が生じて医療機関の受診が必要になることも。活動の低下・運動不足・自律神経系の乱れなどが続き、血行の滞りが生じると肩こり症状が強まる可能性も考えられるのです。これらがひどくなる冬季うつの改善法については、精神科の先生が解説されている「冬季うつ病の治療法・改善法」もあわせてご覧ください。
 

2. 急な気温低下に対して、防寒対策が十分でない

急激に寒くなる日や、暖かな日と肌寒い日が交互にやってくるような期間が、季節の変わり目にはみられます。冬服の準備が遅れたり、寒さ対策が十分でなかったりすると、1日寒さを我慢しながら過ごすことになります。このような場合、一時的に肩こりや緊張型の頭痛に見舞われることがあります。また、防寒対策が不十分だったことがきっかけで、肩こり症状が長引く人もいます。首元がひんやり感じるくらいの寒さでも、肩に力が入りやすくなるので要注意です。
 

3. 寒いときに腕組み・猫背の姿勢を取ってしまう

寒さを感じた時に、寒い寒いと体の前で腕を組んだり、背を丸めて寒さに耐えるような姿勢を取っていませんか? 無意識にこれらの姿勢を繰り返していると、肩・首周辺のこわばりにつながります。

身を縮こませるような姿勢が習慣化すると、体がリラックスできにくくなるため、肩こりが悪化しやすくなってしまいます。
 

4. 屋外や、寒い職場・室内で過ごすことが多い

夏は職場の冷房で悩まされる人が多いようですが、外気温が下がっても職場の室温が低く、防寒対策に苦戦している人もいらっしゃるようです。屋外での仕事が多い人はもちろん、寒さを感じる環境の場合は、屋内であってもしっかり対策することが大切です。

すでに肩こりを感じる場合は、積極的に体を温める対策をとることが必要だと思います。
 

5. 夏の間に食欲不振に悩んでいた

夏の暑さで胃腸の調子が乱された人もいるかと思います。夏バテで偏食になり、バランスよい食事ができないと、冷え体質に傾き、筋肉のコリを生じやすい状態になってしまうことがあります。

そこへさらなる冷えの要素が加わったり、年末に向けて仕事が多忙になるなどのストレスにさらされてしまったりすると、これも肩こり悪化の要因になります。食事でも体の冷え対策をしたい方は、「体を温める食べ物は?冷えにくい体を作る食事法」をご覧ください。
 

手軽な肩こり改善ストレッチ! 背中と肩甲骨周りの温めがカギ

上記の項目に当てはまる方が多い方は、背中や肩甲骨周り、腕の付け根を動かして、肩こりにつながる部位の血流の滞りを緩和させましょう。

コツは、筋肉に刺激が入るようにゆっくりと動かすこと。気持ちよく伸ばされる感覚を目安にして下さい。勢いをつけて動かすと、こり固まった筋肉を痛めてしまう場合があるため要注意です。コリが強い人や肩に力が入りがちな人は、様子を見ながら動かしてみましょう。5~10回ほど繰り返すと体がぽかぽかと温まり、血流が改善されていくのが実感できるのではないかと思います。

1. 左右の肩甲骨を寄せる
軽く脚を開いて立ちましょう

軽く脚を開いて立ちましょう

真っ直ぐに立ち、左右の肩甲骨を背中の中央へ寄せるように動かし、5秒間キープし力を緩め息を吸います。

2. 腕を斜め前上方に伸ばす動き
腕を可能な限り遠くへ伸ばすようなイメージで動かします

腕を可能な限り遠くへ伸ばすようなイメージで動かします

口からゆっくりと息を吐きながら、左肩甲骨を背中中央へ寄せる意識で、左肘を後方へ引きます。同時に右腕の付け根から左斜め前上方へ動かし、背中の右側を伸ばします。一度「1」の姿勢に戻してから、反対側も同様に行います。

3. 腕を側方に伸ばす動き
「2」よりも下の位置で腕を伸ばしていきます

「2」よりも下の位置で腕を伸ばしていきます

口からゆっくりと息を吐きながら、左肩甲骨を背中中央へ寄せる意識で、左肘を後方へ引きます。同時に右腕の付け根から左側方へ動かし、背中の右側を伸ばします。再び「1」の姿勢に戻してから、同様に反対側も行います。

4. 腕を斜め前下方に伸ばす動き
腰の調子が不安な人は様子を見ながら動かして下さい

腰の調子が不安な人は様子を見ながら動かして下さい

口からゆっくりと吐きながら、左肩甲骨を背中中央へ寄せる意識で、左肘を後方へ引きます。同時に右腕の付け根から左斜め前下方へ動かし、背中の右側を伸ばします。「1」に戻り、同様に反対側も行います。


この体操は、室内でのリラックスタイムはもちろん、職場などで同じ姿勢が続いて疲れた時や、心の緊張が強いと感じた時などに行うのもオススメです。体を動かさずにじっとしているだけでなく、無理のない範囲で効果的な体操を行い、寒い季節も上手に肩こり対策をしてみましょう。

■参考論文
気分や行動の季節変動についての調査(福岡女子大学大学院人間環境学研究科)
 
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